怪しい訪問販売買った骨董品は実は恐竜の卵でした!?   作:k9suger

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この卵返品できますか?

 日本には特定商取引法という物があり、販売業者と購入者の間で色々と問題が起きやすそうな類の取引に関して規制や解決のために必要な制度を設けている。

 

 そんな特定商取引法のなかで、我々一般ピープルに関わるものと言えばクーリオング・オフに代表される契約解除権だろう。

 

 学校の家庭科とか社会科とかで一度は聞いたことのあるクーリング・オフ制度、具体的な内容は訪問販売や電話勧誘、マルチ商法などの取引は一定期間内であればその契約を解除して返金を求めることが出来るというものだ。

 

 なので、例えば悪質な業者が訪問販売で白くて丸い骨董品を売りつけてきて、その勢いに圧倒され断れずにその骨董品を購入したとする。

 

 それから数日経って「やっぱりいらないなぁ」と思い返品しようと電話を掛け「いやぁ既に購入された物の返品は受け付けていません」と言われたとしても、このクーリング・オフ制度を活用すれば法律を盾に返品できるということだ。

 

 

 

 ......しかしこの骨董品が実は何かの卵で、適当に放っておいたら中から謎の生物が産まれてきた場合、この生物はクーリング・オフの対象になるんだろうか?

 

 

 

『いや、その前に骨董品って名目で謎の卵売りつけてきたんでしょ? それなら特定商取引法以前に詐欺罪とか景品表示法とかでアウトな気がするけどなぁ』

 

 このどう対処して良いのかよくわからない事態に、俺は昔からの幼馴染で、今は大学で法律を勉強している橋塚(はしづか)日毬(ひまり)を電話で頼ることにした。

 

『でも、私はそっちの方面に明るくないからちゃんと調べたほうが良いと思うよ』

 

「わかったありがとう。ごめんな時間取らせちゃって」

 

『うんうん大丈夫......そう言えばその卵の値段ってどれぐらいだったの?』

 

「あぁ、それなんだけど意外に安くて3万円」

 

『それ安いの? スーパーで売ってる卵なんて1パック10個入って210円だよ』

 

「まぁ確かに日毬の言うとおりだけど、骨董品の訪問販売って10万もする壺とかをお勧めしてくるイメージあったから3万円って安いなぁ......みたいな」

 

『もーそういう感覚だから拓也(たくや)は勢いに負けて変な卵買っちゃったんだよ』

 

「ご指摘の通りです」

 

『まぁ取り敢えず、その業者に電話した方が良いと思うよ。もしかしたらクーリング・オフとか使わなくても普通に返品できるかもしれないし』

 

「おっけー」

 

『じゃあね、進展あったら聞かせて』

 

「わかった」

 

 まぁ確かに日毬の言うとおりだ。こうやって色々悩むよりも業作に電話をかけてこの卵の話をしないと何も始まらない。

 

 俺は卵と一緒に渡された名刺に書かれた番号に電話する。

 

 

 

『お掛けになった電話番号は現在使われて........』

 

 

 クソっ逃げられてる。

 

 でもまぁ考えてみれば変な卵を買わされてからもう既に三日が経過している。そういう悪質な業者なら住所とか電話番号とかコロコロ変えるって言うもんな。

 

 まぁ3万円ぐらいなら良い社会経験をしたと思って水に流すのもありか。でもこの鳥を今後育てるとなると三万円以上の出費が必要になるよな......

 

「ぴぃっぴいっ」

 

 そんな事を考えていると、この問題をややこしくしている張本人が目を覚ます。

 俺の家には鳥小屋とか飼育ケージとかはないので、ダンボールに毛布を広げただけの簡単な飼育箱で今は面倒を見ている。

 

「どうした、そんなに俺の手が好きなのか?」

 

 そしてこの鳥だが案外可愛い。

 

 見た目はまだ赤くて毛が生えていない少しグロテスクな感じだが、もたつきながら歩く姿は見ていて癒やされる。

 

 最悪この鳥を山とか近くの空き地とかに捨てることも考えたが、指を近づけるとすり寄ってくる姿が愛おしくてその選択肢はすぐさま消え去った。

 

「もうあんまり(つつ)くなよ。くすぐったいだろ」

 

「ぴぃぴぃ」

 

「どうした、遊んでほしいのか?」

 

 ぐっすり寝ていた先程とはうって変わって、今はよく歩いているし凄く活動的だ。沢山寝たから元気になったのかもしれない。

 大きく口を開けて俺の指を咥えようとしてくる......

 

「って俺はバカのか?」

 

 大きく口を開く雛を見て、俺はこの雛に一度も餌を与えていなことに気がつく。

  産まれてから多分3時間ぐらいが経過している......鳥の食事事情は知らないが、産まれてから何も食べずに長時間過ごせるはずはないだろう。

 

「えっと餌はどうすりゃ良いんだ?」

 

 スマホで雑に[ ヒナ 餌 ]と検索する。いちばんうえに出てきた[鳥の育て方を丁寧に.....]みたいな名前のサイトをタップして内容を確認する。

 

「えっと産まれたばかりのヒナは青虫や小さく柔らかい昆虫などが適しています。日の当たる草原などで葉の裏についている幼虫を探して......」

 

 って大学生にもなって俺は虫取りしなきゃならんのか。もっとこう普通の家にもあるようなもので代用とかは出来ないのか?

 

「難しいようであれば、ペットショップで餌を購入......そう言えば近くにあるな」

 

 俺は財布を握りしめて家を飛び出す。鳥の餌がどれぐらいの値段なのかは知らないが3000円ぐらいあれば足りるだろ。

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