うちのポケモンがなんかおかしいんだが   作:右肘に違和感

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32話 逆襲3

 

全員が集められた部屋を出て、ひとまず頭を冷静にする。

今回の船の上での騒動……何を持って決着とすれば良いのか。

 

やはり主犯人物の拘束こそ一番の結果だが……

正直現段階でサカキを犯人として差し出すのは証拠が足りなさ過ぎる。

俺がサカキ=ロケットボスというのを知っている件も証拠があるわけで無く、事前知識があっただけである。

 

 

 

となると……

 

「次に好ましいのは副長的な存在をとッ捕まえる事か……」

 

それ以外に考えられない。

犯行人物こそそこらに腐るほど居るが、それだけでは例え8割捕まっても

あいつらは止まる事は無いだろう。むしろ全員で自爆して果てる可能性まである。

 

「うん、なんか帰りたくなってきたな」

「ディ#」

「ぉぉう、わかったわかった、さすがにそれはしないから」

 

即座にふざけんなと否定されてしまった。ううっ、私が育てた子がなんでこんな事にっ。

 

 

っと、階段付近に早速か……5人は居るか?

 

「ん~……どうしよっか……まだばれない方が良いんだよね」

「─────。」

「グッグ?」

 

【釣ってみてはどうでしょう?】とな。……釣る、ねぇ。やってみるか。

 

 

 

 

「ぁー、だりぃなー……」

「まあ、一度占拠しちまえば後はお偉いさん方の仕事だしな」

『だーなぁー……』

 

                  ヒュッ

                         ころんころん

 

『ん?』

「なんだぁ……?」

「なんか転がったような音したなぁ」

「んだんだ……一応俺らも見張りって役割だし、確認だけでもしとくかぁ」

「んじゃ、5人も居るし3人残れば十分だべ。俺とお前で見てこよーぜ」

 

……ッ!

 

「やれやれ、めんどくせえなーw」

「そう言うな、暇つぶしの道具持ってこなかった俺らが悪ぃわ」

 

……。

 

 

「おーい、結局なんだった?」

「ああ、なんでか知らんけど小石だわー」

「小石ー?」

「そこら辺に転がってそうな石だー」

「そこらに誰かいるんじゃねえの? 脱走者とか」

「まっさかーw まあちょっくら周り見て」

                         シュッ

「───あん?」

                

                     ペカァァァァン

「ガゴガーグォォォオン」

「……マルマイン? お前、ロケット団のマルマインか?」

「どしたー?」

「いや、なんかマルマインいたんだわー。

 こっちに喧嘩売ってるわけじゃないし敵でも無いと───」

「おう、そーかぁ。んじゃこっち戻ってこいやー」

 

─────。

 

「……ん?」

「おーい、どしたー?」

 

─────。

 

「……? おい、どうしたー?」

「返事が無い、な……」

「……俺、一応確認に行ってみるわ」

「わかった、気をつけてな」

 

……。

 

「平気かー?」

「今んところ何もねえわ、って……ありゃ」

「ガゴガーグォォォン」

「どうだ?」

「ああ、確かにマルマインがいるわー。なあお前、こっちに来た二人どこ行ったか見て───」

 

─────。

 

「……おい。……おいッ!!」

 

─────。

 

「───おい、これ明らかにおかしいぞ」

「だな……返事が返ってきてない」

「どうする?」

「……多分たいした事じゃねーだろ、2人で確認した後報告するべ」

 

………♪

 

「ガゴガーグォォォォン」

「マルマイン、だな」

「ああ、どっからどう見てもマルマインだな」

「グォォオォン」

「お前、ここら辺に来た奴ら知らないか?」

「グォーン」

「あの部屋か?」

 

…………ッ!!

 

「よし、ちょっと見てくる。お前はマルマインと一緒にいてくれ」

「わかった、気ぃ付けろよ。何出るかわかんねぇぞ」

 

─────。

 

「───ッァァァァ」

「ッ!? おい、どうしたっ!!」

 

───掛かったッ!!

 

「なっ!?てめ───」

「ッ─────!」

「ッ─────!!」

「ッ─────!!!」

 

 

どかぼこばきべしあにゅんモッチャンアフロギシぴーん

 

 

「っふー……こいつらアホか? 1人だけでも上層部かどっかに報告に行くべきだろ。

 そう考えられる俺の発想がおかしいのかなぁ」

「ディァー♪」

「ッb」

「グッグッグッ♪」

 

全員が全員、いい仕事をして一汗掻いたところである。

なんとか2階出口部分、制圧完了っと。マルマインの囮、最強です。

警戒心がやわらかすぎる。お前らやわらか戦車の軟弱さを見習え。

 

やーわらっか戦車のこーっころーは♪っと、歌ってる場合ではない。

 

「マルマイン、ご苦労だった」

「…………。」

「───お前に憎まれんのは十分承知してんよ。

 でもな、お前がアイツを守りたいのと同じで……俺だってあの人達を出来る事なら守りたいんだよ」

「───ガゴガァー」

「まぁ、少しの間だけの付き合いだがな。互いに仕方ない状況なんだ、互いに諦めて行こうぜ」

「…………。(プイッ」

 

会話の内容は察してください。

この内容に翻訳が必要な程、野暮ではないだろう。

 

 

「とりあえずここからは時間制限付きになるだろう。

 あいつらと定時連絡を取ってる奴らが来たら流石にバレるはずだ」

「ディー」

「慎重に行きたい所だが、次辺りは集団戦とかになるかもしれない。

 今以上に気を引き締めていこう」

『ディーグッ───b』

 

静かに同意する3匹。

さァ……次は1階か……ん、1階ってそういえば……?

 

 

 

 

 

「調理場が確か、あったな……」

 

 

 

 

よかった、1階に移ってみたが、階段辺りはザルのようだ。

どうやらあの5人のうちの2人か3人は元から下のほうの警備だったらしい。

 

そして俺達は、特に何事も無く調理場に辿り付いた。

 

ここも今はシンッ───と静まり返っている。

そりゃーそうだ、調理担当者もおそらくロケット団に摩り替わって……

 

 

 

って、不味いッ!! ロケット団がまだ居るッ!!

こっちを向きそうになったところで急いでみんなで下に隠れる。

 

「あぁーん? なんか居るのか……?

 外の奴ら何してんだ、大人しく摘み食いも出来ねーなぁ」

 

ああ、摘み食いは最高っすよね。そこは認めるわ。って、そうじゃない。

 

「……こっちに来た時に一気にシバくぞっ!!」

『─────b!』

 

 

コッコッコッコッコッ

 

 

「さーて、何がいるのか───」

 

 

「敵ながら、ちょっと惨いな」

 

さすがにこれはオーバーキルにも程がある気がする。

 

まず、ヤツが覗いたところでドレディアさんのがんめんパンチが入った。

しかも限りなくど真ん中。クレヨンしんちゃんの前がみえねぇ状態。

その後慣性の法則でぶっ飛んだところで、その先に待ち構えていたディグダが

野戦で教えておいた鉄山靠を、飛んできた勢いを丸ごと反射するかのように。

そしてゴシャッって音を一瞬出しながらきりもみしたところで

 

ヒンバスのはねるが発動した。

 

しかし なにも おこらない

 

けど俺らは癒されたからいいわ。

 

「よっし、全員よくやった」

『ッb』

「ついでだ、摘み食いしてこーぜ」

「ッッッ♪♪♪ ッッッ♪♪♪」

「─────……;」

「ググ……;」

 

うん、後ろの2人は正常だ。ドレディアさん喜びすぎだっての。コケんなよ?

 

 

 

 

 

 

ま、ともあれ目的の物は手に入れた。

酒の入った瓶と、ゴミ箱にあったスーパーボール。

さて、使う機会は多分現れるのだろうが……上手く使いきれるといいな。

 

 

 




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