うちのポケモンがなんかおかしいんだが   作:右肘に違和感

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完全に趣味が入ってます。




54話 ナゲキ

 

 

 

 

どうしよう。

 

 

 

 

 

 

どうしてこうなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ナゲキが……ナゲキじゃなくなった。でもぶっちゃけこれはかなり嬉しいな。

 

 

 

 

 

……ッハ?! いかんいかん。周りを置いてけぼりで一人ごちてはいかん。

まずは思い返そう、一体ドウシテドンドコド。

 

 

 

そう、あれはダゲキがなんか豪鬼っぽいのに進化して

問題を色々片付けた翌日、つまり今日の事だ。

 

 

 

 

~~~~~時間逆流中~~~~~

 

 

 

 

さて、時をすっ飛ばして悪いのだが基本的にダイジェストだ。

 

 

まず……帰って寝たくなったゲフンゲフン、帰って寝たくなった出来事であるダゲキの突然進化。

ストⅡの豪鬼にしか見えない進化を遂げてしまった件だが……

 

ストⅡの豪鬼も人の話を聴く気配がないという印象は持っていたが

それと同じでこの元ダゲキも進化した直後から人の言う事を一切聴かなくなった。

なんかこう、ただひたすらに自分の拳を確かめたいみたいなオーラが出まくってて……

 

 

仕方が無いからこうしてやった。

 

 

1.勝負を挑む。相手はドレディアさん

2.試合は白熱、進化系のLv43相手に普通にやりあうドレディアさんが恐ろしい。

3.途中でダグトリオも参戦させる。全員ヒートアップの上で元ダゲキ超不利。

4.トドメにナゲキとミュウも参戦させる。

5.ミュウのサイコキネシスで足固め

          ↓

  ダグのトリプルリンダさんシュート

          ↓

  ドレディアさんのうまのりパンチでオーバーキル

          ↓

  暇だったので俺もトドメにメリケンで股間にパンチ1発

6.ぶん投げたポケズを回収後、カメラモードを起動。

7.服、全部ひんむいて素っ裸にして吊るして写真撮影。

8.起きた後全部を説明、素直にしなきゃ増刷してバラまくと脅す。

9.平和的解決。被害は何も無かった。

 

 

平和っていいもんだよな~。

 

 

「…………オッス……!」

「おいおい何悔し涙流してんだよ。別に何もなかったんだからいいじゃんかよー」

「ッ…………;;」

 

俺にはよくわからないがどうやら結構悔しいらしい。

一応卑怯だぞと元ダゲキにも言われたんだが

 

「知らんよ」

 

って言ったら黙りこくった。俺が一体何をしたと言うんだ。

 

 

「ディ……」

 

 

あれ、ドレディアさんにも非難の目を向けられた。

何故だ、何故なんだ。誰か教えてくれ。

 

 

 

 

そんな感じで訓練どころじゃなくなったから、その日はいい時間になってたしそれで終了。

帰った後にプリキュア達とのふれあいもあったのだが、サンドのほうが大事なので割愛。

元ダゲキも元ダゲキで帰ってきた後に俺の飯がある事を思い出し

 

【逆らってたら飯が食えなくなる……!? → プライドなんてカスだろ】

 

という結論に達したようで、すっかり大人しくなった。

まああの写真は何かあった時用に保管しておくが。

 

 

そして翌日である今日。普通に修行を再開して

元ダゲキは実力が上がったのもあるし、ダグトリオ全員を相手取り組み手をやってもらっていた。

実質ダグトリオ、あいつら一匹一匹がイカれたステータスのディグダって感じだから

進化して実力が跳ね上がっててもさすがにきついようである。

 

加えて、元ダゲキが俺をチラチラ警戒してやがる……なんもしねーっつーの。おそらくは。

 

とりあえずあちらはアレで放っておいてもいいだろう。

次はナゲキへの概念説明だ。それに加えて投げという限定なら

色々と教えられる事も多いはず。関節技とか。

 

 

「じゃ、あっちはあっちでやらせておくとして……今日はナゲキに色々と教えて行こう」

「オッスッ!!」

 

きっちり正座して俺の話を聞くナゲキ。

さすが執事のポケモン、礼節がしっかりしているもんだ。

 

「ナゲキに聴きたいんだが、投げってどういうもんだと思ってる?」

「ゥ……ゥモン?」

 

ある意味なんだそれはと言われても仕方が無い質問をし

案の定ナゲキは返答に困ってしまったようだ。

 

一応結論は【掴んでぶん投げる】という回答をもらった。

 

「まあ、それで問題ないよ。じゃあナゲキは『どこを』掴んでぶん投げる?」

「…………?」

 

【そりゃぁ……腕とか服っぽいのがあればそことか……】

 

ふむふむ、まあやっぱりってところか。

あの模擬戦でも感じたが、ナゲキの中では『投げ』は『投げ』でしかないようである。

 

「じゃあまずその概念を拡大していこうか。

 今から攻撃するからちょっと躱してくれるか?」

「ゥモ……ン?!」

 

そうして俺はテキトーに、それこそ10歳という年齢同様程度の子供騙しの蹴りをナゲキに入れる。

見え見えだったのもあり、普通にナゲキはそいっと体を反らしてかわした。

 

で、俺は蹴ったままの体勢でストップ。そこでナゲキに問う。

 

 

「今、この瞬間さ───足を掴んで投げれないか?」

「ッ?!?!」

 

言われてハッとし、お試し程度に俺の脚を片手で掴んでみるナゲキ。

 

「今回は俺が事前にお前に対して警告してたから、軽く躱せたけどナ……

 まあ実戦じゃそこまでうまく行かないもんだ」

「オッス」

 

見るからに鈍足そうだしな、ナゲキって。

 

「でもそれをまた、別の方向性を持ってうまくやる方法がある」

「…………?」

「今度は躱しちゃダメだぞー」

 

そう言って俺はのんびりとナゲキに対して拳で手を出した。

威力も無い子供の拳なのもあり、俺の手はナゲキの肩にトンッと当たって止まる。

 

「今、俺の攻撃に当たっちまったよな」

「オッス」

「ここで掴んで投げればよくね?」

「!」

 

そういうこと。

この世界、カウンターはカウンターとして存在するが

別にカウンターが発動する際、拳や蹴りでなければならないというルールは存在しない。

 

ナゲキは体格上、やはり鈍足タイプのようだ。

しかしこれでタフではない、と言われても俺は信じられん……受け止める硬さ位はあるはずである。

 

「そういう形で考えたらさ、あの時の模擬戦のダグONEも蹴り頻繁にやってたろ。

 当たって止めて掴んでってやれば、まだ攻撃をしっかり発動出来てただろ?」

「オッス!」

「『要は考え方次第』ってことさ、別に自分から掴みに行かなきゃなんねーって事もない。

 掴める所で掴む、これが大切だと思うんだ」

「(コクコク)」

 

こんな感じで概念を植えつけていった。

 

 

「じゃあ次は技を教えていこう、ドレディアさんお願いします。」

「ディッ!」

 

そうして、ドレディアさんの出番が回ってくる。

さて、なんでここで打撃技が主体の……しかも人にモノを教える事にとことん向いていなさそうな

緑の暴れ姫・ドレディアさんをここで引っ張ってくるか?

 

んっふっふっふ……何気に彼女は打撃技だけではないのだ。

そう、何を隠そう彼女は……

 

 

 

 

 

『プロレスわざ』を覚えている!!

 

 

 

 

 

「そんなわけでドレディアさんは色々と投げ技を使える(はずだ)から

 投げに該当する事をナゲキに吸収していってもらう」

「ゥモン!!」

「手ぇ抜いて覚えちゃうとあーなっちゃうからな?」

「?」

 

そう言って俺が指差した先をナゲキも確認する。

その先にはダグ共の連携技を完璧なタイミングでモロに喰らって

ぶっとんで木に激突してめり込んだ元ダゲキが存在していた。

 

今必死にミロカロスが木から取り出そうと頑張っている所だった。

 

「(゜д゜)」

「ドレディアさんはあーいう方向の手加減、皆無だからな。

 油断してっとレベルが圧倒的でも昨日のダゲキみたくなっちまうよ?」

「(;゜д゜)」

「ディ。」

「(コクコクコクコク)」

 

そしてナゲキはより一層気を引き締める。

非常に説得力がある風景が近場にあってよかった。

 

「じゃぁドレディアさん、ナゲキに技を教えてやってくれ」

「ディァッ!!」

 

威勢の良い声と共に、ドレディアさんは草スカートの中からビンの栓抜きを取り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待てやコラァァァァーーーーーーッッ!!

 おまっ、なんでよりにもよって最初に教えるプロレス技が凶器攻撃なんだよっ!!」

「ディァーッ?!」

 

【プロレスと言ったらこれしかないだろ?!】とか返してきやがるドレディアさん。

お前は一体何処で間違った知識を吸収してきてんだおい。

 

「投げ技系を教えるっつっといてそれはねえだろッ!アホかッ?! アホなんですね!?」

「……#」

「(´д`)」

 

あまりの内容にナゲキが呆れてしまっていた。

無理もない……なんで投げを教わるためにここにいるのに、いきなり栓抜きを出されなければならんのか。

 

 

 

 

ま、そんなこんなでナゲキには色々と教え込んでいった。

 

「そうそう、そうやって首から引っこ抜くように持ち上げて

 地面に叩き付けるのを垂直落下式DDT、またはナイアガラバスターって言うんだ」

「オッス!」

「ディッ!」

 

 

「こんな感じに足を組み合わせるとすっげー痛いだろ。

 人間系限定だけど、間接の攻撃も非常に有効だ。これを足四の字固めと言う」

「ゥモーーーーーーーーッ!!」 パンパンパン

「ディァーwwwww」

 

 

「そう、肩で持ち上げて……相手の背骨を自分の首を軸にして

 折るように締め上げるのを、アルゼンチンバックブリーカーって言うんだ」

「ゥモーーン!!」

「アッーーーーーーーーーー!!」

 

ちなみにキン肉マンだとロビンマスクが使う『タワーブリッジ』に該当します。

 

 

「そんな風に自分の体重も使って、相手を道連れ式に叩き付けるのを

 S・T・O、正式名称スペース・トルネード・オガ○だ」

「ゥ、ウモン……?」

「うん、大丈夫。結構痛いけど大丈夫。あとでミロカロスとサンドに癒してもらうから」

「m9wwwwwwwwww」

「指差すなドレディアコノヤロウ#」

 

 

 

 

 

 

「教えていくと時間なんてあっという間に過ぎ去るなー……」

「ディーァ」

「オッス」

 

他にもパワーボムだの、パイルドライバー、あの時使ったキャメルクラッチ。

挙句の果てにはラリアットだのと教えて行き(STOへ派生するといって無理やり納得させた

気付けばもう時間も15:00辺りである。

途中元ダゲキはしこたまダグトリオにぶっ飛ばされたらしく

気迫も形無しである。とりあえず横目で見て8回K.Oされてたのは確認した。

 

「ま、今日覚えた事をこれからの模擬戦にも役立てて、実戦で躊躇しないように訓練していこう」

「オォッスッッ!!」

「明日はナゲキがダグトリオと戦ってもらうからね」

「(゜д゜)」

「大丈夫大丈夫。お前Lv81だろ? そんな簡単にやられねえって。

 逆に倒せんじゃないのか?」

「……(;゜д゜)」

「あ、やっぱきつそう……?」

 

 

Lv81がここまでの顔をするとか……どんだけぶっとんだステータスしてんだよダグトリオ共は。

 

 

「ドレディアさんもお疲れ様。

 今日はありがとうね、知ってる人が一人居るだけでやっぱ違うもんだわ」

 

俺は頭の花辺りをぐしぐしと撫でながら、横に居たドレディアさんに礼を言っておいた。

 

「~~~///」

 

あら、こんなのでも赤くなっちゃうか。

素直に礼を言われるのに慣れていないってところか。

 

 

……なんすかミロカロスさん。こっち見てニヤニヤすんなし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ててててーん♪

 

 

「ん?」

「ディ?」

「オッス?」

 

これは……ポケズのアラートだ。

あれ? 今冬季休暇の前倒しで臨時休業とか書いてなかったっけ。

アプリ的なもんは使えてたけど。

 

とりあえずテントの中においていたリュックからポケズを取り出し、操作をして画面を表示させてみた。

 

[> ダグトリオ?は

   レベル29ていどに あがった!

 

[> ゴウキ(でいいですよね もうめんどいし)は

   レベル45ていどに あがった!

 

[> ナゲキは

   レベル82ていどに あがった!

 

ふむ、まあ修練の終了と取られたんだろうな……けどなんだこれ、突っ込み所が満載すぎる。

 

そうか、あいつは見た目のまんまゴウキって名前になったか。

なんか今画面上で妙な同意を求められた気がするが……

あんだけ育ち難いダグトリオでも、あれだけ組み手をやらせたら3も上がるか……そんな事より。

 

「お前休業中じゃなかったの?」

 

[> わたしたちの とうききゅうぎょうは きほんてきに

   たったの1にちしか ないのです

 

「ああ、そうなの……」

 

ブラック企業乙って感じだが、すっげーどーでもいい。

 

「てーかお前さぁ。いやお前ってか中の人。

 あんたこの世界のどっかのコールセンターとかそんなのから見てんだろ」

 

[> コールセンターとは なんでしょうか?

 

あれ?

 

「いや、あんた明らかに中身人間だろ」

 

[> いえ わたしの なかみは

   ただの ポケモンずかんで ございますよ?

 

……。

こりゃ博士に持っていって換えてもらっても無駄そうだな。

子供の夢は壊してはならないってか……。

 

 

ぴこぴこん♪

 

 

「え」

 

 

 

おい。

最近この音聞いたぞ。

なんか、元ギャラドスの辺りで。

なに? 進化すんの? 誰がだよ。

 

 

[> おや ……!?

   ナゲキの ようすが ……!?

 

 

……はぁ、またか。

三回目はさすがにお腹一杯です。

 

 

そして恒例の音楽とともにナゲキが光り輝き始め───

 

 

 

 

 

フォ~フォーン、フォフォーフォフォーン。

フォーフォー、フォフォフォフォフォフォーン。

 

 

 

 

「え……」

 

 

 

 

なんだ、この音楽……いつもと違うぞ?

いや、っていうか……俺、この音楽聴いた事あるぞ……!?

 

 

 

「な……これ……ま、まさか……!?」

「ディァ?」

「ホーァ?」

 

 

 

お、おまっ……ポケズ……!? なんでお前がこの音楽を……!?

この世界にあの人は存在していないはずだぞ?!

いや、それどころか既にあの現世にすら───

 

俺の動揺は完全に放置され、ポケズからは「あの音楽」が流れ続け

ナゲキはどんどん進化のフォルムを形成していく。

 

 

 

 

フォーン、ダンダンダッダダン、ダダッダッダダダ↓

 

ダンダンダッダダン、ダダッダッダ、ダダッダン。

 

 

 

 

そして俺が知る、「あの音楽」の前奏が終わると同時に

ナゲキは、一層光り輝き───!

 

 

ピカァァァァァァン!!

 

「ディァー!」

「ホォァー?!」

 

例の如く、うちの子達は驚いて目を伏せるが

俺はこの時ばかりは光も気にせず、ナゲキを注目するしかなかった。

思わず期待せずにいられない。あの音楽が本物なら……

例え本人でなくとも、本人ではなくとも……!!

 

 

 

 

 

光が収まりそこに居た元ナゲキは

 

身長が1.3mからおそらくは1.8m辺りにまで伸び

 

着ていた柔道着は姿形もなく、見につけているものは

 

黒長に炎をあしらったかのような赤い模様が混ざったズボンと、変わらぬ太眉頭部に白い鉢巻。

 

体格も身長こそ伸びてはいるものの、そのずんぐりした体格はなお変わらず。

 

そう、まさに。プロレスラーの名に冠する体格だった。

 

 

 

 

             ~推奨BGM:爆勝宣言~

 

 

 

 

 

 

「ッシャァオラァーッッ!!」

 

 

 

 

 

[> おめでとう!

   ナゲキは ハカイオウに しんかした!!

 

 

「は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 橋本ォォォォオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーッッッ!!」

 

 

 

ただの、進化した手前の似ている形なのだろう。

ダゲキの元ネタだって、漫画か現実かはわからないが

熊殺しの人をモチーフにされているっぽいと聞いた事がある。

 

そして、このナゲキの進化のモチーフは明らかに……

2005年に急逝してしまった、元新日本プロレス、闘魂三銃士の一角。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

破壊王・橋本真也の姿となった元ナゲキが、そこに居た。

 

 

 

 

 


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