怪しい訪問販売買った骨董品は実は恐竜の卵でした!? 作:k9suger
「血痕途切れた?」
「いや、ここに落ちている」
血痕を辿って既に二時間が経過している。血痕の間隔は10mから20mぐらい離れているため、血痕を追うと言っても簡単には行かない。
足場が悪い道を長がい時間進むのに加えて、本州の蒸し暑い気候が俺たちの体力を段々と奪っていく。
「あぁ疲れた......どれぐらい進んだ?」
「スマホのマップによると1.2kmしか進んでない」
「え〜そんだけ? こんなに時間掛かってるのに?」
「ポカリいる?」
「もらう」
「もうお昼だし少し休憩とるか」
適当に座れそうな倒木を見つけて、持ってきたお弁当を広げる。日毬が気を利かせて保冷バッグの中に保冷時とこのお弁当を入れておいてくれた為この気温でも腐っている心配はしなくて良さそうだった。
俺や杏はそういう事に気が回らないし、長尾は恐竜のことしか頭にないので、こういう時日毬が居てくれると本当に助かる。
「冷たいポカリうま〜」
「ごちそうさまでした」
「はやっ」
「そうでもないと思うが......」
長尾はそう言いながら俺たちのお弁当を見る。
「ふむ少し人よりも早いのかも知れない。初めて知った......それよりもこれを見て欲しい今スマホを開いたらこんなニュースが」
長尾の見せてきたニュースによるとフランスの農村で家畜が大型生物に襲われる事件があり付近に残された足跡を調べた所メガロサウルスの仲間である可能性が高く、軍隊が派遣されたという物だった。
「メガロサウルス科の恐竜はジュラ紀に反映し、スキウルミムスのような小型の物も存在するが、その殆どは大型で体高は人間の背丈をゆうに超える」
「そんなのが現れたのか」
「ねぇ軍隊が派遣されたって言うけどさぁ、軍隊が恐竜と戦ったところでなんとかなるものなの? みんな倒されちゃったりしない?」
「流石にそれは考えにくい。恐竜と行っても生物だ銃で撃たれれば死亡する」
「でも大きいんですよね? 銃で撃っても効果がないみたいな......」
「全く効果がないことはないだろう。ただ大型化すれば銃撃の効果が薄くなる可能性はある......しかしこの大人数だ全滅するなんて考えられない」
「そうだよね安心した」
「安心って......日本でも大型肉食恐竜現れたら自衛隊出動してくれるのかな?」
「たしかに、どうなんだろう」
「自衛隊は法的なしがらみが多いから難しいだろう。ただ日本には自衛隊でなくとも猟友会が存在している。少なからず無策という訳ではないだろう」
「猟友会って......」
「確かに軍隊と比べればインパクトは弱いが猟友会だって銃を装備した人間の集まりだ。それに日々野生動物を相手にしているから軍隊より頼りになる可能性はある」
「まぁそれもそうかそうか......でもまぁ自衛隊とか猟友会以前に日本にこんな奴が現れなければ良いんだけどな」
と話をしていると、俺も含めみんな御飯を食べ終わる。休憩もしたので、また俺たちは恐竜の血痕探しを再開する。
>―< >―< >―< >―< >―<
「これは家なのか?」
「なんで疑問形なの? どう見たって家でしょ」
「いやでも、こんな山奥に有るなんて思わないだろ」
「でも普通の家と言うより別荘って感じしない?」
休憩が終わり血痕を辿り始めてから1時間が経とうとした時、俺達の目の前に大きな別荘が現れる。家は高さ2mぐらいの壁で囲われていて、正面の門はかなり豪華に作られている。
日毬を肩車して壁から中の様子を覗いて貰う。
「おっきい家だよ......水は張ってないけどプールも有る。多分反対側に駐車場があって、そっちの方には道路が有るんじゃないかな?」
杏が地図で調べた所によると、この家の西側(俺たちがいる方向とは反対側)にしっかり舗装された道路があって、そのまま静岡市内まで繋がっているという。
「まぁ別にここに家があるのは良いんだが......」
「この血痕は問題だな」
俺たちが何故この家にたどり着いたかと言うと、血痕を辿って歩いていたら、この家の壁に血痕が付着しているのを見つけたためだ。
「あのさ、敷地内に血痕ある?」
中を覗いている日毬に尋ねる。
「うん、庭に結構大きい血溜まりみたいなのがあるよ......水で流そうとした跡があるんだけど結構芝生全体に広がってて取れてないみたいだね」
「どうする?」
「どうするって......ピンポンするしかないだろ」
「だよな」
俺たちは門の前に立ち、インターホンを押す。
『はぁいどちら様でしょう?』
と年老いた女性の声が聞こえる。俺は恐竜探しで......と答えようとしたのだが、長尾がそっと小さい声で「これを読み上げろ」とスマホのメモ帳を見せてくる。
「えっと先日落とし物を拾いまして、ご住所がその落とし物に記載されていたのでお届けに来たんですが......吉田さんで間違いなかったでしょうか?」
『えぇ確かに吉田ですが、落とし物とはなんでしょう?』
「お店のポイントカードだと思うんですけど、前に買い物をしていて偶然地面に落ちてるのが見えたんですよ。それで届けに来ました」
俺は杏から渡されたジーユのメンバーズカードを長尾の指示で、手でそのカードをほとんど隠した状態でカメラに映す。
『あらそうでしたかぁ、わざわざありがとうございます。取り敢えずその門は開くので、家の中前まで来てください』
そう云うとインターホンが切れる。
「ナイスだ杏素晴らしいフォローだった。僕もポイントカードの一枚ぐらい持ち歩いていればよかったんだが生憎古生代博物館の年間パスポートしか持ってなかった」
「あのさ、なんでわざわざ嘘をついたの?」
「家に恐竜の血痕がありますよねぇ? 少し調べさせてください......って言ったって普通は“ごめんなさいダメです”って言われるのがオチでしょ」
「まぁそれもそうか......」
「取り敢えず、君と日毬は普通に家の中に入りこの家の住民に接触した後例の血痕について可能な限り訪ねろ。その間僕と杏は秘密裏にこの家を調べる」
「えっと、良いけどなんで俺と日毬なんだ? 最悪俺一人でも」
「それではダメだ。日毬は既にインターホンのカメラ越しに存在が確認されてしまっている。僕と杏は画角から逸れていたためその心配はない」
「そうか、わかった、気をつけてな......じゃあ俺たちは家に入るか」
そう言って俺は日毬と家の玄関ドアの前に立ちチャイムを押した。