ダグトリオは犠牲になったのだェ、なこの状況。
要するにまあサンドがダグトリオ倒したわけである。
まあ予想はしてたんだけどさー。
なんかサンド光ってんだよね、今。
ポケズからもでんでんなってるし。
まぁ、光るだけだってんなら問題も何もないんだが
とりあえず少しだけ過去に
◇
倒れ伏すダグトリオ達、なんという凄惨な現場であろうか。
地面に寝転がる茶色い細マッチョ3匹……まるで殺害現場である。
そんな中で、色んな要素こそあったにしてもしっかりと勝ったサンドは
自分のトレーナーであるもっさんに抱きついていった。
「よくやってくれたわ、サンドっ!!」
「キューーー!!」
あれ、なんかすっげー殺したい。
俺の可愛いサンドを貴様が何故抱き締め───
ひょい
「───え? あれ?」
なんか両脇の下、っていうか脇腹から持ち上げられ……?
「あ、ドレディアちゃ───」
ヒュッ
ドゴォッ!!
「ぎゃァァーーーーーーーーーーーーッッ?!!」
「#」
けっ、ケツがっ!! 尾てい骨がッ!!
アトミックドロップだこれ?! 痛っ痛いっ!!
「おぐごごごごご……!」
「あー……嫉妬しちゃったのねぇ、ドレディアちゃん……」
「ディァ#」
「つ、つーか……ドレ、ディアさん……!! あんたの、その体に、なんでそんな硬い膝がッ……!」
「ディ? ドレディァ。」
そういって、ドレディアさんはなんとかぼちゃパンツみたいな部分の一枚を少しだけ横にずらし
膝にプロテクターがあるのを確認させてくれた。お前それどっから持ってきた。
「み、ミロカロス……先立つ不幸をお許しください……(ガクッ」
「ホ、ホァッ!? ホァ~~~!! ホァ~~~~!!;;」
あまりのケツの痛みに、俺のケツが二つになってしまいそうだ。
ミロカロスが近寄ってきて、頭で俺を揺すってくれるが
もはやケツの痛みに耐える術もなく、俺の意識は途切れて行き───
ぴこぴこん♪
「ん」
「あれ?」
「おっ」
「あっ」
またあの音っすね。
俺はすくっと立ち上がり、ポケットをごそごそいじる。
横でミロカロスが驚きながらもほっとしているがどうしたんだろうか。
そうして取り出した
「おーい、今度はなんだぁ?」
「あぁ、えーと……そちらのサンドちゃんがなんか進化するみたいですねー」
もはや普通に会話してきているこのポケズ。
ダリナンダアンタイッタイ……。
「あぁ、ついに、ついに進化してくれるのねっ、サンド!!」
「キュー、キュー」
ピカァァァァァ!!
もっさんから離れて地に降り立ったサンドは、進化中の独特の光を出し始める。
「今まで画面で文字を表記してましたけど
私も進化しましたし、もう普通に喋りながらでもいいですよね?」
「好きにしてくれ。俺の周りがイカれてるのは今に始まった事じゃねえ」
「りょーかいです♪ それじゃ音楽流しますねー」
「なんかもう色々台無しやっ!?」
「アカネちゃん。もう今更過ぎるよ」
ミカンさんはすっかり馴染んだようである。
そしてあの でんでん♪ の音楽がなっていき───
あれ? ちょっと待てよ?
サンドが進化するんだからそりゃもちろんサンドパンだよな。
つまりはあのサンドの可愛さが若干なくなってゴツくなっちゃうんだよね。
あれもあれで可愛いけどちょっと釣り目っぽくなっちゃうし……
やっぱりあいつはまんまるなオメメが似合うと俺は思うんだよ。
それに手も確かゴツくなるよな。なんか爪らしいっつーか。
でも今の時点でもきりさくを立派にやれてるし、そんなのいらなくね?
と思っているのも束の間、ついにサンドが
キュピィィィィィイイ───
「あ、ちょっと待ってサンド」
「キュッ?!」
「えっ?!」
なにやら後ろで驚いているもっさん。
そしてポケズが……
「あれ?!
サンドの 進化が 止ま───」
「ああ、進化はそのまま続けていいわ。」
「あれ、そうですか? では光らせたままにしておきますね」
うむ、気が利いているな。さすが俺のポケズ。
「ちょい待ちぃなーーーーーッッ!! 今更過ぎるけど突っ込み所マジで満載過ぎんで!!!
なんやねん光らせたままにしておくとかどういうことやッッ?! 犯人はお前かッ?!」
「私も進化しましたから。」
「そーいう問題ちゃうねん!!」
「まぁ、あれは放っておいてサンド。」
「キュ」
俺はサンドに真っ正直に言っていく。
「俺は出来ればお前に進化して欲しくない!」
「キュ……」
「ちょっとタツヤ君!? その子は私の子なのよ!
そこだけはあなたのどうこう言うところじゃないわ!!」
「じゃあ勝利金額15円ね。」
「えっ……いや……それは……って、それは関係ないじゃないのっ!!」
「まあ、大丈夫ですよ。
サンド、落ち着いて聴いてくれ」
「キュー……」
サンドはずっとピカァーっと光りながら俺の話に耳を傾けてくれる。
「でもお前だって進化は絶対したいよな?」
「キュー。」
「じゃあもう進化前と進化後の姿合わせて、いいとこ取りした姿に進化すればよくね?」
「キュっ?!」
【その発想はなかったわ】と返してくれるサンド。
「そ、そんな事出来るわけないでしょ?!」
「知らんそんなもん。俺がしたいようにやるんじゃ。
えーと……まず目だな、目。
こう、こんな感じの釣り目じゃなく、進化前のまーるいオメメで……」
「キュ、キュ」
「んで爪もいらねえっしょ。今のままでも十分芸達者だしな?
背中のは進化後のあのトゲトゲっぽいのがいいよな」
「キュー!」
「……(;゜д゜)」 ←もっさん
ちなみにこんな会話を繰り広げながら進化中のサンドをいじりまくってますが
サンドはあくまでも進化の途中。すっげー光ってます。
「んじゃまぁこんな感じでいいか。進化終わらせてみてくれー」
「キュー」
キュピィィィィィイイン!!
「キューーーーィ!!!」
そして光が収まった先に現れたサンドは。
ぶっちゃけ進化前の背中のウロコが逆立っただけだった。
でも体格はばっちり進化後な感じに大きくなってくれている。
よし、全部想定通り!!
でーんでーんでーん♪ でででででででーん♪
[> おめでとう!
サンドは サンドパンに なったけど
タツヤに じゃっかん けがされた!!
でーんでーんでーん♪ でででででででーん♪
おいお前失礼な事画面に書いてんじゃねえよ!!
「あ……あ……」
「まぁええか。どうせタツヤんやし」
「うん、そうだよ。もう私のハガネールも預けちゃおうかな?
チタニウムとかすっごい硬い子になっちゃったりして♪」
もっさんは唖然としているが、これはこれで可愛いままに強くなってるだろう?
我ながらいい仕事しすぎたわ。やばいわ。
「キューーーーーー!!」
そう言いながらサンドはもっさんに再び抱きついた。いや、サンドパンか。
ドフッ。
「……大きく、なったわね」
「キュー!!」
「進化……したのね……」
「キューーー!!」
「おめでとう……サンドパン……
おめで、とう……、う……うわぁぁぁぁ~~~ん!!」
「キュー! キュー!」
「やっど……やっど進化じでぐれだのねぇ~!!
長かっだ……長がっだよぅーーーー!! うェえええええーーーーーーん!!!」
手持ちの子が一匹進化しただけにも拘らず、何やらもっさんガチ泣きモード。
なんかあったんだな、サンドともっさんの間には。
進化しただけなのにかなり泣いてしまっている。
「うんうん、自分の初めての子が進化した時はあんな感じよな……!
ええ話や……ホンマ、ええ話や……!」
「ぐすっ……よかったね、もっさん……!」
残りのプリキュアも貰い泣きに近い形で感動を共有している。
俺の初めての手持ちの子……ドレディアさんだなー。もう逢った時に既に進化してたし……
新しく進化するかと思ったら、お腹一杯になっただけだったし……
2番目のヤツだけど、ダグトリオが進化した時は……
あれ? 俺進化で感動したのミロカロスだけだぞ? どういうことだこれ。
◇
「とりあえず……おめでとう、サンドパン! 今のお前もばっちり可愛いぞッ!!」
「キューーーーーゥ!!」
もっさんが泣きやんだ後に俺もサンドパンの方へ向かい、素直な感想を述べておく。
まあ、なんていうか……いじりまくっちゃったけど。
そして鳴き声を上げながら俺にとててててーとジャーンプ。
ドフゥッ。
「オウフっ、やっぱ重くなったな。うむ、大きくなっても可愛いぞ!!」
「キュー! キュー!」
うむむ、ここは楽園パラダイスなり!! この感触はやはり最高で───
ひょい
「おっ?!」
「キュッ?! キュッ。」
俺はまた誰かに軽々と持ち上げられてしまい、その際にサンドパンを取り落としてしまう。
しかしサンドパンはしっかり着地してくれたようだ。
ふと後ろを見てみると、ドレディアさんが居た。
「なんだドレディアさんか、どうし───」
ヒュッ
ドゴァッ。
「アッーーーーーーーーーーーーーー!!!」
け、ケツがっ?! ケツが割れたッ!!?
俺のケツがっケツが三つに割れたっ!!
「おごぉぉぉぁぁぁ……」
「キューーー!?」
「ディァァァ#」
「ホォァァァァ#」
お、俺はもう、だめだ……
「み、ミロカロス……すまない、不甲斐ないパートナーで───」
べちこぉーん。
「あぺぇー!」
ミロカロスの尻尾で顔面をぶったたかれた。ひどい、俺が何をしたっていうんだ。
ケツ痛いわ顔面平手打ち(手?)されるわでもう散々である。
「ねぇ、タツヤ君。私達の方も落ち着いたところで、その……
ダグトリオに勝った賞金、欲しいんだけど……」
「あ、そうっすね、ちょっと待ってください」
そう言われたので俺はスタッと立ち上がり、ポケットの小銭入れをごそごそする。
後ろでドレディアさんとミロカロスがややびっくりしているがどうしたのだろう。
「ば、化けモンや……タツヤんも十分化けモンや……
ポケモンの特性の『さいせいりょく』なんて余裕で超えてんやん……」
「色々とタフなんだろうねぇ」
お、あったあった、これでいいな。
「はい、もっさんこれ。おめでとう!」
そうして俺はもっさんに手を沿え、硬貨を二枚渡した。
「あ、ありがとう……ふふ、うれしいな。うん、ありがとう、タツヤ君!!」
「いやいや、なんのなんの、嬉しい事は共有しないとね」
そして俺はいそいそと、ダグ達全員を起こして周り、気付けをして回復させる。
よし、俺が乗っても平気だな? OK? わかった、じゃあ頭にっと。
「ん、どうしたのタツヤ君、ダグトリオなんて起こして」
「いやなに、移動しなきゃならなくなると思いまして」
「え、移動? ……あれ、なんか硬貨が少ないような───」
「よし、ミロカロスもダグⅢに乗れッ!!
ドレディアさんや元ダナゲキは付いてこれるな!?」
「え、な、なにこれ……じゅ、15円……?」
「ダグONE、GOーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!」
「ッーーーーーーーーー!!!」
「ッディーーーーー!!」
「オッス!!!」
「オオオオーッス!!」
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダッッッッ。
「ディ、ディァー!?」
【ど、どこに向かってんだーーーー!?】だとぉー?!
「俺が知るかぁーーーーーーッ!!!」
「ディァー!?」
「……私、もうトレーナー、やめよっかな。
15円だって……あんなすっごいダグちゃん達に勝てたのに
15円なんだって……400円って言ってたのに……」
「えーと……ど、どんまい?」
「きゅ、キュゥ……」
「あ、あの……私、300円ぐらいなら……」
「うん、ありがとう……」
ヒロインは間違いなくダグトリオ。