怪しい訪問販売買った骨董品は実は恐竜の卵でした!? 作:k9suger
【トロオドン(Troodon.傷つける歯)竜盤類.獣脚類】
時期:白亜紀後期
場所:アメリカ南部
体のサイズに対して脳の容積が大きいため、知能の高い恐竜であったと予測されています。
前方を向いて並んだ目は物を立体的に見ることが可能であり、獲物までの距離を正確に測ることが出来たと考えられています。
「これだ」
「これかぁ」
長尾のスマホには大手の出版社が出している恐竜図鑑をデジタル化して情報を載せている、スマートフォンアプリがインストールされていた。
流石は恐竜オタクと言ったところだろうか......
「で、なんでこの子がトロオドンだって思ったの?」
「まず知能の高さだ。それによく顔を見ると若干では有るが目が前の方に寄っているような形になっているだろ?」
「たしかに?」
「それとトロオドンの仲間には羽毛を有する物も居る......これとかだ、アンキオルニス......現代の鳥に似ているだろ。それにこの恐竜も成長の仕方はまるで鳥みたいだ」
「なるほど、ロープも成長したらこれぐらいの大きさになるのか......って意外とデカくないか? これ俺が襲われたりしないよな?」
トロオドンのサイズは大体2m、背の高さは190cmぐらいある。
「可能性はある......ただ積極的に襲うかどうかは別だ。彼らの顎のサイズから考えて自分と同程度の体高を持つ生物に対し攻撃を行うかは微妙なラインだ」
「でも赤ちゃんとかなら」
「恐らくは捕食対象である可能性が高い」
「やっぱり大人になる前に預けたほうが良さそうだな......悲しいけど」
「しかし、それが一番無難な選択だろう」
預けるとなると、こうして簡単に触れ合えたりする機会が減るのは確実だ。ロープと離れるのは悲しいが俺の家に狼みたいな存在をずっと置いておく訳にもいかないもんなぁ......
そんな事を思っていると、俺のスマホにメッセージが届く。
「あっ、忘れてた」
「どうした拓也?」
「あのさ俺の幼馴染にロープのこと話してて......って言っても恐竜じゃなくてその時は鳥だって思ってたから、幼馴染も別に恐竜って......」
焦っているせいか、全然上手に日本語が出てこない。
「あのさ全然話まとまってないんだけど......ひと言で説明して」
「えっと、その......幼馴染が俺の家に今から来る」
「じゃあ早くこの子隠さないと」
そう言いながら杏はロープを手に抱え、長尾はロープの餌や糞をまとめたビニール袋等のロープに繋がる証拠を消そうとしている。
「それなんだけど......幼馴染ロープを見に来るんだよね」
「え?」
「は?」
俺は日毬にクーリング・オフの相談をし、その時に鳥の話を話題に出したことで今度その姿を見に行くという流れなってしまった事を大雑把に説明する。
「ありゃ逃げ道ないね」
「どうにかして隠し通せないかな?」
「まて拓也、その幼馴染に写真を送ったと言っていたな? 他にも歯の存在や尻尾が異様に長いという特徴なども伝えたんだろう?」
「うん、そうだけど」
「それならいま隠し通せたとしても、その写真や恐竜らしい特徴を有している生物の存在を他の人に伝える可能性がある」
確かに長尾の指摘の通り、日毬が他の人に「ねぇ友達がさ変な鳥飼ってるんだけど」と言いながらあの写真を見せる可能性がある。
というか、日毬の性格から考えるとそういう事をするのが予想できる。
「ねぇ幼馴染なんでしょ? 事情を説明して黙っててもらえば?」
「うん、そうしてみるよ。多分日毬も説明すればわかって貰えると思うし」
『ピーンポーン』
「話をすれば......」
「じゃあ出迎えに行ってくるわ」
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日毬を家に招きテーブルに座らせて、冷蔵庫に入れてあった冷えた麦茶を出し丁重に持て成す。そして最近の近況等について話した後予想通り「鳥見せてよ」と日毬は頼んでくる。
もともと鳥を見せに来るという目的で家に来たのだから変に言い訳はできないので、俺はロープを日毬に見せ、これが恐竜である事を伝え周りの人たちには教えないように要求した。
一応ただ頼むだけでは物足りない可能性があるので、渾身の土下座に加えて隠れていた長尾と杏も姿を表して三人で一緒に日毬に向かって頭を下げる。
「......という事で黙っていては貰えませんでしょうか」
「でしょうか」
「お願いします」
「えっとその......情報量多すぎてよくわかんないや。まずキッチンの奥から飛び出してきたふたりはどちら様? それでロープちゃんは本当に鳥じゃないの?」
動揺と混乱を隠せない日毬に今起こっている事をもう一度最初から最後まで時間をかけて説明する。その間長尾と杏にはロープと遊んでもらっていた。
三十分程時間を掛けて説明した結果、日毬はところどころ不明な部分が有るようだが、大方の話は理解してくれて恐竜のことを周りに言わないと約束してくれた。
因みにロープの話を誰かにしたり、写真を見せたりしたことはないそうだ。
「......なんか拓也色々と大変だね」
「まぁそうだな」
「私になんか手伝えることある? 久しぶりに御飯とか作ってあげようか?」
「いや、そんなに気を......」
「あたし日毬ちゃんの手料理食べたい!」
「僕も丁度お腹が空いてきたところだ。何か食べられるものがあれば嬉しい」
何故か話に参加していなかったふたりが妙に積極的だ。とはいえ時計を見ると、もう既にお昼を過ぎていてサンドイッチしか食べていない俺も少しお腹が空いている。
「じゃあ作って貰おうかな」