うちのポケモンがなんかおかしいんだが   作:右肘に違和感

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ムウマージの地球滅亡期は前回で終了しました。
本来は今回も、とある形で滅亡させようとしていたのですが
おまけではなく完全に本編に絡む形だったのですけれども
調整があまりにも面倒くさすぎて諦めました。


81話 ロケット団繁盛記 アイテムの開発

 

 

 

「ふー……今日も良い朝だ」

「ホ~ァ~♪」

『ッbbb』

「△▲☆★~♪」

 

綺麗な朝日を浴び、俺らはポケモンセンターから出てそれぞれの行く場所へ向かう。

 

ちなみにドレディアさんは朝早くから出ている。光合成しながら頑張っている事だろう。

 

俺達がタマムシに来てから既に一ヶ月が過ぎようとしている。

そういやもうちょいで俺の誕生日だなぁ……31回目の。

 

ま、この辺りまで生きている人ならもうお分かりと思うが

誕生日如きで大騒ぎする年齢は既に通り越してしまっており

こちらの世界でそれを祝ってくれる人が居ることは素直に嬉しいが、別段どーでもいいのが本音。

手持ちの子達にも俺の誕生日は言ってないし、今年はそのままスルーとなるだろう。

 

 

「んじゃまた昼にでもー」

 ○ノ ○/ ○ノ      ←ダグ共

「△▲☆★ー!」

 

そうしてムウマージと地面三人衆は街の外の方へ歩いて行き

俺とミロカロスはそのまま弾頭地下施設へと向かう。

 

 

あいつらがが一体何をしているかについてだが、どうも最近のんびりしすぎている感じがあるとの事で

ムウマージの指揮下の元、色々と鍛えているのだそうだ。

 

レベルからして色々な経験が段違いなんだそうで、参考になる事が多々あるらしい。

 

 

「ホ~ァ、ホァ」

「ん、なんだねミロさんや」

「(クイッ、クイッ)」

「たまには背中に乗らないか、とな」

 

 

んん……確かに最近よく乗っていたダグONEが別行動なせいで、基本的な移動は徒歩ばかりだ。

物に乗っているイメージが全然沸かない。まあちょいと目立ってしまうが別に構わんかのう。

 

「んじゃ頼むかな、背中借りるよ」

「~♪♪♪」

 

ミロカロスは俺が腰を落とした辺りでとてもご機嫌になる。

そういや人を乗せるのが好きなイメージが結構あるなぁ。

最初に進化したときもすっげー乗れプッシュって感じだったし。

 

 

そんな感じでズリズリと二人で地下施設に進んでいると、ドレディアさんを見つけた。

 

「おっす、頑張ってっかい」

「ディ? ディーァ~!」

 

あちらもこっちに手を振り、返答する。

周りでは元暴走族の弾頭構成員がせっせこせっせこ街の掃除を行っている。

 

 

さて、ドレディアさんの今の担当だが……要はあれである。

見かけが悪いやつらが良い事してると二倍よく見える作戦。

 

新たに弾頭に入る事になったサイクリングロード族はそのインパクトの真逆を用いて

街の清掃に当たらせる事にしたのだ。

 

今日で丁度十日目ぐらいであろうか。

ゴミもかなり集まっており、集まっているという事は当然どこかは綺麗になっている。

 

ついでだからゴミを分別させて、空き缶類は溜めた後に金属屋に持っていって金にしている。

そしてその金は暴走族達の仕事が終わった後のジュース代となるわけだ。

 

まあ正直異様な光景を作り出した自覚はあるんだが……最近からだろうか?

普通のおばちゃんたちもボランティアに参加するようになっている。

 

暴走族達もまだまだ言葉遣いは荒いが、世に反発する形で暴走をしていた関係上の話で

そのおばちゃん達のおかげで、周りの大人全てが敵ではないと自覚してきたのか

和気藹々としながら、おばちゃんと一緒にゴミ拾いや清掃活動をしている。

 

 

「んん、今日も良い感じだな。これもドレディアさんのカリスマの成せる業か」

「ディァ~///」

「ホ~ァ♪」

「ディッ!!」

「よし、今日の晩飯は力の限りおいしいものを用意しよう。

 頑張ってくれよ? 期待してっから」

「!」

 

【やっべ、超頑張る!!】と意思を返し、また清掃活動の指導へと戻って行く。

ドレディアさんは本当に姐御肌が似合うなぁ。

 

 

 

 

というわけでin弾頭地下施設。

 

今日はサカキもミュウも一日レベルで外回りの予定だ。

契約社も7社にまであがり、順調に雇用を得られているようである。

 

まあ、おそらくそろそろ問題が発生してくる時期だと思っているのだが

サカキも面倒見が良いし俺も31歳目前のおっさんだから悩みがあれば、何かしら相談には乗れると思う。

目の前に問題が出てきたら対処でOKだろうな。

 

【ぬ、貴様か……今日も写真集の戦いか?】

「おうミュウツー、今日は違う。開発室行ってくる」

 

施設内で突然ミュウツーとかち合う。

 

最近はポケモンの可愛い系写真集の内容に関して

互いに口を酸っぱくしながらものっすっごい内容を語りまくっている感じである。

 

そしてときたま弾頭内で発生する問題を、サカキが居ない場合に限り

二人で処理しに行ったりと、まあ他のやつらよりは比較的のんびりした日々を過ごしている。

 

 

たまに殺し合いに発展してるけど。

 

 

【開発か……ふん。(ニヤァ

 脆弱な人間共は何かに頼らねば生きていけず、悲しいものだなぁ?】

「ミロカロス、そっち右に頼むわ」

【おい無視するな貴様ッ!!】

 

ずりずり~っとミロカロスが移動していき、ようやく開発室。

五日前ぐらいにサカキが集めてきたはぐれ研究員が、部屋を使って色々と開発しようと頑張っているらしい。

 

 

カチャ

 

「こんちわっすー」

「ホァ~~。」

「ん……、おぉタツヤ殿か。これはこれは」

「タツヤ殿か、御機嫌よう」

「タツヤ殿、今日はどんな用事かね?」

 

 

現在研究に割り当てられている人員は三人。

そして何故か俺は彼らから殿という敬称を付けられ呼ばれている。

 

どうやらサカキがここを立ち上げるに至る俺のやらかした事と、31歳の中身を説明してしまったらしい。

まあ言いふらさなければ困るもんでもないから放置してるんだが。

 

「はい、今日は色々と開発案を持ってきまして……」

「む、開発したいものか……すぐに出来るようなものなのかな?」

「まー多分無理と思ってるんですがね。夢は広く持ちたいので」

「そうかそうか、よければ話を聞かせてもらえるかね」

【一体何を作り上げるつもりなのだ、貴様は】

「とりあえずはまあ候補はまとめて来たから……こんなところかな」

 

そして俺は研究室のテーブルに手書きの書類を並べていく。

その内容は……

 

 

【E缶】

【ファイアフラワー】

【スーパースター】

【1upキノコ】

【すけすけのたび】

【まっぷのかーそる】

【たつじんめがね】

【タイム風呂敷】

【もしもボックス】

【バブルローション】 ←名前は穏やかだがとあるゲームで使える、隠しボスすら即死させるアイテムです。

【バーニィシューズ】

【健康スリッパ】

【バスターコール】

【アルテマのマテリア】

【おさわり探偵なめこ栽培キット】

 

 

「……これ、は」

【……名前を見ただけでは全くわからん。なんなのだこの謎の文字の羅列は】

「一応わかりそうで、なおかつ開発が極限までつまらなさそうなのは健康スリッパかね?」

「ああ、うんまぁそうですねぇ……」

 

とりあえず思いつくものを書き並べてみたのだがこれはさすがに失敗だっただろうか。

なんか一部やばいのもあるし。

 

 

 

 

健康スリッパを除いて、他のものはほぼ開発が絶望視されるものなので

気楽に選んだ【すけすけのたび】を一番最初の開発案として回す事にした。

 

知る人はいなかろうと思うので簡単に説明しておこう。

 

すけすけのたびという物は、あるゲームで登場した

気楽に買えるゲームバランスブレイカーとも呼ばれる、足に付ける道具である。

 

そのゲームでジャンプをすると、まぁ普通に放物線を描いて落下するのだが

このアイテムを装備すると……ジャンプ力関係なく、まるで重力軽制御空間のように

ふわりとジャンプする事が出来るようになるアイテムである。

ちなみに滞空時間は10秒を越えていた気がした。

 

どのぐらいバランスブレイカーかというと

ゲームの普通のマップでジャンプだけで移動すれば6、7回。

場合によってはそれ以上ジャンプをしなければ画面端まで行けないのだが

それを装備するとジャンプ1発で、ゆるい軌道を保ちつつ画面端まで行ってしまうという

コントロールが難しくはあるものの、装備してて楽しい道具No.1である。

 

しかもこれだけの内容が、もう一度強調するが『気楽に買える』のだから

昔のゲームは楽しかったものだなぁ……と思ってしまう。

 

ちなみにそれで浮いてる間にせんぷうきゃくをすると

どんどんと加速していき、最終的にとんでもない速度で画面端に到着するようになる。

 

 

んで、この世界はなにやら一部へんてこな内容で狂っているため

『名を鑑みるような外見だったらその効果になるんじゃね?』と

こじつけすぎる内容が思い浮かんだため、早速実行してみようと思ったわけなのだ。

 

 

「なるほど、そんな道具か。作れたら確かに面白そうだが……同時に危険ではないか?」

「そうだな……そんなコントロールが難しいもので着地に失敗したら

 酷い擦り傷を負いそうだし……着地地点によってはグロテスクな事に成りかねないぞ?」

「ホァ~~……」

【ふ……所詮人間が考えそうな物よな。

 私のようにサイコパワーを用いて浮けば良いというのに……クックック】

「てわけで早速作るだけ作ろうと思います。

 そして期待はしていないのでさくっとやっちゃいますから

 ちょっと研究室の隅っこ借りていいですか?」

【おい無視するな貴様ッ!! 地味に傷付くんだぞその対応はッ!】

 

 

さっきからいちいち突っかかってきてミュウツーがうるさい。

可愛い系の画像でも思い浮かべて黙らせてしまおうか。

 

 

「まぁ、こちらは特には構わないよ。

 一応私達も何かしら益が出るような物がないか調べているから

 騒がしくさえしなければ問題は無い」

「あい、なるべく邪魔にならないように静かにします。

 まあ大騒ぎするとしても、どうせミュウツーだけだろうし」

【貴様サイコキネシスでねじ切るぞっ!?】

「ハッハッハ、確かにそうだな!」

「フハハハハッ!! タツヤ殿はボキャブラリーにも優れているなぁ」

【同意するな貴様等ァーーー!!】

 

 

ま、そんなこんなで開発室の一部を間借りする事に。

 

ミロカロスは研究員の方へつけた。こいつの美の像が何かしらの開発に繋がる可能性もあるからな。

 

 

 

 

では材料の紹介に移ります。

 

 

・職場の机とかに敷かれてる透明なマット

・ミュウツー

 

 

以上になります。

 

ちなみに透明ならビニール袋でもよくね? と思った人へ送る。

そんな薄手や破けた時怖いじゃないか。透明だったら良いってもんじゃねえぞ!

なので透明でありなおかつ柔軟性もそこそこありそうな、机のマットとしたわけである。

 

 

【というか何故この私が材料なのだッ!?

 貴様、私を過小評価するのもいい加減にしろよ……!!】

「…………。」

 

ちょっとうるさくなってきた。

頭に和む映像でも描いて読み取らせて静かになってもらおう。

 

よし……

 

チルタリ+エルフン+モココ+ワタッコ勢揃いのコットンガードでもっふーん!!

 

【なっ、う……おぉっ!?】

 

ぱたり。

 

俺の頭の中での鮮明な映像が見えたのか

ミュウツーは静かに倒れた。しかも鼻血付きである。精神が弱すぎる……。

 

ま、いいか……とりあえず製作作業である。コイツの出番はもうちょい後で良い。

 

 

1.分厚いカッターを取り出します。

2.足袋の形になるようにマットを切り取ります。

3.四対作ったら完成~♪

4.あとはミュウツーの謎パワーを用いて適当に接着。

  こんなもんに糸通したら針がイカれる。

 

 

 

「うむ……よし。おーいミュウツー起きろー。

 早く起きないと姓名判断士のとこ連れてってギーグって名前に改名すんぞー」

 

【それは別のゲームだぁーーーーーーっ!!

 

 って、ハッ!? 私は今何を……!?】

 

「よし、起きたか。これを頼む」

【貴様、私が貴様の脳内を読み取れるからといって、最近頼み言やらなんやらが適当すぎるぞ……】

 

だって説明したところで必要の無い行動じゃないか。

無駄な事は省くもんである、それになんの文句があろうか。

 

【ふむ……こう、か?】

 

ミュウツーがサイコキネシスで俺が仕上げた四対の足袋型を浮かせ、何やらグニョグニョと揉み始める。

そしてそれが終わった後には、よくわからない原理で接着された透明な足袋が!

 

「これには匠もご満悦」

【何を言っているのだ貴様は】

 

ミュウツーがそのまま念力でこちらにポーンと渡してきたので、早速手触りを確認。

 

うん、まあ……あれだ。これ人の履くもんじゃないね。

むっちりごわごわで、通気性も無く肌にぺとつく。せめて靴下を履いてから履く必要があるな。

 

 

「ま……適当な作りだとこんなもんだよなー」

【で、これがどうなるというのだ】

「いやまぁ、俺だってこんなもんでそうなると思ってないけどね。

 とりあえずやってみようか」

 

 

そして軽くぴょいっと跳ねてえぇぉぉおえおおあおあおあああああああああ!?!?!?

 

 

「うぉぁあああぁぁぁああああああああーーーーーーーーーーー!??!」

【なぁっ?!】

 

 

まるで慣性の法則がヤクザと化したかの如く理不尽な速度で、俺は壁に体当たりをしてしまった。

ミュウツーも普段びっくりしないのに、今回ばかりはドン引きしている。

 

 

「あでででで……。おいおいこれまさか……」

【お、おいっ! 大丈夫かッ?! 今、なにやら生き物として軌道がおかしかったぞ!?】

「いや、うん、なんていうか……

 完成しちゃった。これ、まんま『すけすけのたび』だ……」

【そ、そんな簡単に出来上がるものなのか……人間とは侮れぬな】

 

 

いや、絶対これはただの偶然だ。

こんなのが開発できるんならどっかの誰かがこの世界の史実のどこかで開発に成功しているはずである。

 

 

「タツヤ殿、今なにやら凄い音と悲鳴が聞こえたが……」

「ホ、ホァ~?」

「ああ、平気っす平気っす……」

「というかこの部屋の惨状は一体……? 壁にでも体当たりしていたのかな?」

「えーと、はい。なんかアイテム出来ちゃいました」

『え』

 

 

 

 

 

 

そのあと研究員にも貸し、試しに使ってみてもらったら

全員運動音痴が凄まじいのか、有り得ない軌道を描きながら戸棚とかに体当たりしていた。

 

ぶつかる度、心配して寄って行くミロカロスは女神だと思う。

 

 

「こ、これは……なんともはや」

「一体どういう原理になっているんだね……? 非常に興味深いのだが」

「いや、俺もよくわかんねっす……」

【私もアナライズしてみたが、これは一体何なのだ……?

 研究者の間で言われている『おーぱーつ』なるものと同じ反応を示すのだが……】

 

 

そこまでのレベルか。

いや納得できるけど、この性能なら。

 

 

「まぁ、良いか。

 とりあえず作りたいものは作れたんで俺等はこの辺で失礼しますね。

 また何かアイディアでも出たら直接こちらに来ますんでー」

「うむ、了解した。斬新なアイディアを持ってきてくれる事を期待しているよ」

「では……タツヤ殿、またな」

「あい、そいではー」

 

 

 

 

そんなわけで、俺等は自由に動ける外に出てきた。

ミュウツーは暇だから研究員と試行錯誤してみるらしい。

 

 

「ミロカロスもこれ、使ってみる?」

「ホァ」

「んーまぁコントロール難しいかもだから、最初は軽く飛ぶぐらいじゃないと駄目だよ」

「ホァー」

 

そんなわけで、サイズが全然あっていないので

三対あるカラフル尻尾のうちの両側に嵌めるだけだが、すけすけのたび装着完了。

 

「?!!?」

「お、体が軽くなったかね。

 本当に、心ばかりのイメージで飛んでみると良いよ」

「ホ、ホァ……ホォンッ!!」

 

ぴょぃ、ーーーーーーーッスーーーー→→

 

「! ! ッ!! ホァッ!」

 

その妙な浮遊感に戸惑いながらも、ミロカロスは何とかからだのコントロールに成功し

無難にそこら辺に着地を完了させている。

 

おぉ、すげえすげえ。

初フライなのに、ミロカロスはしっかりと自分の体勢を保って着地した。

 

「やるなぁ、ミロカロスー。どうだ、これ結構面白いだろ?」

「ホァッ! ホ、ホァッ!」

 

どうやら凄いという感想しか出てこないらしく、意思が美味く伝わってこない。

ただまあ楽しんでいるのだけは間違いないようだ。

 

よし、それじゃ次は俺がコントロールの調整とするか。

 

「次俺が使うから、ミロカロスはちょっとここで待っててもらえるか?」

「ホァ~~♪」

「んじゃ、ちょっと尻尾から失礼してっと……」

 

尻尾からぬぎぬぎと足袋を脱がして行く。

 

そして俺は靴を脱ぎ、足袋を装着。

 

 

からだが かるく なってゆく……

 

 

よし、次はちゃんとコントロールして見せるぞ……!

 

「ふーー……せゃぁっ!!」

 

んばっっ!!

 

────────

 

                       うおぉぉおおおお!!!

                                             流されるぅぅぅ!!

 

 

「ぬ、ぐっ……!!」

 

なんとか、なんとか体勢を保つんだ……!!

 

「ぬ、ぅぅぅ!」

 

よしよし、いい感じだ! でも怖い! 超怖い!!

高さが15mはあるんだ! しかも俺の身一つ……!!

 

「ぬううううぉぉぉぉぉ……!!」

 

なんとかコントロールのコツを掴んできた。

どうやら若干の傾きやらなにやらに体勢が作用するようで

無理矢理なバランスを続けない限り

ゆっくりゆっくりと上がったり下がったり進んだり進まなかったりと出来るようだ。

 

「おぉぉぉおおお、よぉっと!!」

 

すたん、とうまくミロカロスの前に着地する。

今度は研究室のような失態を犯さず、うまく出来たようだ。

 

「ホァーーーー♪」

「お、おう、ありがとう! 結構怖かった、うん!」

 

【お疲れ様ですー♪】と声を掛けてきてくれたのだが

実際のところ、恐ろしさでそこまで余裕が無い事実。

なんか俺何気にとんでもないもん開発してしまっただろうか。

 

まあ封印指定かなぁ、これは。弾頭の資料室にでも飾っておこうか。

 

 

 

 

 

 

~おまけという名の本編~

 

 

 

 

 

 

そんな感じで時間を過ごしつつ、今はもうお昼時。

そろそろみんな腹をすかせてポケセンに集合する頃合である。

 

そうしてミロカロスと二人、テクテク歩いていると再びドレディアさんと遭遇した。

 

「ディァッ!」

「おう、順調ー?」

 

そう尋ねると見事なまでのサムズアップで返してくる。

順調ならそれに越した事はないのう。

 

「ディーァー?」

「んー? 俺等はちょっとアイテム開発してて……あ、そうだ」

 

このすけすけのたび、ドレディアさんに使わせてみるか?

肉弾戦実践派であるドレディアさんとかダグのどれかに使わせたら

これチート級の戦力アップになるんじゃなかろうか。

 

 

というわけで。

かくかくしかじか

なめなめぺろぺろ

がっしぼかすいーつ

 

 

「てわけで、体が軽くなる履物なんだ」

「oh」

「ドレディアさん、よかったらちょっと使ってみて」

「ディァー」

 

ドレディアさんの足を拝借して、すけすけのたびを設置して行く。

 

前にも語ったと思うが、ドレディアさんのあのかぼちゃぱんつの下は普通に足が生え揃っている。

物理特化なせいなのかややマッシヴだが。

 

 

「!? ディ、ディァ!?」

「お、軽くなってきた?」

「ディ、ディァ!」

「じゃあ、自分が思うようにジャンプしてみてくれるかい」

「……ディァ!                ……ァァァアアアアアアアアアーーーーーーーー!?」

 

うっお。

ドレディアさんはすんごい速度で空に舞っていった。

あれ時速35キロとか出てんじゃないのか。何かに激突したらやばそ……

 

 

って、あれ?

 

なんかうまくコントロール出来てないかあれ。

ゲームで見るまんまのイメージの動きしてんだけど。

 

 

「おーい! コントロール出来てるかー!?」

「     デ     ィ       ァーーー     ァーーーー!!!」

 

 

またも凄まじい勢いで俺の頭を通過して行くドレディアさん。

 

しかしその顔は驚愕から笑顔に替わっているのがわかる。

まさかの天才恐るべし、あれは完全にコントロールを物にしているぞ。

 

 

「って、おーい! 前、前! ビルあるぞーッ!!」

「ッ!!     ディァー!!」

 

 

そして激突する寸前にドレディアさんは

空中でくるりと一回転して、ビルの窓ガラスに『着地』した。

 

軽業師、爆誕である。

 

しかもその着地した窓ガラスからさらに跳ね、高度をさらに追加して空を舞っている。

 

 

「すげぇー……」

「ホァ~~~……」

 

 

俺等の実例とは比較にならんレベルの取り扱いである。

これなら弾頭に記念品にせずとも、渡して使わせても良いだろうか。

 

「 ァァーーー  アアーーー    ディーーァーーー♪    アアアーーー♪」

 

そうして街には奇妙な光景が生まれてしまった。

 

ドレディアという空を飛ばない種族が

まるで羽があるかの如く建物の隙間を飛翔しているという、謎現象である。

 

ドレディアさんの傘下の元暴走族もすごい騒ぎ立てているのだが

騒ぎ方がファンクラブっぽいのがなんか不安を掻き立てる。

 

 

「おーい、ドレディアさんーそろそろ降りておいでー。ご飯に行くからさー」

「               アァー         ディァー!!   」

 

 

ふむ、返答はあったしもうすぐ降りてくるだろう。

んじゃ、ミロカロスもこっから移動する準備しておこ───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、エアーマン! 次は『ぼうふう』だッ!!」

「ケロロロ!!」

 

 

 

 

 

グォォォォオオオオオ

             オオオオオオオオオオオオオ

                              ォォオオオオオオオオン!!!

 

 

 

 

 

「      !?       ァ、  デ   !   ァァァー  ・・・  ...   ........」

 

 

「えッ?!」

「ホァッ!?」

 

 

え、ちょ。

 

ああああああああああああああああーーーーー!!

 

ドレディアさんが突然横っ腹から吹いた『ぼうふう』に

完全にコントロールを持っていかれてどっかにすっ飛んでったぁーーー!!!

 

 

「ど、ドレディアさぁーーーーんッッ!!」

「ホァーーー! ホァーーーーー!!!」

「リ、リィーーーーダァアアアアアアアーーーーーーー!!」

 

 

叫ぶしかなかったその場の状況であるが

ドレディアさんはコントロールを失ったまま、青空の向こうへキュピーンと輝いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もうどうしようもなくなってしまったのでポケセンにその旨を伝え捜索願を出していたところ

三日後にトキワシティで保護されている事が分かった。

 

保護者は露店のお兄さんであり、いつも通り露店で売ってる所にいきなり落下してきたそうである。

なんというホールインワン、落ちてきた直後は色々な事がありガチ泣き状態だったようである。

 

 

 

 

 

こうして、ネタにはなるがやはり危険という事で

すけすけのたびは封印指定されてしまったのだった。

 

 






もしもボックスは別名ブラックボックス。
絶対にこの世に出してはいけない道具です。
22世紀の人は何を考えているのか。


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