百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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15 人間界への一時帰還!?

 ルーカスはゲートを通って撤退した。それはすなわち、彼が人間界へ戻ったことを意味する。

 去り際に、彼は「いずれお前たちと決着をつける」と宣言した。放っておけば、人間界に残っている百合・BLレンジャーの仲間たちを攻撃しようとする恐れがある。

 新世代のヒーローになろうとしていることを考慮すれば、ルーカスが人間界ですぐに目立った行動を起こすとは考えにくい。だが、それなりの戦闘力を有する超次元生命体を野放しにしておくこと自体が問題だ。やはり、何かしらの手を打つ必要はある。

 ルーカスへの対処法をめぐって、戦闘を終えたツカサたちは議論していた。

 

 

「やっぱり、一度人間界へ戻った方がいいと思うわ。ナオヤくんたちのことが心配よ」

「そんなことをしたら、無貌支持派への対処がますます後手に回ってしまうじゃない。せっかくここまで進んできたのに、振り出しに戻れって言うの?」

 

 難色を示すお菊だったが、そこにカイリも口を挟んだ。

 

「いや、むしろ逆だ。ルーカスをやっつければ、無貌支持派の本丸へ乗り込む時間を短縮できるかもしれない」

「……どういうこと?」

「お菊さんも見ただろ? あいつが作り出した、ソシャゲのガチャでSSRが出るときの確定演出みたいなドアを」

 

 

 貴族階級だけが形成できる、特殊なゲート。別世界の任意の座標へワープできるそれは、ランダム性の高い通常のゲートよりもかなり便利だ。

 

「ああ、『本当にどこにでも行けるドア』ね」

「あいつをやっつけて従わせ、王宮直通のゲートを開かせることができれば、ルートを大幅に短縮できる。ユリエロイドみたいに面倒な刺客と、いちいち戦う必要はなくなるぜ」

「一理あるわね」

 

 顎に手を当て、お菊は「ふむ」と考えた。

 もちろん、ルーカスのように異常な性癖と思考回路を持つ輩が、そうやすやすとこちらの要求を呑むとは限らない。普通に遠回りになってしまう可能性だってある。けれども、上手くいけば一石二鳥の作戦だ。試してみる価値はあるかもしれない。

 

 

「でも、仮に人間界へ戻ったとして、どうやってルーカスを探すつもりなの? そりゃ、あなたたちの仲間を襲ったりするとか、彼が目立つ行動を取ってきたら見つけるのは簡単よ。だけど私が思うに、ルーカスは頭が切れるタイプ。動きがなかった場合、一時帰還は完全な無駄足になってしまうわ」

「言われてみれば……」

 

 言い澱むカイリに助け船を出したのは、ピーターだった。

 

「何も、全員で人間界へ戻らなくても良いんじゃないかな。帰還組と残留組に分かれて、それぞれでルーカスの捜索と無貌支持派の攻略を行えばいい」

「戦力を分散させるのはナイスアイデアだけど、どっちも全滅するような最悪の事態は避けないとな。お互いの状況がすぐ分かるように、何か、次元の壁を超えられるような通信手段があればいいんだが」

 

 

 いずれも強敵ゆえに、中途半端な戦力で挑むことは避けたい。裕介はそう考えているらしかった。

 

「なら、これを貸してあげる」

 

 すると、お菊がおもむろに胸元へ手を突っ込み、携帯電話型の通信機を出した。なお美明日は、その豊かなバストを羨ましそうに見つめていた。

 

「私たちレジスタンスが開発した、通信装置よ。人間界と超次元界を繋いで、通話することができる。これで連絡を取り合って、万が一どちらかのチームがピンチに陥れば、もう一方が応援に駆けつけることにするのはどう?」

「全然ありだな。……って、待てよ?」

 

 納得しかけた裕介だったが、ふと首をかしげる。

 

 

「お菊さんがいる側のチームはゲートを開いて移動できるとして、いない側はどうやって応援に行くんだ? つまり、いる側が交戦している現場に、いない側の人は行く手段がないだろ」

「そのときは、私が敵を巻き添えにして人間界へワープするから大丈夫よ!」

「解決策が強引すぎないか⁉」

 

 多少気になる点はあったものの、話し合いの結果、ひとまずはこの作戦で行くことになった。お菊とピーターの「リボンズ」コンビは超次元界に残り、先へ進む。ツカサ、カイリ、裕介、美明日の四人は一旦人間界へ戻って、ルーカスを警戒。以上のように決定した。

 ちなみに、このチーム分けはじゃんけんの結果だ。相変わらず、緊張感のない人たちである。

 

 

 じゃんけんによるチーム分けが終わると、ピーターは視線を落とし、こぼした。

 

「……キンジが偽の人格だったなんて、僕は信じないよ。彼と共に戦った時間が嘘だったとは、思いたくない」

 

 変わり果てたキンジ、否ルーカスとすぐに対峙しなくて済むチーム分けになったのは、彼にとって幸福だったろう。

 あるいは、そのためにピーターはわざとじゃんけんに負けたのかもしれない。人間離れした身体能力を持つ彼の動体視力なら、周りの人が何を出そうとしているかを見抜くことも可能だからだ。

 

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