うちのポケモンがなんかおかしいんだが   作:右肘に違和感

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処方箋修正 18:17


3話 何これ

 

 

──あぁーなんかふわふわするわぁ~

 

───俺何してたんだっけかぁ~

 

────気持ち良いしこのまま寝続けるかな……

 

─────あーでもなんか膝痛いし……痛い……

 

 

 

ッハ!?

 

 

 

いきなり意識が覚醒する。

あのドレディアさんから見事な顎への一撃をいきなり貰ったんだっけか。

膝が自分の体重をモロに受けて、圧迫感を感じている。

 

……あれ、おかしくね?

顎に受けて脳震盪で気絶というなら、寝転がっているのではなかろうか?

なのに重力は寝ている感じの影響ではない。

なんかこう、吊り下げられてるような──────────

 

 

「…………」

「……えー?」

 

顔を床から正面のほうへ回すと、ドレディアさんの顔がすぐ前に存在していた。

 

 

( ゚д゚)(゚д゚ )

 

 

こんな感じである。

 

サッと顔色を見た限りでは、特に青筋等は立っていないようだ。

怒っているわけではないらしい。

 

「ディアー? ディー?」

 

ぺしぺし。

 

なんかドレディアさんの左手? 左の葉っぱ? でほっぺを叩かれる。

なんだこの状況。ていうか自分の体勢……

 

「──────────あぁ、そういうことですね、はい」

「ドレ~ディア~。」

 

顔と目を軽く動かしようやく状況を把握する事が出来た。

ドレディアさんが襟首掴んでぶら下げていたのだ。

道理でこんな体勢なんですね。多分気絶した後に吊り下げられたのだろう。

 

「─────なんで殴られたのかはこの際置いておくが

 とりあえずは心配してくれた……んだよね?」

「ディ。」

 

ドレディアさんはコクンと頷く。

 

「あーおっけーおっけー、もう平気だよ。

 掴んでる所、離してもらってもいいかな」

 

またコクンとうなずき、ちょっとした浮遊感のあと上半身が床に向かう。

離してくれたということであろう。

普通に手で体重を支え、立ち上がろうとして。

 

 

ええ、まあずっこけました。

 

「ディ!?」

「……あぁ、まあ当たり前っすね……綺麗に顎に来てたからなぁ」

「ディ……ディァ……?」

 

普通、急激に顎を揺さぶられた場合、漫画的に表現するなら脳みそがシェイクされる。

バランス感覚的なモノは速攻では回復しない。

 

俺も意識を若干ながら奪われていたようだが、それでも長時間ではないのだろう。

ダメージがまだ普通に残っていたようで横倒しに錐揉みしてしまった。オウフ

ドレディアさんもさすがに人体構造までは理解していないようで

何故俺が倒れてしまったのかも含めて、先ほど以上に心配そうである。

 

「あははぁ~……こりゃぁ少し休まないとだめかもなぁ」

「…………」

「ん、あれ。どしたん?って、ちょ─────ぬわぁ!」

「ディーァ。」

 

ふん、と息を鳴らし俺を背負うドレディアさん。

いくら子供ッたって30㌔程度はあるんだがなぁ。

どんだけ力あるんですか貴方。

 

が、まあ助かるのは事実だし体も子供だし、プライドなんざどうでもいっか。

 

「あーうん、このまま運んでもらえると助かるよ。

 博士んとこに行けばソファーもあるし、喋る事に関しては問題は無いから。」

「ディ。」

「じゃあまあ、博士の顔見るのは嫌だろうけど……

 博士のラボまで運んでもらえるかな。道は俺が教えるよ」

「(コクン)」

 

そうして、ドレディアさんが居た部屋から退室する。

険のある態度もすっかり取れてるようだし(行動はまだ若干問題がありそうだが)

怖い事には変わりないけど、結構良いパートナーになれるかもしれないなぁ。

なんか強そうだし。どんぐらい強いんだろうかドレディアさん。

 

 

 

 

 

 

「あーここだよ、ここ。扉開けちゃっていいよ~」

 

ノックなんて単語はきっと知らないだろう。

普通に入ってもらおう。

 

「ディ~ァ。」

 

ガチャ

 

「博士ぇー、話は終わったよー」

「ぉぉー、ひょうかぁタちゅヤくゅん、ちょっちょ待っちょれー

 やっひょちょまってきたんずゃー」

 

もはや言葉が聞き取りづらい。どこまで出てんすか鼻血。

しかもそれだけ出て血液足りるんですか。

 

最後の言葉は【やっと止まってきたんじゃー】って言いたかったんだろうか。

まあ博士についてはどうでもいいや、普段から他のポケモンにも

ガブガブ噛まれてんの見てるし、慣れてんでしょ多分。

 

「じゃあドレディアさん、博士の事は放置でいいから

 ちょっとそこにあるソファーに座らせてもらえる?」

「ド~レディ。」

 

んで、ドレディアさんはソファーに歩いていってくれて

俺を背中から降ろし──────────いや。

 

 

背中に手を回して両手で持ち上げて

勢い良く俺をソファーにぶん投げやがりました。

 

 

しかし俺ももうここまで来るとなんか色々どうでもよくなっており

悲鳴すら上げずにソファーに墜落する。

家がぶっ飛んでると耐性出来るのね、人体って不思議だわ。

 

やれやれ、と思いながらソファーからのっそりと起き上がり

背もたれに体重を預けながら座った。

 

 

「ィァ…………」

 

 

おい。

ドレディアさん。おい。

あんたなんで驚いてんの。あんたが投げたんだろ。

瞳が【順応性早すぎんぞコイツ】って言ってますよ。

狙ってやるなや。静かに置いてくれよ。だから怖がられてんだっての。

 

「なんか仲良くなったのか、なってないのか微妙じゃのぉ」

「てか博士鼻完全に陥没してますよ。

 病院行かないと。それはさすがに。」

「ぉぅ、まあそーじゃな。でもまあ今ははなつっぺで十分じゃ

 病院は殴らんし逃げん」

 

どんだけドレディアさんに嫌がられてたんだよ。

てかドレディアさん、あんたも博士が近づいただけで顔に青筋立てないで。

 

とりあえず俺の将来はひとつだけ決まった。

痛い想いはしたくない=ポケモン博士にはならない。よし。

 

「まあ、この子……ドレディアさんは俺が連れてく事になりました。

 ちゃんと話し合って同意も貰えたので、多分なんとかなります」

「はっはっは、そうかそうか、タツヤ君なら安心じゃ。

 よかったのぉドレディア──────────あぶぇっ!!」

「…………#」

 

もう突っ込まんぞ、疲れた。

綺麗にリバーブロー?が入ってたが知らん。

 

「とりあえず今日はこの辺で失礼しようかと思ってます。

 他に何かやらなきゃいけないモノとかって、もうないですかね?」

「す……少し位、心配してくれても……

 や、やらなきゃいけないってのはないがのぅ

 わしからちょっとプレゼントは用意しておるよ」

「あ、本当ですか?ありがとうございます。なんかくれるんですか?」

「うむ、君は昔から聡いし

 ポケモンに関しても、並々ならぬ関心も知識も持ち合わせている。

 じゃから君にはポケモン図鑑を預けてみようと思っての」

 

おぉ、まさか図鑑がもらえるとは。

この世界だとポケモン図鑑は高性能過ぎて、量産が効きづらく

そこまで供給が無いものなので、渡される人員も結構制限されているのだ。

俺も以前レッドさんに見せてもらってやたらハイスペック過ぎて

うらやましいと思ったものである。

 

「……それにシン君に渡さないで旅立たせたら

 普通にリーグ制覇して戻ってきちゃったからの……

 物事は客観的に見ないほうが良いと思い返してな……」

 

まじかよ。

シン兄ちゃん、何者だあんた。

ステータスも努力値も知らないでテッペン取ったんか。

 

「まぁ、うん。未来なんて誰にもわからないもんですしね」

「それを踏まえても君の家族は色々な意味で強豪揃いじゃからのう。

 特にぶっ飛んでるのは君の母さんじゃなぁ」

「ええ、まぁ……」

 

 

朝方一瞬だけ話に上がったフーちゃんだが

実はあの子、他の人のポケモンなのだ。

そして母はバッヂを現在1個も持っていない。持っていないってか返上したらしいが。

それでもバッヂを持っていないなら普通は言う事を聴いてくれないのだ。

バッヂなしで言う事を聴いてくれるのはLv10までだったはずだしね。

 

じゃあなんで言う事を聴いているのか?

単純な話である。フーちゃんは母に平伏(ひれふ)したのだ。

母は殴ったわけでも怒鳴ったわけでもない。

瞳の力の威圧感だけでカントーの伝説ポケモンの上に立ったのだ。

 

……改めて思うと超こえぇー、なんなんだ俺の家族。

全員転生者なんじゃねえのこれ。

 

 

「まーそっちはどうでもいいです。俺の朝飯の献立以上にどうでもいいです。

 今ここで母のことを話しても何にもなりません。

 博士にも早く病院に行ってもらいたいし、サクっと貰って帰っていいです?」

「いまいち感動が無いのぅ、エリートとして選ばれたも同然なんじゃぞ?」

「素直に突っ込ませてもらうとただの安牌確保じゃないですか」

「ディ。」

「うぐっ……」

 

俺とドレディアさんの突っ込むような瞳に晒され

博士は若干声に詰まる。エリート?しらんがな(´・ω・`)

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「──────────ほら、これじゃ。

 これがポケモン図鑑じゃな」

「はい、ありがとうございます博士。

 これをくれたご恩は30分位忘れません」

「ディ~ァ」

「…………そうかい、まあ頑張っておくれ。

 わしも突っ込むの疲れたわぃ、鼻痛いし」

 

 

冗談ですよ。恩は忘れませんから。

多分。

 

 

そして博士も病院に行くために出て行き、ラボに一人残る俺。

俺が大人だったら機密だのなんだので、一緒に出なきゃならないのだろうが

昔から入り浸ってる顔馴染み。問題はないようである。

 

そしてカチャカチャパコパコとポケモン図鑑をいじっている。

ほうほう……ポケモンのナンバー、分布地、地図は当たり前として……

 

「カレンダー、時計、電卓、カメラ、家計簿、ストップウォッチ。

 方位磁石システムに食い歩きマップ、カントーのひ・み・つ★情報。

 沈没船の地図にご当地グルメ情報……」

 

 

なんだよこれwwwwwwwwwwwww

 

 

そしてふと、一番の便利機能に目が行った。

ステータスと努力値の棒グラフチェックである。

 

「これが凄いんだよなー、特に努力値。

 図鑑の持ち主は育成も極めて当然ってかぁ?知らんっつーの」

「──────────ディ?」

 

肩越しからドレディアさんが図鑑を覗く。

両手を俺の肩に置きながら覗いてくるもんだから

頭で想像するとドレディアらしさが非常に出ていてとても可愛い。

んだけど所詮ドレディアさんだしな……まあ可愛いんだけどさ。

 

「っと、そうだ。

 この機能、使って見ようか」

 

ドレディアさんも居るしな。

どういう図で表示されるかだけは覚えておこう。

 

「はーいよっと、チェックチェックでぽちっとな~」

 

ポチッ★

pipipipipipipipipipippipipipip

ピーン♪

 

「ディ?」

「ん、ああ大丈夫だよ。特に何もしてないから……

 どれどれ、ドレディアさんのデータは……」

 

 

 

 

 

√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√

 

No.549★突然変異★

ドレディア Lv15程度

 

タイプ1:くさ

タイプ2:かくとう

 

せいかく:クレイジー こうげき成長率+1.3倍 とくこう成長率-0.5倍

とくせい;いかく (バトルに出た瞬間に敵のこうげきを下げる)

 

親:タツヤ

 

こうげき:━━━━━━━

ぼうぎょ:━━━━━━

とくこう:━

とくぼう:━━━━

すばやさ:━━━━━━━━

 

現努力値

こうげき:+++++++++++++++

すばやさ:+++++++++++

 

わざ1:うまのりパンチ 連続技。おうふくビンタ、乱れ突きと同類

わざ2:がんめんパンチ 初代はっぱカッター並の急所率。急所に入ると高確率でピヨる

わざ3:ドレインパンチ 相手の体力を吸収する拳

わざ4:いばる      相手の攻撃を2段階あげてしまうが確実に混乱させる

 

√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√√

 

 

 

 

 

「ふー」

 

パタン。

図鑑を閉じる。

 

 

 

なんだこれ。

なんなの、突然変異て。

ゲームシステム的に考えて、親が俺になってんのに

何で既に努力値振られてんの。意味わかんねぇ。

 

 

 

「よし、帰るか!!」

「ディ!!」

 

俺は思考を放棄した。

バグポケ?知るかそんなもん。

 


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