うちのポケモンがなんかおかしいんだが   作:右肘に違和感

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・作中のリンダさんシュートについて。

文字だけではイメージがいまいち浮かばない人も多いと思います。
元ネタの単語は全部作中初登場の際に入れていますが、それで検索するのも面倒という人もいるはず。

そういう人用のために、小説家になろう関連ページである挿絵投稿サイトの「みてみん」に
リンダさんシュートの際、どうやって動いているかの図説をペイントで作って掲載しました。

ダグ達の素晴らし(くキモ)い動きをさらに想像したい方は
みてみんのページで右肘に違和感という投稿者を探してみてください。
そこに載ってるはずです。




56話 平穏。

 

 

「ふー……」

 

 

全力での遠投を終え、俺は一息ついた……んん、肩の調子が下がってるかな……?

肩といえば、パワフルプロ野球のサクセス久しぶりにやりてーなぁ。

この世界には無いからまず無理だが……シルフカンパニーに企画でも持ち込んでみようか。

 

 

「やっぱタツヤんが原因やったなwwwwwwwwうちは君しかおらんと思っと───」

「ゴウキ。あれに瞬獄殺。」

「ムンッ………!」  - = Ξ Ω ギュォォォオン

「え、ちょ       」

 

 

そ、その動きは、トキ……!?

ズガガガガガガガガガ(ぺちぺちぺちぺちぺち)!!

 

 

 

 

                               15HIT COMBO!

                  K.O

 

                   天

 

 

 

 

「南無三……アカネさん、今はゆっくり眠れ……」

「あ、アカネちゃーーーーーんッ!?」

 

ゴウキがやっぱり覚えていた瞬獄殺で、アカネさんを黙らせる。

まあ音を聴く限り、ちゃんと手加減も出来ていたようだし問題なかろう。

 

「はー、本当にいつも通りすぎるわねぇ。今日も平和な一日になりそうだわ」

「失礼な。俺もポケモンじゃないのが進化するなんざ初めてですよ」

「どっちにしろ原因はやっぱりタツヤ君だよ……」

「そうね」

「アカネちゃーーーーーんッッ!! しっかりしてぇーーーーッッ!!」

「わ、我が生涯……一片の悔い無し……」

 

 

まあ確かに原因俺だったんだけどな、不名誉すぎて納得いかねえ。

っと、そういえば……?

 

「出かけるって話でしたっけ? ミカンさん」

「あ、そ、うん、そうだけど……もう買い物終わってるんじゃ……?

 っていうかッ! アカネちゃんに攻撃させちゃダメじゃないですか!!」

「大丈夫だ、問題ない」

「大問題だよーーーーーーーぅ!!」

 

 

綺麗な笑顔でエルシャダイをする俺に、腕を振りながら詰め寄ってくるミカンさん。

あーこれサーナイトだったら幸せだったのになー……

 

 

どっすっ。

 

「はぐっ?!」

 

べちこーん。

 

「おにゅぁッ!!」

 

何故かいきなりボディーに顔面にと連続で攻撃を食らった。

な、なんじゃっ……?! アカネさんの怨念か!?

 

「ディ~#」

「ホォァァァ#」

 

また貴様らか犯人は! なんでそういきなり殴って来るかね貴様らはッ!

もういいわッ! 俺、体は子ども、頭脳は大人のあの子呼んでくるからッ!

 

「ははは……相変わらず、懐かれてるみたいだね」

「どこがやっ?! おもっくそ殴られとるやんけ!」

 

思わず関西弁になってレッドさんに反論してしまう。

これで懐いてるとか有り得ねえよ。むしろ手頃なストレス発散のサンドバッグじゃねえか。

 

 

 

 

 

ガサガサガサガサガサガサガサ。

 

 

 

 

「あん?」

「ん……?」

「え……?」

「あら……」

 

なんか妙な音が聞こえてきた……なんだろう、虫が這い寄るような。 

 

 

 

 

「何も投げ捨てなくてもいいじゃないですか……」

 

「はっ?」

 

 

 

え、投げ捨てる?

 

俺は声がしたほうに振り向いてみる。するとそこには───

 

 

 

 

 

 

 

誰も居なかった。あれ?

 

「ミカンさん今俺に話しかけてないですよね?」

「は、はい。というか私も今、聞こえました」

「あれぇ?」

 

もっかい声がしたほうを見てみたがやはり何も居ない。

 

「下。下です。アンダー。その視線から目線を下に向けてください」

 

あん?

言われた通りに地面を見るように、目線を下げてみる。

 

 

そこには元ポケモン図鑑がいた。

なんか図鑑全体の四つ角に、鋭く尖った蜘蛛みたいな機械足が生えている。

 

 

 

俺はそれを拾う。

 

「いきなり投げ捨てるのは流石に酷いですよ? これからはちゃんと」

 

 

 

 

肩と腕、背中に力を振り絞り、今回は助走をつけて全力で投球した。

 

                                             アァ

                                                 ァ

                                                   ァ

                                                     ・

                                                      ・

                                                       ■

 

「うん。まあやっぱ気のせいだったっす。ごめんなさい」

「え、えーと……」

 

 

どうしたんですかミカンさん、そんな私、どうすればいいのみたいな顔して。

 

 

「まあここにいても気絶したアカネさんしかいませんし……

 まずはポケモンセンターにでも帰っておきますか。出歩くにしても風呂位は入りたいですし」

「わ、わかったよ。じゃあセイリュウに乗せてもらおうか」

「んですね、よろしく頼むわセイリュウ」

「ギュガ~~」

 

ハカイオウにアカネさんを背負ってもらい、全員でセイリュウに乗り込んだ。

ふわり、と重力を無視し、蒼の龍は華麗に空へと舞い上がった。

 

 

「わぁーすっごーい……空ってこんなに景色がいいのねー」

「キューキューッ!!」

「私のハガネールもこんな風に飛べたらなー……」

 

なにやらコタツさんがかなり怖い事を想像している。

ミカンさん、そりゃさすがに無理ってもんです。

しっかし相変わらずの大スペクタクルだ……空飛ぶポケモン、俺もゲットしておこうかなぁ。

 

「わ、我が生涯……一片の……」

 

もうええっちゅーねんそれは。

 

「私を置いていかないでくださーいッ!!」

 

そんな時、横手からなにやら苦情が聞こえてきた。

……ん? 全員揃ってるよな……別に誰も置いてってなんか───

 

 

 

 

 

 

横を見てみたら俺の元ポケモン図鑑が、図鑑の一部から炎をジェット噴射しながら飛んで来ていた。

しかもセイリュウの動いている速度にこの小型で付いてくるとか。

 

「セイリュウー、ちょっと頼みあんだけどー」

「ギューガー?」

「尻尾さ、軽く左右に振ってみてくんね?」

「ギュガ?」

 

【こうかな?】という感じに尻尾を軽く振ってくれるセイリュウ。

うん、それでいいよ。ありがとうー。

なんかぺちんって音がしたのはきっと気のせいだからね。

 

                                 ア

                                    ァ

                                      ァ

                                        ・

                                         ・

                                          。←

 

 

 

んで結局……元ポケモン図鑑は振り切れずポケモンセンターに到着した辺りで

割かし普通に追いついてしまい、俺の頭の上にスチャっと着地しやがった。

馴れ馴れしすぎたが故にドレディアさん達が嫉妬でもしたのか

ポケズを頭から叩き落として後ろでボコってたが。

 

 

『─────。』

 

【主殿も大変であるな……】

 

「やっぱ俺の味方、お前だけだわ……」

 

やさしくぽんぽんと肩を叩かれ、思わずしみじみと呟いてしまっていた。

ダグトリオ、お前らは本当に俺の清涼剤だよ……

ほら……小遣いやるよ、これでなんか好きな物買って来い。俺コーラね。3分な。

 

 

「ふっふっふ! Ver2.0の私には衝撃吸収装置も防水性能も付与されているのですッ!

 あなた達が何をしたところでこの私をあ、ちょ、それは反則、やめてッ!」

 

 

後ろをふと見てみたらどっから持ってきたのか

ドレディアさんがマイナスドライバーを手に持ち、ポケズを分解しようとしてた。

 

なるほど、やはりそういうことか。

 

「ドレディアさん」

「ディーア?」

「はいこれ」

 

俺はそういってレジャー道具の中から常に持参していた、十得ドライバーを手渡しておいた。

 

「なにやってんの?! ねえマスターなにやってんのあなた!?

 別にいいじゃないですか!! 私が進化してもいいじゃないですか!!」

 

俺には何も聴こえない、手渡してポケモンセンターの中に入っていく。

 

「あ、あれ……本当に良いのかい? オーキド博士から貰ったものなのに……」

「俺、思うんです……物事には限度ってもんがあるって。

 俺もう生きるのに疲れました」

「そこまで疲れちゃったんですか……タツヤ君……;」

「まー、あれだけ濃いのに囲まれてたら流石に私も疲れそうだけど、ね」

「キュー」

 

皆さんから色々な意味での同情をもらい、俺の心の切なさはマッハです。

 

ま、風呂入るべ風呂。そっからだ。

 

 

 

 

うむーさっぱりしたのである。やはりお風呂は最高やってん。

小銭を使い、俺は受付の横にある自販機でミックスオレを買って飲んだ。

 

「うめぇーーーー」

「それは僕も認めよう。風呂上りの乳製品はうまいよねー」

「あー、うちのミルタンクのミルクも結構うまいんやでー? 今度飲んでみる?」

『是非!!』

「おぉぅ……!? 即答レベルまでッ?」

 

風呂上りにうまいミルクなんて、至上の贅沢じゃねえか。

ていうかいつの間に復活したんやアカネさんよ。

 

「ん……まあゴウキやっけ、あの子も多少手加減してくれたみたいやしなー」

「メッサツ!」

「と、口では怖い事を申しております。」

「メッサツ?!」

 

鳴き声だから仕方ないけど、漢字にしたら滅殺ですからね。

まあ空気はしっかり読める子に戻ったようである。

あの時の俺の股間の一撃は間違っていなかった事が今証明された。はず。

 

「うう……体中いじくりまわされた……私もう博士の元に行けない……!」

「あぁ、そう。」

「冷たっ!?」

 

なにやら機械の癖に寝言をほざいているのがいるが、まあそんなんどうでもいい。

ドレディアさんとミロカロスは何故かツヤツヤテカテカしている。

良いストレス発散にでもなったんでしょーかね?

 

「んで、これからどうするんすか?」

「あーそやねぇ、うちらは生活用品でも買った後にこの街の名物……でええんやろか?

 ポケモンタワーて所に行ってみよっかなーって」

「ああ、あそこっすか」

 

みんなのトラウマシオンタウン。今まで俺が訪れたこの街ではトラウマイベントが一切なかったが

子供ながらにあの怖い音楽で恐怖していた覚えしかない。

 

あと演出上仕方が無いとはいえ、きとうしがゴースに乗っ取られてるって表現が

ずーっとおかしいと思っていた位しか頭に残っていない。

乗っ取られてんのにゴースを繰り出したってさwwww

ボールで管理出来てますwwwwwって感じ。

 

「んーそうだねぇ、僕もポケモンタワーの方は興味があるかなぁ?

 なんかゴーストポケモンがたまに出てくるらしいし」

「何気になんでそんなポケモン出てくる危険地帯を

 普通に一般人に開放してんですかね、街の人は」

「そ、それは私も街の人じゃないからわからないかな……」

「今思うとなんでやろねぇ」

「別にいいんじゃない? そこまで深く考えなくても」

 

 

論文でも発表してみようか。

危機管理がなっていないこの世界の実情、的な感じで。

 

ま、とりあえずは今日のこの後の予定は皆を連れてポケモンタワーかな?

ゴースとか空飛べねーかなぁ。捕まえるのも一考だろうか。

でもま……あそこは一応お墓なんだし、大騒ぎしないように皆に言い聞かせておかないとな。

 

 

 





>>でもま……あそこは一応お墓なんだし、大騒ぎしないように皆に言い聞かせておかないとな。

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