百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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31 性癖展開!「他殺博徒」

 超次元界の辺境の地。

 山中に建つログハウスの屋根をぶち抜いて、第三位は派手に登場した。いや、ぶち抜いたという表現は正確ではない。彼の腕が触れた箇所が、瞬時に灰になったのだ。

 

 

「やっと見つけたよ、ルーカス」

 

 ベッドで横になっていた部屋の主へ視線を向け、竜人の姿のデルタは言った。

 

「僕の部下に君の動向を探らせるのに、ずいぶん手間取ってしまった。だが、それも今日で終わりさ」

「俺のお気に入りの隠れ家を壊すとは、いい度胸だ。おかげで休む暇もありゃしない」

 

 ゆっくりとベッドから降り、ルーカスが首を振る。

 

「もっとも、第三位のお前程度を倒すのに、俺が全力を出す必要があるとは思えんがな」

「大口を叩けるのも今のうちだ!」

 

 竜人は両腕の爪を振り上げ、威嚇するようなポーズを取った。

 

 

「ルーカス。第一位が倒されたときの状況は、僕の部下が詳しく調べ上げている。君の性癖の能力もね」

「ほう?」

 

 ルーカスの眉がぴくりと動いた。

 

「君の性癖の力には、絶体絶命の状況でしか発動されないという弱点がある。つまり、一撃で命を刈り取ってしまえば、君は力を使うことすらできずに散るというわけだ」

 

 奇しくもデルタは、百合・BLレンジャーと同じ攻略法を思いついていたのだった。

 

「ビッグ・ファーストは決定打に欠けるきらいがあったけれど、僕は彼ほど詰めが甘くないぞ。竜人態になった僕が原典の力を最大で放てば、君の肉体を瞬時に灰化させられる!」

 

 ルーカスと対峙したデルタは、じりじりと彼我の距離を詰めていく。

 

「君の性癖の能力は、僕と相性最悪のはず。勝敗は決したも同然だ。第一位の仇、討たせてもらうよ!」

 

 

 なりふり構わず。

 第三位の戦法に対するルーカスの印象は、上記の通りであった。

 まず、寝込みを襲った点が卑劣だ。追われる身ゆえ、戦いのシチュエーションを選べるほど贅沢ができないことは分かっているけれども、もう少し正々堂々と挑んでこれないのか。

 次に、「自分の能力は敵と相性が良い」と確信した上で戦いを挑んでいる点。仇討ちがどうのと言っているが、本当に復讐したいのなら、たとえ勝ち目がなくても向かってくるものではないか。第三位の今回の行動は、彼自身の臆病と建前が複雑に入り混じった結果のように思えてならなかった。要するに、筋が通っていなくてめちゃくちゃだ。

 

 

「……俺は何も、考えなしに『他殺願望』の能力を喋ったわけじゃない。お前のような馬鹿が、俺の力を見誤るように仕向けただけだ」

 

 勝利を確信しているらしい竜人へにやりと笑いかけ、ルーカスは告げた。

 

「な、何を言う⁉」

「うぬぼれるな、第三位。『三角関係』などというありふれた性癖で、俺のニッチな性癖に勝てるとでも? 性癖にはそいつの全てが反映される。女の趣味がつまらん奴は、そいつ自身もつまらん。俺はつまらん男が大嫌いだ」

 

 そして左手をすっと前に出し、親指と人差し指で円を作った。弁財天の手印のような形だ。

 

「――『性癖展開』。『他殺博徒』!」

 

 

 ルーカスが密かに所持していた原典の力が、彼自身の性癖を反映して発動される。刹那、デルタと彼は不思議な空間の中にいた。パチンコの演出のような眩しい画面が、視界の全てを埋め尽くしている。

 

「ギャンブルは趣味じゃないんだけどな」

 

 灰色の竜人は顔をしかめた。

 

「戦闘用の姿に変身すらせず、こんな妙な空間に引きずり込むなんて。僕のことを舐めてるとしか思えないね」

「むしろ警戒している。だから、こっちも出血大サービスってわけだ」

 

 思わせぶりな台詞を吐いてから、ルーカスは自身が使った原典の力を明かし始めた。

 デルタは知らなかったが、この原典は「自分の術の詳細を相手に開示することで、術の効果を上げる」といった特殊な性質を持つ。したがって、今回ルーカスがご丁寧にも説明してやったのは、確実に敵を仕留めるという意思表示でもあった――その意思表示が伝わるか否かは別として。

 

 

「『他殺博徒』は、自分と相手を同じ領域内に閉じ込めてパチンコの演出をスタートさせる。演出は、俺の命の火が消えるまで半永久的に続行される。もし大当たりが出たら、四分十一秒の間、俺は原典と性癖の力が無制限にあふれ続ける。そして、この効果でパワーがみなぎった場合、発動条件を無視して原典や性癖の力を使うことも可能だ」

「ま、まさか……⁉」

「察しがいいな。そう、つまり俺は、絶体絶命の状況以外でも『他殺願望』の力を行使できるようになる」

 

 

 これこそが、「他殺願望」の力を分析して挑んでくる敵に対し、ルーカスが用意していたカウンター。敵は一撃で仕留めようとする努力もむなしく、初っ端から性癖のパワーを使われて蹴散らされるという寸法だ。

 ただし、万能というわけではない。「性癖展開」は体力消費の激しい大技であるため、連続使用はできず、使った後はどうしても隙が生じる。ゆえに今までは温存してきた。しかし、デルタのように相性の悪い敵が立ちはだかったとなれば、話は別だ。

 

 

「発動条件を無視できると言っても、当たればの話だろう? パチンコをモチーフにした原典なんて、そう簡単に当たるとは思えないけどね」

「お前の言う通り、当たる確率は低い。1/239だ」

 

 ルーカスは悠然たる態度で認めた。

 

「さあ、勝負といこう。俺が当たりを引く前にお前が俺を殺せたら、お前の勝ち。お前が俺を殺す前に俺が当たりを引けば、俺の勝ち。二つに一つだ」

 




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・呪術廻戦
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