百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

12 / 394
第12話 誰だ?ツンデレキラーだ!

「追加戦士を加入させる? 本当なの、ケイイチロウ?」

「俺は本気だぞ、ツカサ」

 

 BL警察本部ビルの会議室で、ツカサを含む三名が話し合っていた。

 BL1号に変身するケイイチロウ、BL2号に変身するサクヤ、そしてBLエックスに変身するツカサの三人だ。

 

「敵はますます強くなっている。BLエックスとして、ツカサが我々と別行動をとることも増えている。以上のことを考えると、メンバーを増員すべきだという結論に至った」

 

 ケイイチロウが重々しく頷く。

 

 

「……ごめんなさい」

 

 頭を下げ、ツカサは謝った。

「百合派とBL派の抗争は終わったんだし、ケイイチロウたちと距離を置く必要はもうないんだって分かってる。でも、今のあたしにしかできないことがあるんじゃないかって思うの。警察という枠組みにとらわれず自由に動ける、今のあたしにしか。だから、もう少しだけBLエックスとして戦わせてほしい」

「分かってますよ、ツカサ先輩!」

 

 サクヤが豪快に笑った。

 

「駆け落ち的なやつですよね! 百合エックスとの!」

「全然違うわよ⁉︎ あ、あいつのことなんか、別に何とも思ってないんだからねっ!」

 

 頬を僅かに赤く染め、ツカサは全力で否定した。しかし、サクヤは「典型的なツンデレの反応じゃないですか〜」とますますいじってくる。

 

「……ゴホン」

 

 二人が話を脱線させかけているのを見て、ケイイチロウがわざとらしく咳払いをした。慌ててツカサとサクヤも居住まいを正す。

 

 

「ともかく、そういうわけで仲間が一人増えることになった。既に装着候補者もこちらで選んである」

 

 会議室の扉へ振り返り、ケイイチロウが「入ってくれ」と声を掛けた。扉は静かに開かれ、一人の青年が姿を見せる。

 

「紹介するよ。彼は滝沢ナオヤ、若手警察官の中でも極めて優秀な男だ」

 

 ナオヤは端正な顔立ちをした男だった。だが、愛想を振りまくということをしなかった。にこりともせず、ただぶっきらぼうにこう言っただけだ。

 

「俺は百合にもBLにも興味はないし、お前たちと馴れ合うつもりもない。ま、あまり俺の足を引っ張らないでくれよ」

 

 

「ちょっと、何なんですか、その言い方!」

 

 音を立てて、サクヤが椅子から立ち上がる。彼は激しやすいのが玉に瑕だ。

 

「俺たちはチームです。BL警察の仲間同士、力を合わせて戦わなくちゃダメでしょう。前回のゴークイーンズ事件のときだって、皆で協力したから勝てたんですよ」

「動物がなぜ群れを成すか知っているか? それは奴らが弱いからだ。一匹だけでは生き残ることが難しいから、群れで固まろうとする。お前たちの主張は弱者の詭弁だ」

 

 ナオヤがBL警察の制服の袖をまくる。そこに装着されていたのは、赤と黒の二色で彩られた、ブレス型の変身アイテムだった。

 

「今の俺には力がある。お前たちと群れる必要などない」

「まあまあ、落ちつけ」

 

 険悪になった空気を和ませるように、ケイイチロウが彼の肩を叩いた。

 

「確かに、お前に渡した新装備は強力だ。しかし人間には、一人でできることに限界があったりしてだな。つまり……」

 

 何やら説教くさい台詞を長々と言うつもりだったらしいが、突如室内に鳴り響いた緊急アナウンスにかき消されてしまった。

 

 

『一般市民より通報あり。ツンデレを求めてゾンビと化した人々が、街で暴れています。直ちに出動してください!』

 

 

「ほら! ツカサ先輩がツンデレ発言なんかするから、変なゾンビが出てきちゃったじゃないですか。責任とって下さいよ!」

「あたしのせいじゃないわよ! ていうか、どういう状況なのよ、これ⁉︎」

 

 彼女たちがぎゃあぎゃあ言い争っている中、ナオヤだけが不敵に笑っていた。

 

「……ちょうどいい。俺の力を試すときが来たというわけだな」

 

 

 ケイイチロウがパトカーを運転し、助手席にサクヤ、後部座席にツカサとナオヤがそれぞれ乗り込む。

 やがて現場に到着すると、そこには異様な光景があった。

 

「べ、別に、あんたのことなんか好きじゃないんだからねっ!」

「義理チョコに決まってるじゃない! あんたバカァ?」

 

 ツンデレっぽい台詞を連呼しながら、人々が群れを成してふらふらと歩き回っている。両腕を前に突き出して闊歩する姿は、まるでゾンビだ。

 

「何なのよ、これ」

 

 ツカサは困惑していた。強化装甲服を着た敵と戦うことはこれまで度々アッたが、武装していない民間人が敵になったのは初めてで、どう対処すべきか迷う。下手に傷つけることはできない。

 誰かが市民たちを操っているのだろうか。けれど、高次元生命体らしき敵の姿は見えない。

 

「おっ、お巡りさんたちも来てたのか」

 

 背中越しに声を掛けられて振り向くと、カイリをはじめとする快盗戦隊の三人も到着していた。

 

「ゾンビ映画だと、噛まれた人間がゾンビになるのが定番だ。何だか妙な状況だけど、ツンデレ大好き人間がこれ以上増える前に、被害を食い止めようぜ」

「そうね。……警察チェンジ!」

「怪盗チェンジ!」

 

 ぴったり息の合った動きで、二人は金と銀のアーマーを纏った。BLエックスと百合エックスに変身を遂げ、ツンデレゾンビたちを食い止めるべく走り出す。

 

「俺たちも行くぞ!」

「おう!」

 

 BL1号と2号、百合ブルーとイエローがそれに続く。

 が、ナオヤだけはまだ変身せず、先輩戦士たちの戦いぶりをじっと見つめていた。「お手並み拝見」と言いたげだった。

 

 

 銃は使わず、体当たりでゾンビの進行を食い止める。作戦はいたってシンプルだった。

 問題は、ツンデレゾンビの数が多すぎたことである。

 

「どうするのよ、カイリ。これじゃキリがないわよ」

「俺に言われても困るって」

 

 ヒーローたちは皆、数体のゾンビのタックルを身を挺して止めていた。だがざっと見たところ、ゾンビは全部で百体はいそうだ。

 

「――いいザマだな、百合レンジャー&BLレンジャー!」 

 

 そこに高らかな笑い声がして、白い鎧を纏った戦士がゾンビの群れを縫うように現れた。

 

「何者だ!」

 

 ゾンビたちを押し止めながら、BL1号ことケイイチロウが声を張る。

 

「俺は高次元生命体、アルバート・ツンデレダウィスキー。またの名を……ときめきの白眉、ツンデレキラー!」

「やはり高次元生命体だったか。お前がこの人たちを操っているのか?」

「その通り。俺が街中に散布したツンデレラ社製のT(ツンデレ)ウイルスの効果で、こいつらはツンデレを求めてさまよう生ける屍となった。俺を倒さない限り、ゾンビ化を止めることはできないぜ」

 

 ツンデレキラーが、羽根ペンに似た形状の短剣を指揮棒のように振る。それに呼応して、ゾンビの群れの動きが激しくなる。

 

「俺の専用武器ツンデレペンタクトは、ターゲットを意のままに操ることができる。さあ、早く俺を倒さないと、どんどんゾンビの数が増えてしまうぞ? もうゲームは始まっているんだぜ」

 

 空いた片手で、クイクイッと手招きをしてきた。あからさまな挑発だ。

 

 

「……お前ら、ここは任せた!」

 

 ゾンビたちを押しのけて、百合エックスが前に出る。エックスチューナーを構えてツンデレキラーへと突進した。

 

「シンデレラだかアンブレラだか知らないが、妙なものをばら撒きやがって。覚悟しろ!」

 




今回、ご迷惑をおかけした作品
・タイムレンジャー
・アバレンジャー
・バイオハザード
・エヴァンゲリオン
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定