百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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28 リアリティーを汚すチート&フィクション!

『フリーズ』

 

 腰のベルトに備わっているカードデッキ。そこから一枚抜き、ルーカスは斧にカードをスラッシュした。音声が流れ、技が発動される。

 本来ならば、この技の効果で相手の体は凍てつき、身動きが取れなくなるはずだった。だがビッグ・ファーストには効かず、バトンを振り回して冷気を跳ね除けてしまう。

 

「これも効かないのか。化け物だな、お前」

 

 ルーカスはため息をついた。続いて「ストライク」のカードをスラッシュし、虎の爪のような形状のクローを両腕に装備する。クローで果敢に攻撃を仕掛けるも、第一位はバトンを器用に振ってことごとくガードしてみせた。

 

 

「効かなくて当然だ。俺の使っている原典は、原作で一度も負けていない。片やお前の原典は何度か敗北しているし、あろうことか死亡シーンまで存在する。力の差は歴然だ!」

 

 ビッグ・ファーストの回し蹴りが、ルーカスのクローを粉砕した。

 超高速移動も凍結も通用しない。すぐに突破口を開くのは難しそうだ、と判断したのか。ルーカスは防御に徹することに決めた。

 後方に跳んで距離を取ると、一旦変身を解除。新たなドライバーを腰に装着し、カード型デバイスをスラッシュした。

 

 

「ほう。またカードを使って戦闘とは、芸がないな」

「黙れ。お前の能力は、本来許されないほどのチート。リアリティーを汚すフィクションだ。よって、俺が抹消する!」

 

 すると「ルーカス・LOG IN!」と電子音声が響き、変身プロセスが開始された。彼自身を囲むように宙に浮かんだ光球が、複雑怪奇なエフェクトを発する。

 

『INNOVATION & CONTROLL! ルーカス!』

 

 やがて、金と白をベースカラーとし、電子回路のような細かい紋様が刻まれたアーマーを装着した。頭部には、虫の触覚に似たパーツが付いている。肩アーマー、胸部、膝などがやや丸みを帯びたデザインではあるものの、その戦士からは気品と強さが滲み出ていた。

 

 

「俺の周囲に浮かんでいる光球は、敵の攻撃に反応して自動的にホログラムバリアを展開する。並大抵の攻撃では破壊不可能だ」

「何だ。抹消すると言うから何かと思えば、防御一辺倒ではないか。面白みに欠けるな!」

 

 対して、ビッグ・ファーストは鼻で笑った。赤いマントをなびかせ、一気に距離を詰めてくる。

 

「並大抵の攻撃では無理でも、俺の最強の攻撃力をもってすれば……お前を攻略することなど、赤子の手をひねるようなものだ!」

 

 

「さすがはリーダーだ。ルーカスが相手でも、全く苦戦しておられない」

 

 ルーカスが展開したバリアを次々に破り、第一位はバトンによる打撃を見舞っていた。その様子を眺め、第三位が満足そうに頷く。

 

「さて。今のうちに、僕は百合・BLレンジャーにとどめを――」

『マックスBLブリザード』

 

 だが次の瞬間、デルタの全身は上方から放たれた低温レーザーによって氷漬けにされていたのだった。

 

「なっ……⁉」

 

 ビルの陰に隠れ、気配を悟らせないまま繰り出した一撃。竜人は咄嗟に反応できず、一戸建てほどもある大きさの氷塊の中に閉じ込められている。

 

 

「大丈夫か、皆!」

「ナオヤくん……」

 

 恐竜型巨大ロボの背から地上へ降り立ったのは、BLファイヤーだった。仲間の姿を認め、ツカサたちは歓声を上げた。疲労回復のため休養中と聞いていたので、まさか加勢しに来てくれるとは思っていなかったからだ。

 

「助けてくれてありがとう。でも、体は平気なの?」

「問題ない。それより、早くこの場を離れるぞ」

 

 見れば、竜人を覆い尽くした氷が、内部から徐々に灰化している。

 

「奴め、レーザーが当たる寸前で、何か能力を使ったな。氷が内側から溶け始めている。そう長くは足止めできないぞ」

「ええとね、ナオヤくん。あいつは無貌支持派の第三位で、その能力は……」

「説明は後にしようぜ、ツカサ。今はとにかく、生き延びることだけ考えろ!」

 

 珍しくカイリが正論を言い、かつツッコミ役に回った。

 

 

「悔しいが、第一位と第三位は強すぎる。今の俺たちで勝てる相手じゃねえ。ここはルーカスに任せて、一旦退くのが最善だろ」

「敵が市街地で暴れてるって言うのに、逃げろって言うの? 冗談じゃないわ。あたしたちが戦わなくて、誰がこの世界の平和を守るのよ!」

「今はルーカスが敵の注意を逸らしてくれている。それに、生きている限りチャンスはある。ここで俺らが倒れちまったら、二度とチャンスは巡ってこないぜ」

 

 ケイイチロウやサクヤ、トウマとウミカも満身創痍だ。アーマーは傷つき、いつ変身解除されてもおかしくない。皆を見回し、ややあってツカサは「分かった」と首を縦に振った。

 

「撤退しましょう。ナオヤくんが作ってくれたチャンス、無駄にはしないわ」

 

 

 BLレックスロボの背中に乗り、ナオヤたちが退却を終えた頃。

 百合・BLレンジャーが九死に一生を得た一方で、今度はルーカスが命の危機に瀕していた。

 

「しぶとい奴め。何度倒れても俺に刃向かってくる、その根性だけは認めてやろう」

 

 あれから、ビッグ・ファーストはルーカスのホログラムバリアを破壊し続け、執拗に攻撃を加え続けた。ルーカスは激痛に苦しみながらも抵抗を止めず、戦意を失わなかった。その結果、今ルーカスは変身解除されて血の海の中へ倒れており、第一位はほぼ無傷である。

 

 

「だが、とうとう立ち上がる気力すら失ったようだな。勝負ありだ」

 

 力なく横たわるルーカスの側に仁王立ちし、ビッグ・ファーストがバトンを振り上げた。

 

「悪く思うな。お前の存在は、俺たち無貌支持派にとって邪魔だった。ただ、それだけのことだ」

 

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