怪しい訪問販売買った骨董品は実は恐竜の卵でした!? 作:k9suger
新千歳空港へ向かい羽田空港まで約時間の旅をした後、高速バスで羽田から静岡県へ移動し二時間ほど掛けて目的地にに到着する。
別に長旅という程でもないが、肩や腰が痛くなるし疲労もかなり溜まっている。
家を出たのは朝の八時ぐらいだと言うのに、静岡県の予約しておいたホテルに着いたのは昼過ぎだった。
「やっと着いたぁ」
恐竜事件が起こってから約27時間しか経っていないのにも関わらず、色々と道具を取り揃え静岡まで来た行動力に自分でも驚く。
「なんか私たち......特に杏ちゃんと長尾くんってフットワーク軽いよね」
恐らく長尾のフットワークが軽いのは恐竜が関係している為で、恐竜に関係しない......例えば有名なスター等であればここまで来ていないだろう。
杏のフットワークが軽いのは性格を考えれば頷ける。
「疲れたし、取り敢えず入ろうか」
チェックインを済ませて俺たちは部屋に入る。もちろん男女は別々で、横に並んだ部屋をふたつ予約している。
「ふむ......良い眺めだ。恐竜が目撃された山がよく見える」
荷物をおいた長尾が広い窓から見える景色を眺めてそう言う。確かに窓の先には静岡県の街が広がっているその先に例の事件があった山がある。
「もう少し山から近いホテルが良かったんだけどな」
残念ながらホテルを予約しようとした頃には山に近いホテルは殆ど埋まっていた為、山から少し離れたこのホテルに泊まることになった。
「にしても恐竜ハンターがこんなに多いなんてな......山周辺のホテルが殆ど予約で埋まるって、少し熱が入り過ぎじゃないか?」
「冷やかしのような本気で恐竜を探しに来ていない者も多いはずだ。恐らくは本気で恐竜を探しに来ている人のほうが少ないだろう」
「まぁそうだとは思うけど......」
「ぴぃっ」
「今出すからな......長旅ご苦労さん」
四人で静岡に来るとなると、ロープの面倒を見る人がな居なくなってしまう。誰かが残ってロープの世話をする事も考えたが結局一緒に静岡に行くことにした。
「大丈夫か? 具合悪くないか?」
ロープは犬用のケージから出ると、部屋の中を走り回る。見慣れない部屋に来た為かロープは普段よりも活発に動き回る。
「元気だな」
「まぁ半日ぐらいこのケージの中に居たし、動き回りたいんだろ」
そう話しながら走り回るロープをふたりで見ていると、部屋の扉がノックされる。日毬か杏のどちらかだろうと思ってドアを開けようとした時扉の奥から、
「ルームサービスです。ドアを開けてくださーい」
と声が聞こえた。
「まずいロープを隠せ」
長尾は走り回るロープを捕まえて押し入れの中に入れる。俺はそれを見届けてからゆっくりと部屋のドアを開ける。
「はい、なんでしょう......ってふたりか」
扉を開けると日毬と杏が立っていた。俺たちを焦らせようと日毬が声色を変えてホテルスタッフのふりをしていたらしい。
「驚いた?」
「“驚いた?”じゃないよ。もうめっちゃ焦ったよ......それで何の用?」
「何の用って......折角静岡に来たんだよ、観光しなきゃ!」
「富士山って結構遠くても見れるんだね」
流石に長時間移動して疲れた体で山を登るのは危ない、という事で今日は一日中ゆっくり休んで明日からの恐竜探しに備える予定だったが、杏の提案で静岡県観光をすることになった。
日毬は修学旅行などを除いたら初めての北海道外の旅行らしく、けっこう静岡県観光を楽しんでいた。
因みに長尾も居るが渋々といった感じだ。
「はい到着しました代金は4680円になります」
タクシーを降りて俺たちは目的の富士サファリパーク。動物園であれば札幌にも円山動物園があるだろうという長尾の意見は無視されここに決まった。
「バス乗ろうよバス!」
「良いね行こう」
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「色々と調べてみたこれを見ろ」
静岡県観光が終わってからホテルに戻り、晩御飯を食べている時長尾がそう言って俺にスマホを差し出してくる。
「えっとこれは?」
「インターネットに転がっているニュースやSNSなどから発信された情報を分析し信用に値する有用なものをまとめておいた。明日の捜索では役に立つだろう」
「あたしにも見せて」
「私もみたい」
とふたりがスマホを見ようと顔を覗かせてくるので、ラインでその内容を全員に送ってもらいそれぞれのスマホで確認することにした。
「まず、最も重要なのは例の歯型から凡その種類が判明したと言うことだ。これは様々な方面で報道され専門家も関わっている為信用に値する」
「......えっとぉドロマエオサウルス科?」
「聞かない恐竜の種類だけど、どんな恐竜なの?」
「確かにドロマエオサウルス自体はあまり有名ではないが、ドロマエオサウルス科の恐竜で有名なものと言えばユタラプトルやヴェロキラプトルなどが挙げられる」
「ヴェロキラプトルって映画で見た気がする」
「そうだろ? ドロマエオサウルス科の恐竜は皆肉食で獰猛なハンターである可能性が高い。もちろん小型の種類も居るから一概には言えないが」
「恐竜ハンターが逆にハントされるかも知れないって事?」
「不謹慎過ぎる」
「だが、杏の言う通りその可能性は非常に高い。実際すでに人が襲われている」
長尾が言うには俺たちが静岡観光で楽しんでいる最中、恐竜ハンター(東京都の会社員)が山で恐竜を探している途中背丈ほどの恐竜に襲われて右足骨折の大怪我を負っていたらしい。
幸いにも持っていた捕獲用の道具で応戦し、それ以上襲われることもなかったらしいけど......このニュースを見る限り死人が出るのは時間の問題だな。
「実際警察も出動している。山に近い住宅街では普段よりも多くのパトカーが巡回しているそうだ」
「ねぇ、その下に書いてある行動予測っていうのは?」
「それは色々な情報から考えられた恐竜の行動をある程度予測したものだ。信用に値する恐竜の目撃情報を地図上に表し検討をつけている」
「んで、どんなふうに行動してると長尾は思ってんの?」
「これは殆どが憶測だが、この恐竜はある程度の範囲内でしか動いていない可能性がある。縄張り意識なのか、あまり人の住むエリアに近づきたくないからなのかは不明だが、取り敢えずこの赤く囲った範囲内でしか動いていない」
「そう言えば足跡見つけたって情報とかもあったけど」
「あぁ僕も見つけたが、あれはフェイクだ。ドロマエオサウルス科の恐竜なのにあんな形の足跡が地面に残る筈がない」
「なるほど......」
「それで、明日はこの行動予測を元にして恐竜を探すんですよね?」
「そうだ明日僕達は山の北側へ向う。ルートはもう計画済みだ」