うちのポケモンがなんかおかしいんだが   作:右肘に違和感

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4話 破壊姫

 

先程研究所のラボで、初めての相棒であるドレディアさんの

ステータスのイカれっぷりを確認した後、なんとか頭の再起動に成功。

 

とはいってもあの時に発言した通り、まずは帰るだけなんだが。

確認した所で即座に旅立つとかどこのゲーム主人公や。

 

気絶した時間を除いても多分1時間はあの研究所に居たし

そろそろ母さんも帰ってくる頃ではなかろうか。

 

「しかし、ねぇ……んーむ」

「ディ?」

 

視線を横で歩くドレディアさんに目を向けると

なんぞや?といった感じに首をかしげる。

見た目だけはお嬢様なのでとても可愛い仕草である。

 

 

そして考えるはこの可愛いドレディアさんの、色々な意味での異常っぷりである。

前世でゲーム内容を覚えている限り、突然変異なんて言葉は

とんでもなく低確率で出てくる色違いのポケモンとかの事の様な気がする。

 

実際ニコニコ動画の某動画でも色違いの鯉王を自力でGETするために

えっらい回数釣り上げたり、卵作ったりしてた。

 

突然変異という名にふさわしい低確率なわけだが

このドレディアさん、色が違うってわけでもなし。

 

実際性格の見たまんまのステータスだったし、一体どういうことなんだろう?

 

「……あ。もしかして攻撃の高さかな?

 確かはなびらのまいが物理にしか見えないとかネタにされてたよな」

 

そのネタだけを考えるに、物理にしか見えないって事は

要するに特殊扱いの攻撃ってことだろう。

何度も言うが見た目だけならお(しと)やかな御嬢様なのだ、ドレディアさんは。

どう見ても物理特化のアタッカーには見えない。腕とかぺらっぺらやぞ。

 

けど、それにしたって努力値の数字でも

こうげき振りで凄まじいグラフの伸びを示していたしなぁ……

 

「とりあえずわからない事は先駆者に聞くのが常套手段だよなぁ。

 博士はいつ帰るかもわからんし、シン兄ちゃんに聞いてみよう」

 

ひとまずの状況整理も付いた。

コアユーザーでなかった分だけ、何が違っているのかわからん。

可愛いイメージしかなかったからなぁ、種族値とか把握してないんだよな。

 

 

 

 

 

 

「たーだいまぁー」

 

自分の家の玄関を開け、いつも通りの帰宅挨拶。

靴を玄関で脱ぎながら家の中へと入る。

 

「あーい、おかえりー」

 

一方家の中から聞こえるシン兄ちゃんの声は

普段から旅に出ていて家に居ないため、久しぶりすぎて聞き慣れない挨拶。

次はいつ行ってしまうんだかなぁ。

そして普段から聴き慣れた声は聞こえない、つまり。

 

「どこまで行ってんだろうねぇ、母さん」

「さぁねぇ……まあ空の旅は楽しいからね、ネジが緩んじゃったんだろうね。

 ところでそっちの子が、タツヤのこれからの相棒かい?」

「あ、うん。この子、ドレディアさん。

 まあシン兄ちゃんなら見た事もあると思うけど」

「うん、ドレディアは何度も見た事あるね、手持ちには居ないけど……

 今まで逢ったドレディア達は可愛く着飾られて凄かったなぁ」

「…………#(ビキッ)」

『ッえ……!?』

 

うぉおおおぉいッッ!?

なに青筋立ててらっしゃるんですかドレディアさんッッ!!

しかも若干ゆらぁりと動いてんぞこの子!!

なんだ、あれか?! 比べられたのが嫌だったか

着飾るのが軟弱だ、とかか!? 暴れられたら困る……!

 

……ッチ、効くかどうか判らんが───最終手段だッ!

 

「ドレディアさん、もし家族に手ぇ出したら……

 ……3日間ご飯無しね?」

「─────ッッッ!!?」

 

 

ご飯で縛りきれるか不安だったが

様子を見るからに、こうか は ばつぐんだ!!

あれか、お嬢、お姫じゃなくクレイジーだからこそか。

飯、重要なのか。ドレディアさん。

 

「えーと……タツヤ?」

「あ、うん……なんかこのドレディアさんって他のドレディアと違って

 すっごい変わってるらしいんだよ、苦労するぞー? って言われたし」

「ディアーーッ!! ドレディーアーーーーッ!!」

 

ドレディアさんがマジ泣きしながら俺の手を揺らす。

ああ、うん。大丈夫よドレディアさん。

『飯抜きはマジで勘弁してーーー!!』ですよね。多分。

 

「てな感じに普通のドレディアとは掛け離れてる感じ」

「ディ……#」

 

比べんな、ってか? そんな感じでの青筋かねぇこれ。

説明するにはまずそこからしなきゃならないんだし他にどうせぇっつーのよ。

勘弁してくださいドレディアさん。

 

「あ、はは……ま、気が強いって事だね。斬新でいいと思うよ、僕は」

「っていうか性格も聴いた事がない感じでさぁ。

 しかもなんかナンバーの横に【突然変異★ミ】とか描いてたんだよ」

「─────えーと、多分聞き間違いだよね?

 僕の耳おかしくなったかなぁ、突然変異なんてあるわけないよね?

 アッハッハッハッハ」

 

ところがどっこい。

 

「はい。ドレディアさんのステータス」

「う……うん」

 

読み込んでポケモン図鑑をシン兄ちゃんに手渡す。

そしてシン兄ちゃんはおもむろに図鑑を見ていって─────

 

 

 

 

 

 

パタン。

静かに図鑑を閉じた。

 

 

 

 

 

「こういう時、どんな顔をすればいいかわからないんだ……」

「笑ったら殴られると思うよ」

「やっぱり?」

「ディ。」

 

こら、腕をぶるんぶるん振るうんじゃない。

シン兄ちゃんも若干引いてるじゃねーか。

ドレディアさん、殴ったら飯抜きになるの忘れてない?

 

 

 

 

「─────まあとりあえず僕から言える事は」

「うん、お願い。何が突然変異なのかさっぱりわからないんだ」

 

さて何が違うのか……。

 

「ドレディアはそもそもが、くさ単体のタイプだよ。

 かくとうタイプが混ざってるなんて、聴いた事もない」

「─────えぇぇーー。」

 

そんなところから既に違うんかい。

 

「それに技の名前も見せてもらったけど……

 特にこの上の二つ、なんなんだ……? 全くわからないよ。

 性格がクレイジーって聴いたけど、技がダーティー過ぎるよ」

「ああ、やっぱそうなんだ」

 

うまのりパンチとがんめんパンチだっけか。

明らかになんてーか、技っていうより喧嘩屋の動きの事だもんなぁ。

KOFのラルフさんの超必殺っすか?

 

「ディァー?」

「ん?一体なんなんだ、って?」

 

えーと。どう説明しよ。殴られたくないし。

 

「─────ドレディアさんは凄い、んだってさ」

「……ッ!~~~」

 

あら、顔背けられちゃった。

若干顔赤いのわかるし照れてるんだな。

一応褒めた範疇に入る内容だったから、まあ照れるかな?

 

 

 

 

「─────ま、とりあえずは、うん。

 全部だね、全てが『有り得ない』の一言だよ。

 凡人で終わるか、超越するか、全然わからないね」

「ま、そりゃそうだよねぇ。でも俺はやり方次第じゃ化けるとは思ってるよ。

 実際親しい人間に全力で顔パンやっちゃう子だし……」

 

オーキド博士も顔面陥没させられて今病院だwwwって言ったら

シン兄ちゃんはあとずさりまでしてしまった。

 

 

正直なところ、俺の素人観点からすると化けるとしか思えない。

聴く限りだとドレディアって種族はとくこうに強さがある子達ってわけだし

そんなのがいきなり物理攻撃でぶん殴ってくるとか

予想外すぎる事にしかならんっしょ。

 

勝負事の世界で生きていく場合は、どういう形であっても不意打ちとかって大事だからね。

 

「んー、そだねぇ……強さの段階もLv15付近なら……

 僕のパソコンの中に居る子たちと少し戦わせて、どんなものか見てみようか?」

「ぉー、初バトル? 助かるよ、シン兄ちゃん。

 このまま外出したら下手したら世紀末化しかねないと思ってたから」

「…………ァア゛?」

 

うわぁ、やっべぇすごい顔でメンチ切ってこっち見てるー。

やめてー。やーめーてー。仕方ないだろー。

どうやって考えても野良のポケモン血祭りにする光景しか見えてこないよー。

 

「あ、ははは……まあ、ちょっと部屋でパソコンいじってくるよ。

 少し待っててね、ドレディアちゃんとタツヤ」

「あーい、わかったー」

「…………ディ」

 

 

そう言ってシン兄ちゃんは2階に上がっていった。

ひとまずの会話の区切りが付いたためか、ドレディアさんも

こちらをガン見するのは一旦やめたようである。

 

準備するもん殆どないけど、適当に考えてみるかぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

てか母さんいつになったら帰ってくんのさ。洗濯物、まだ洗濯機だよ?




ギャラクティカファントム、ロマンあってかっこいいよね。

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