うちのポケモンがなんかおかしいんだが   作:右肘に違和感

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41話    

 

 

みんなでご飯を食べ、休憩所内で就寝。目を覚ましたら俺の周りはカオスだった。

 

まず最近ことごとく寝る際に俺の傍にいるドレディアさんと

そのドレディアさんごと俺に絡み付いていたミロカロス。

 

そしてダグトリオ連盟がそれをトライアングルで囲むかのように

俺らに背を向け、不動の体勢で腕を組みながら突っ立っていた。

 

あ、はなちょうちん見えた。あいつら寝てやがる。

別にここ休憩所なんだから、そんなに警戒せんでもいいのに……

 

と、ここで俺が起きた事に気が付いたのか、ミロカロスも目をゆるりと開けていく。

 

「ホァ」

「ん、おはようミロカロス……まだ眠いなぁ」

 

 

しばらくの間滞在し、寝慣れたクチバのベッドが懐かしい。

ミロカロスの頭をなでなでしつつ、ゆっくりとミロカロスの束縛から逃れる。

 

「ディアァ……」

「ドレディアさんも起きたか、おはよう。まだ出発しないから寝てていいよ」

「ァー。」

 

少し起き上がり瞳をくしくしした後再びミロカロスにもたれかかった。

高級すぎる枕だなぁ。質感最高だけどさ。

ミロカロスにも「まだ寝てていいよ」とそっと伝え、飯の準備に取り掛かるために外に出る。

 

 

 

 

 

 

 

ちらっと後ろを見たらダグトリオは目を覚ます事もなく寝ていた。

お前ら主が動いたんだからそこは漫画表現っぽくハッとして起きとけよ。

 

 

 

 

飯の準備に取り掛かっていると昨日のギャラドスが現れた。

あいつら結構でけぇからびびったんだが、目を見て昨日のギャラドスと確認。

適当に会話しながら食材を洗った。見た目に反して性格がおだやからしくとても落ち着いている。

普通ギャラドスなんてそのパワーをもてあまして暴れまくってるもんらしいのだが。

 

今回の朝飯でクチバから出る際に買い入れた食材は尽きる。

んだからお昼までにはシオンに着きたいもんである。

 

「ディアー!」

「ホァー!」

『─────。』

 

おっと、全員起きてきたか……まだ調理段階まで入ってないけどまあいいか。

 

ていうかディグダ共。

お前ら休憩所から出てきた途端にいそいそとトーテムポール化すんな。

何がそこまでお前らをトーテムポールに掻き立てるんだ?

全長6m弱になってるし。下のディグダの膝をかっくんってさせたらどうなるんだろう。

 

 

 

 

「さて、ご飯の完成だー。今日もギャラドスの分まで作ったから食ってけや」

「ゴォォァァァグォオォォ♪」

 

声が図太いわりにご機嫌とわかる唸り声を上げるギャラドス。見た目の割りに結構可愛いぞ。

まあ体格からして腹の足しになるかどうか微妙なんだが、喜んでもらえる事は嬉しいもんっすよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ァァァァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ーーーーーーッッ!!!」

「ゴォァァァァァァァァーーーーーーッッ!!」

「                           ホァ」

「ッッ……!」

 

やばい、気合入れて朝食作った覚えはないんだが

飯の奪い合いで戦争が勃発しやがった。原因は主にドレディアさんだ。

 

まず、俺がギャラドスに差し出した山芋の煮付けをドレディアさんがこっそり奪い取り

それに気付いたギャラドスが、仕返しとばかりにドレディアさんに出された朝食を全部飲み込んだ。

 

怒り狂ったドレディアさんがマッハパンチれんだで攻撃を開始。

 

そしてギャラドスに隙が出来たチャンスに

ミロカロスがそっとギャラドスに出された一部のおかずに手を付けやがった。

あんた何やってんのミロカロス。

 

さらにドレディアさんの(※ここ重要)繰り出した攻撃の一部が

俺に被弾しそうになり、ダグONEがすんでのところでガードしてくれた。

 

それを機にドレディアvsギャラドスvsダグトリオが発生してしまう。

朝っぱらから元気よく乱闘をおっぱじめやがった。お前ら帰れよ。

 

 

あー。ギャラドスが水ん中ですっごい暴れてるせいで

沖に居た海パ……フ○ルチン野郎が水の流れに巻き込まれてぷかぷか浮いている。

これやっぱ俺に苦情来んの?

 

 

面倒になったので、隙を突いて朝食を作るのに使った深底鍋をドレディアさんに被せ

そこらに落ちていた木の棒を持ち、渾身の力で鍋を振り抜いた。

ドレディアさんは衝撃と鍋の反響音で『状態異常:こんらん』となり、フラフラダンスを開始。

ギャラダグがそれにビビって静かになったところで全員の説教を開始した。

まあギャラドスは被害者なんだけど、大人気なさすぎだからひとまとめで懇々と説教しておいた。

 

ドレディアさんはこんらんの末に海に落ちてぷかぷか浮いてた。

ギャラドスに鍋だけ回収してもらった。へこんでも別に使えるし。

 

ミロカロスもなんとか可愛い態度でごまかそうとしてたが

ここはお仕置きをしておかないと威厳もクソもないと思ったため

尻尾の方を無理やり玉結びにしておしおきしておいた。

謎の痛みに悲鳴を上げていたが、お前が悪い。

 

 

「ギャラドス、ついでに説教しちまったけど……うちのアホが本当にすまなかったな。

 どうせシオンタウンに付けば食材もまた仕入れられるから、その時に改めて作りに来るよ。

 すまないが今回はそれで勘弁してくれ」

「グォオオォオォ」

 

 

残念そうではあるが、また作りに来ると約束したので一応は納得してもらえた。

 

いや、可哀想すぎるべさ。

楽しみにしてたのにそれをしょっちゅう食ってる子が横からかっぱらって食うとか

俺なら家出しちゃうね。初めて食べれるご馳走ならなおさらだわ。

 

「ホォゥ;;ホォァァアァ;;」

「るっせー、俺はちゃんと見てたんだからな。ごまかせると思うなっ!」

 

自分の力で解けないのか玉結びを解いてくれと懇願するミロカロスを一蹴。

怒る時に怒れないとどんどん増長しちゃうのが生き物ってもんだ。

叱る時はきっちり叱る。これ大切ね。

 

 

『;;;;;;』

「うっさい。反論は認めん。最初に決定した事は絶対だ。

 お前らは海を泳いでシオンタウンまで来い」

 

ディグONEは昨日全力で泳いだせいなのか、体全体が凄まじい筋肉痛を起こしているらしく

ディグⅢは昨日の件で海自体に苦手意識を持ってしまっており

ディグTWOは単にミロカロスの頭の上に乗れないのが残念なんだそうだ。

 

ドレディアさんはまだ目を回して浮いている。

沖に流されつつあるな。                            まあいいや

 

 

 

 

そんなわけでギャラドスとドレディアさんにお別れを告げ

海の中動きの鈍いダグトリオが横で泳いで、俺は動きの硬いミロカロスに乗り

のんびりとまた海の旅に出た。あの距離なら半日後には辿り着いているだろう。

 

 

そして特に描写する事がなかったため速攻魔法発動! キング・クリムゾンッ!!

 

あれ、魔法でもなんでもねえやこれ。物理攻撃だ。

 

強いて出来事を上げるのなら、カメックスに乗ったグリーンさんに偶然遭遇し

またバトルを仕掛けられそうになった事ぐらいか。

 

船の中と同じような方法で注意を逸らした後、カメックスに飛び乗り

巴投げでグリーンさんをカメックスの上からすっ飛ばして事なきを得た。平和が一番っすよね。

 

 

そんなこんなでやーっとシオンタウンの手前まで到着ーっと。

 

「ふーやれやれ……なんか色々あった気がするけど、ひとまずは無事に辿り着けてよかった~」

「ホ、ホアァ;;」

『ぜぇっ、ぜぇっ、ぜぇっ』

 

【そろそろホントに解いてくださいー;;】と懇願するミロカロスに

肩で息を付き、疲労困憊のダグトリオ達。

 

ま、ミロカロスに関してはこの辺で勘弁してやるか。

 

「わかったよ、ちゃんと反省しただろうな? 今解いてやるから尻尾出せー」

「ホアァ~~♡」

 

出された尻尾のギュウギュウの玉結びの隙間に

腕を突っ込んで隙間を作りつつ、あ、やべ、圧迫されて腕が若干痛い。

なんとかゆるりゆるりと解放していった。

 

「~~~~~♪」

 

ようやっとの違和感から解放されたのがうれしいのか

尻尾をぴよんぴよんと振り、異常が無いのを確認している。

 

「ダグトリオよぉ、お前らも俺を守ってくれたのはありがたいけど

 あの場はドレドスを相手にすんじゃなくドレディアさん一択だろ。

 敵を間違えんな、敵を。わかったか?」

『;;;;;;(コクコクコク)』

 

うむ、反省も全員済んだな、今回の件はこれで───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ずばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おおぅ、なんだぁっ!?」

 

すっげー勢いで何かがこっちに泳いでくる。クロマグロみてぇwwwww

凄まじい水しぶきで何がこっちに向かってきているのか

良く見えないが色合いだけはなんとか確認出来る。赤い花の───

 

 

あ、ドレディアさんじゃん。

 

 

「ディアディアディアディアディアディアディアディアディアーーーーー!!!」

 

 

ずっぱぉーんっ。

 

水から勢い良く飛び出し、こちらへ着地。

こちらもダグトリオと同じく肩を付かせ、ぜぇぜぇ言っている。

そして青筋を立てながらこちらをガン見してきた。

 

「ド・レ・ディ・ア……!!#」

「ぁ゛あ゛? 何ぃ? なんか文句あるの?(笑」

「ッ!?」

 

明らかに見当違いな怒りを買っている事を目を見て確認出来た。

さすがにこれはちょっとないな、と苦笑すら覚えた。

ん、あれ? なんかミロカロスとダグトリオも後ずさってんな。

 

「で、何……? 言いたい事あんなら

 ちゃんと言ってもらえないとこっちも困るんだけど(笑」

「レ、レッ、レレレッ」

 

笑顔で詰め寄ったのだが……ドレディアさんまで後ずさりを始めた。

お前ら失礼すぎるだろ、こっちがこんなに温和な笑顔で我慢してんのによ。

 

「……で?# なんか言う事ある前にやらなきゃなんねーことあんじゃねーの?

 おいコラ草のお嬢様よぉ? レレレだけじゃわかんねーぞオイコラ」

「ディァーッ!! ディァァァッ!!」

 

ドレディアさんにしては珍しく歯に物が詰まったような感情表現で

俺のイライラは限界付近にまで到達しており、思わず口調が荒くなってしまった。

そしたら急にドレディアさんはジャンピング土下座を始めた。

ぴょぃーんと跳ね上がり【すいませんっ!! マジすいませんでしたぁーーー!!】と

ジャンプした後に土下座を繰り返した。

 

「なードレディアさんよぉ。ごめんで済んだら警察いらねーって言葉知らんの?

 俺にゃ何に対して謝ってんのかさっぱりだわ(笑」

「ドレレディディアレディアドレディレレレドドレディアディアレ……」

 

もうめんどくせーからポケットに手を突っ込んで土下座謝罪を聞いた。

今までの俺に対する態度はなんだったのかと思う程に今回は腰が低い。

やはり笑顔が効いたのだろうか。

頭ごなしに怒るより誠意を持って笑顔で接する事も必要だよね。なんかイライラすっけど。

 

 

「ホ、ホァアァ~……ホォァ~……」

 

【ご、ご主人様……前に人間の笑顔って元々は

 獲物に対して向ける威嚇行動って仰ってましたよね……?

 今ドレディアちゃんに向けてる笑顔がまさにそれなんですけど……】

 

 

あれ、マジっすか。

おかしいな。

 

 

 

 

ま、色々あったけど無事シオンタウンに到着だ。

グリーンさんは犠牲になった気がするけど将来チャンピオンになるだろうし

こんなところでくじけはしないはずである。

 

これからこの街で俺達は何をして、何が出来るんだろうか。

とても楽しみなもんである。まずは1曲歌いてぇなぁ。

色々試したいし、まずは街の西でミュウと逢ってこようかな。

 

 


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