百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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30 紅蓮の百合・BL

「クソッ。僕としたことが油断した」

 

 氷の牢獄をやっとのことで灰化させ、デルタは脱出した。辺りを見回すが、百合・BLレンジャーには既に逃げられた後だった。

 

「仕方ない。ひとまず、リーダーと合流しよう」

 

 そう独り言ちるが、お台場は奇妙に静まり返っていた。戦闘に伴って発生する、銃撃や剣戟、爆発などの音が一斉聞こえてこない。ロボット像の周りにあんなに集まっていた人間たちも、戦闘に巻き込まれるのを恐れて皆逃げて行ってしまったようだ。

 

「……リーダー?」

 

 

 突然、携帯電話型の変身アイテムが振動した。第三位は竜人形態から人間の姿へ戻り、それを手に取った。

 

「もしもし」

『私だ』

 

 声の主は、超次元界に残っている第二位であった。お菊が持っていたデバイス同様、無貌支持派の主力級が所持する端末にも次元を超えた通信機能が備わっている。

 

『リーダーの生命反応が人間界から消えたようなので、連絡した。一体、どうなっている』

「それが僕にも分からないんだ。敵に不意を突かれて足止めを食らい、ようやく自由に動けるようになったら第一位が見当たらない。交戦していたルーカスも行方不明だ」

『貴様が側にいながら、そのざまか。役立たずめ。だから貴様はいつまでも第三位に甘んじ、私以上の階級へ昇り詰めることができないのだ』

 

 第二位の言葉はなかなかに辛辣だったけれども、デルタは反論できなかった。悔しいが力関係は彼が言う通りだったし、自らの不甲斐なさを感じてもいたからだ。

 

 

『ともかく、一旦こっちに戻れ。超次元界にも人間界にもリーダーの生命反応がないとなると、倒された可能性が高い。貴様の言葉が真実なら、彼と交戦していたルーカスにな』

「……了解した」

 

 硬い声で第三位は言い、通話を終了した。

 どんな手を使ったのかは分からないが、ルーカスが第一位に逆転勝利を収めた可能性は否定できない。となると、ルーカスは百合・BLレンジャー以上の脅威になり得る。

 これから彼にどのように対処していくべきか、デルタには良い案が浮かばなかった。何より、あのビッグ・ファーストが敗れたという事実が信じられなかった。

 

 

 今回の戦いで皆、大なり小なり傷を負っていた。百合・BLレンジャーの一同は入院し、医者から「しばらくは安静にするように」と言い渡された。

 奇しくも、デルタの三角関係の能力でグループ分けされたときと同じような振り分け方で、三部屋の病室に分けられた。つまり、ツカサ、カイリ、ケイイチロウで一部屋。サクヤ、トウマ、ウミカでもう一部屋。あのとき能力を受けずに済んだ裕介、美明日、ナオヤの残り三名でまた別の部屋を使った。

 

 

 病院着を着たツカサ、カイリ、ケイイチロウはベッドから上半身だけを起こし、話し合っていた。皆、腕や胴に包帯を巻かれている。

「別の場所に待機させていたBL警察の機動隊が、たまたまルーカスと奴との戦いの顛末を見届けていたそうだ。結果は、ルーカスの逆転勝ち。瀕死の状態に陥ったときにのみ発動する『他殺願望』の性癖のパワーで、第一位の能力を無効化したと聞いている」とケイイチロウ。

 

 

「奴の能力の詳細は謎に包まれていたが、やっとベールが剥がされたな。複数の原典を使える上に強力な性癖まで持っているとなると、現状で一番の脅威だろう」

「ルーカスもかなりの脅威だけど、ある意味もっと問題なのは、あたしたちが今回ビッグ・ファーストやデルタにすら太刀打ちできなかったことよね。今のままじゃ、ルーカスどころか無貌支持派にも勝てないわよ」

 

 深刻そうな横顔で、ツカサが弱音を吐いた。

 

「その通りだ。だから、俺たちはもっと強くならなくちゃいけねえ」

 

 カイリが力強く言う。

 

「ルーカスの能力は、死に瀕したときに発動するんだろ? てことはよ、少しずつダメージを与えて追い詰めるんじゃなくて、一撃で仕留めるような戦い方でいかないとまずいよな。能力を無効化なんてされたら、さすがに打つ手がない」

 

 

 格ゲーで例えるなら、一度の攻撃で体力ゲージを全部削り切るようなイメージだろうか。

「他殺願望」のパワーは、体力ゲージが減って、残り僅かになったときに発動される。最初は緑色だったゲージが半分ほどになって黄色に、二割ほどにまで減って危険を知らせる赤色に変化するのだとすると、赤色のときに真価を発揮する。

 ならば、赤色のゲージに突入させなければいい。緑や黄の状態から一気にゼロまで削れば、ルーカスは能力を発揮する機会を失う。カイリの戦略は単純明快だった。

 

 

「そんなに上手くいくかしら」

 

 少々不安は残るものの、ツカサは彼の意見に概ね賛成だ。

 

「けど、とにかくパワーアップが必要なのは確かね。どうする? 超次元界からピーターさんを呼び戻して、また修行を付けてもらう手もなくはないけど。一応、連絡手段もあるわけだし」

 

 お菊が裕介に渡した通信機を使えば、次元を超えて電話することも可能である。

 

「いや、やめておこうぜ。あの二人は今きっと、無貌支持派の奴らを駆逐して、巨人のようにガンガン進撃中だ。それを呼び戻して、『何の成果も! 得られませんでした!』って言わせるのは酷ってもんだろ」

「いや、進撃中なんだから成果は出てるんじゃないの⁉」

 

 ともかく、とツカサは咳払いをした。

 

「あたしたちは、あくまであたしたち自身で頑張ってパワーアップを果たさなくちゃいけない。それが、次にルーカスや支持派と戦うときまでに達成しなきゃいけない目標ってわけね」

 

 

 ルーカスの乱入によって、支持派との激戦は一旦幕引きとなった。

 しかし、再戦の日はそう遠くないだろう。はたして、百合・BLレンジャーはパワーアップを果たし、ルーカスや支持派と渡り合えるようになるのだろうか?

 頑張れ、百合レンジャー! 戦え、BLレンジャー! この世にはばかる悪を、一匹残らず駆逐するんだ!

 




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・進撃の巨人
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