百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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26 夢を壊す人

 屋上の縁に立ったデルタは、地上の七人のヒーローを睨んだ。

 

「三で割り切れないか。まあ、いいや。ネトルティ来部は二人で一人みたいなものだし、今回は彼女だけ除外しよう」

「何をごちゃごちゃ言って――」

 

 名前を呼ばれた美明日がむっとしたときには既に、異変は生じていた。

 ツカサ、カイリ、ケイイチロウ。サクヤ、トウマ、ウミカ。男女比二対一のこの二つのグループが形成され、なおかつ、なぜかその内部で女性の取り合いが勃発したのである。

 

 

「ケイイチロウ、お前にツカサは渡さない。ツカサは世界で唯一、価値のある人間なんだ! 彼女だけは、絶対に救わなくちゃいけないんだぜ!」

「笑わせるな。あの女は強い。お前の救いなど必要としない!」

「俺だけがツカサを幸せにできる。お前じゃない!」

 

 百合エックスとBL1号は、激しい銃撃戦を繰り広げていた。

 

「……幸せにするだと? 心にもないことを」

「何だと」

「お前はただ、人形が欲しいだけだろ!」

「黙れ!」

「お前は結局、誰も愛してなどいない!」

「うるさい、クズが!」

 

 

 途中から銃を投げ捨てて殴り合いに突入しており、美明日は「さすがに止めた方がいいかしら」と悩んだ。が、行動に移せなかった。もう一つのグループも、かなり緊迫した雰囲気だったからだ。

 ネトルによる精神干渉は一度に一人しか対象にできず、両方をいっぺんに助けることはできない。不本意ながら取捨選択を迫られる。

 

 

「サクヤ。確かに昔、私はお前と愛し合った。だが、今は百合レンジャーの幹部。これからもずっと!」

「何言ってんだよ、ウミカ……?」

「よく言った、ウミカ。それがお前の定めなのだ。そして、貴様たちの定めだ!」

 

 どういう設定で喧嘩しているのかは不明だが、一つだけ確かなのは「皆キャラが違う」ということだ。

 

 

「どうだい? これが僕の司る性癖、『三角関係』さ」

 

 仲間同士で争い、連携が乱れに乱れまくっているヒーローたちを第三位は嘲笑った。デルタ(三角形)だけに、第三位だけに、「三」繋がりの性癖というわけか。

 

「様々な創作物で描かれ、物語をよりドラマチックにして盛り上げる『三角関係』。僕の能力は、ターゲットを三人ずつ、男女混合のグループに分け、その三人を強制的に三角関係にするというものさ。今回は男性の人数が多かったから女性を取り合う形式にしたけれど、逆も可能だよ」

 

 第三位、デルタの能力に派手さはない。直接的なダメージを与えるわけではなく、ただ仲間内で揉め事を起こさせるだけだ。

 だが、戦場では非常に役立つ。とりわけ、複数の敵を相手取るときには。敵を目前にして我を忘れたかのように揉めているようでは、勝敗は決したも同然である。

 

 

(一体、どっちを先に助ければ……って、冷静に考えたらデルタの能力を止めた方が早いわね)

 

 大体の異能バトルにおいて、術者が死ねば能力は解除されるものだ。第三位をぶっ飛ばせば三角関係も解消されるでしょ、と美明日は理系らしからぬ脳筋思考で判断した。

 

(ネトル、精神干渉よ。デルタの能力を封じて!)

(言われなくても、今やろうと思ってたわ)

 

 減らず口を叩いた相棒が、闇のオーラを放つ。あと僅かで第三位へ闇が届くかと思われたとき、ビッグ・ファーストが彼を庇った。

 

「俺の部下を傷つけることは許さん。お前の精神干渉も、この俺には通用しない」

 

 無敵能力にものを言わせ、第一位は力技でネトルの攻撃を弾いた。

 

 

「俺に楯突いたことを後悔させてやる!」

 

 バズーカ砲で撃つだけでは飽き足らず、近接攻撃に打って出たビッグ・ファースト。赤いマントをなびかせて屋上からジャンプし、着地してすぐに、驚異的なスピードでネトルティ来部へ肉薄。バトンを連続で振るい、その体を徹底的に叩きのめした。

 

 無論、美明日も無抵抗でやられたわけではない。NTRブレードで応戦しようとしたが、バトンの一振りで剣を手からはたき落とされ、二撃目は胸部アーマーを直撃した。それ以降も手足を容赦なく打つ。「いっそのこと一思いにやってくれ」と言いたくなるような、拷問にも似た仕打ちであった。

 第一位が使用している原典は非常に強力なのだが、あえて欠点を挙げるとするならば、バズーカ技以外に必殺技がないことだろう(厳密には、バトンを使った技はある。ただし本編では使われていない技だ)。だからこそ、バトンで攻撃する場合は、執拗に打ち据えるようなバトルスタイルが基本となる。

 

 

「がはっ……」

 

 変身解除して吐血し、崩れ落ちた美明日から、ビッグ・ファーストはとうに興味を失っている。彼の頭にあるのは、次の獲物のことだけだ。

 

「さて。第三位が手伝ってくれたことだし、残りの奴らも倒さねばな」

 

 デルタの能力で三角関係を強制され、揉みくちゃになって喧嘩している六人は隙だらけだった。第一位が叩き込んだ打撃に何の反応もできず、ただ無様に倒れていくばかりである。

 

 

「あれ……?」

「俺たちは一体……?」

 

 息も絶え絶えに言うヒーローたちを足蹴にし、ビッグ・ファーストは「今頃自我を取り戻したか」と高笑いをした。

 

「少し遅すぎたようだな。さっさと死ね、忌々しいヒーローども! 俺が最強だ。無貌様の仇を討ち、その意志を継いで人間界を支配するのは、この俺なのだ! ハーッハッハッハ!」

「……やめろおおおおおっ!」

 

 絶叫した裕介が屋上から飛び降りて、第一位に刃向かおうとした。「ブレイザー・珈琲インパクト」を発動し、茶色の光弾を連射する。

 

 

 けれども、やはり第三位はそれを許さない。自身も地上へ降り立つと、「Fire」の音声コマンドを入力して銃からビームを放つ。裕介の技を相殺すると、なぜか、出し抜けに変身を解除した。

 

「何の真似だ。人間の姿で俺に勝てるとでも思ってるのか?」

「僕の扱う原典では、怪人が戦士へ変身することがしばしばあるのさ。こんな風にね!」

 

 少年の姿だった第三位が、一瞬で怪人態に変わった。一言で説明するなら、灰色の竜人だ。頭部には長い角を、両腕には大きな爪を持つ。全身を覆うのは、鎧のように硬いグレーの皮膚だった。

 角から放った電撃で裕介を怯ませ、竜人は一気に距離を詰めた。

 

「そしてこの怪人態には、触れた物を灰にする能力がある」

 




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・仮面ライダー555
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