怪しい訪問販売買った骨董品は実は恐竜の卵でした!? 作:k9suger
「どうしたロープ、あんまり食べないのか?」
孵化してから二週間ほど経ち、ヒナがいる生活にもだんだんと慣れてきた。
体の大きさは生まれたての頃と比べると、ふたまわり程大きくなっている。まだ完全ではないが段々と毛が生えてきて体色は白や灰色といった感じだ。
因みにあの後名前は色々と迷った末ロープになった。由来は尻尾が長くロープみたいだった為なんだが......今思うと安直だ。
「ぴぃぴぃ」
「うーん食べないわけじゃないんだよなぁ」
そして、そんなロープだが最近食欲が落ちている。決してご飯を食べないわけではないが育ち盛りのヒナとしては微妙な量だ。
「調べてみるか」
なにか病気などで食欲が落ちている可能性もある。ペットを育てた経験がないので、こういう時どうすれば良いのかがわからない。
「あぁ成長したらスプーンじゃないのか」
インターネットサイトによると、最初は口元にスプーンを近づけて餌を与えていたが、成長したら針のない注射器で口から餌を流し込むらしい。
よく燕の子育てとかでよく見る、親鳥が子供の口に自分の嘴を入れて餌を流し込むのを注射器で代用しているのだろう。
「買いに行くか注射器」
>―< >―< >―< >―< >―<
「これもダメかぁ......」
残念なことに注射器の餌も受け付けなかった。正確には少しだけは受け付けるが、適量とされている量を流し込んだとしても、その大半は吐き出してしまう。
ペットショップの店員さんに聞いたことや説明書を頼りにしているので、決して間違った方法ではないはずなんだが......
「うーん、指に噛みつくから食欲がないわけではないんだよなぁ」
最近知ったのだが、ロープが俺に指に噛みつく時はお腹が空いていて餌がほしいというサインだ。他にも擦寄ってきたら遊んで欲しいサインとか色々とある。
「口に合わないのかなぁ......あっ」
俺の指に噛みつくロープなのだが、口を大きく開いた時に口の奥に小さな歯のようなものが見える。俺は間違いじゃないか調べるために口を開けさせる。
「小さいけど歯だよな......」
確かにロープの口の中には歯があった。小さく可愛らしい感じだったけど形は三角形で先は尖っているしっかりとした形だった。
「まさかお前......肉食だったのか」
あぁすべての事態に納得がいった。そりゃいくら調べても鳥の種類がわからないわけだよ。普通家で飼育するペットは肉食とは言え昆虫などがメインで、いわゆる肉を食べているわけではない。
俺はそういう方面の鳥だと思って検索してたけど、実際は違ったらしい。
肉食の鳥となると、鷲とか鷹とかフクロウとかそこら辺だよな?
「まぁ取り敢えず原因わかったし肉与えるか」
俺は今日の晩御飯になる予定だった豚肉を冷蔵庫から取り出して、小さく切ってから包丁の刃で切り刻んでたたきのような物を作る。
適当にな皿の上にそれを載せてからロープの近くに運んだ。
「肉だけど......食うか?」
ただ皿を置くだけでは、食べないらしい。
「じゃあこれはどうだ?」
小さい切り身をスプーンの柄に載せて口の近くまで運ぶ。するとロープは全盛期の食べっぷりで豚肉のたたきを食べ始める。
「やっぱりお前は肉食かぁ......となると種類も限られてくるな」
そう考えていると、携帯電話が振るえる。画面を見ると日毬からだった。
『ねぇ拓也、あれからどうなった?』
「あぁその事なんだけど、もうどうでも良くなったんだよね」
『どうでも良くなったの? もしかして業者に逃げられでもしたの?』
「まぁ業者にも逃げられたんだけど、ロープ育ててたら3万円払った甲斐あったなって思えてきちゃって」
ぱっと調べてみたのだが、鷲や鷹などの猛禽類は安くても20万円ぐらいの値段で取引されている。そんな猛禽類を3万で買えたのならお得だ。
でももまぁ損得感情以前に、ロープが可愛いくてそんな事は正直どうでも良い。
『まぁそれで拓也が良いならいっか。今度私にもロープ見せてね』
「おっけーまだ小さくて鷲とか鷹っぽい見た目じゃないけどヨチヨチ歩くのとかめっちゃ可愛いから速いうちに見に来いよ」
『わかった。というかよく拓也は鳥の種類が猛禽類だってわかったね。鳥のヒナなんて、みんな見た目は同じ様な感じなのに』
「それなんだけど確かに見た目はロープもかのヒナとあんまり大差なくて種類はわからなかったんだけど、最近になって小さいけど歯が生えてきたんだよ。それでもしかしたら猛禽類かなって思って肉あげてみたら凄くよろ......」
『まって、ちょっと待って......歯が生えてるの? 鳥に?』
「うん、ロープには歯が生えてるよ小さいけど」
『本当? 鳥だよね? トカゲじゃないよね?』
「いや鳥だよ。トカゲって産まれた時からトカゲの見た目してるだろ?」
『まぁ確かに......流石に鳥とトカゲは間違わないか』
日毬が変なことを言い出すので、俺はスマホでロープを撮影してラインで日毬のスマホに写真を送る。流石にこの写真を見れば納得するだろう。
『確かに鳥みたいに赤いけど......尻尾長くない?』
「俺も思った......でもまぁ鷲とかって尻尾が長い奴いるじゃん」
『確かに居るね』
「そういう奴なんじゃないかと思って」
『なるほど......私は詳しくないからなんにも言えないけど、多分拓也の鳥って結構珍しい種類だと思うよ。もしかしたら絶滅危惧種かも』
「そんなわけないだろ」
『まぁもしかしたらの話ね......ごめんこの後講義だから電話切るね』
「おっけー心配してくれてありがとな」
『じゃあね』
そうかロープは珍しい種類の鳥か......確かに歯が生えてる鳥なんて身の回りでも聞いたことないし尻尾が長い鳥もあんまり見ないよなぁ。
日毬の言う通り絶滅危惧種とかだったらどうしよう。
「でもまぁそんなはずは......あ?」
俺の視線はロープが糞をしても大丈夫なように、テーブルに広げていた新聞の広告に目が留まる。広告の内容は新しい本の宣伝で『新・恐竜図説』と書いてある。
「恐竜って、そんなまさかなぁ............」
そんなはずないと思いながらスマホで[ 恐竜 子供 ]と検索して画像を見る。もちろん現存しているのは骨しかないが、インターネットに落ちている化石の画像とロープの姿を見比べる。
小さい歯が並び、尻尾は細長く伸びている。そして最近の研究では恐竜にも羽毛のようなものが生えていたとジオグラフィックの記事には書いてある。
「いあやまさかな......いやでも」
俺は高校の時クラスであだ名が「恐竜バカ」だった長尾誠司に電話を掛ける。クラスでは殆ど会話をしたことはなかったけど、ラインで繋がっていたので連絡を取ることは出来た。
「もしもし拓也だけど」
『あぁ覚えているよ織部拓也......それで僕になんの用だい?』
「いきなりで申し訳ないんだけど、これから会えるか?」
『......特に予定はない大丈夫だ』