召喚した戦士たちが次々に倒されていくため、さすがのダレンにも焦りが見え隠れしてきた。
「ならば、これでどうだ!」
『ジゲン・ライド! TSライジャー!』『TSカイザー!』
忍び装束の二人組と、海賊風の黄金のアーマーの戦士が見参し、それぞれ名乗りを上げる。
「深紅の稲妻! T忍・Tライジャー!」
「蒼天の霹靂! S忍・Sライジャー!」
「男に向かいて男を斬り……」
「女に向かいて女を斬る!」
「「電光石火! 超次元からの刺客、TSライジャー!」」
「TSのパワー! ヨホホ~イ! 『TSカイザー』!」
復活した超次元生命体たちを、カイリはうんざりした顔で眺めた。
「忍者ども、あのときはよくも俺を女の子にしてくれたな! あと海賊の方は、男だ女だとやかましかったっけ。まとめてぶっ倒してやるぜ!」
「あんたたちには恨みがあるわ。よくも乙女の体に、おぞましい突起物を取り付けてくれたわね!」
怒りを爆発させたカイリとツカサは、「スーパー・スペリオル・受け攻めショット」と「スーパー・エクセレント・ネコタチエックス」を発動。カブトムシとクワガタムシの意匠の忍者たちを、一撃で爆散させた。
「「――デュアル・百合&BL・ウェーブ!」」
さらに、フリルやリボン付きの可愛らしい衣装を金銀のアーマーの上に重ね着。百合ブラックとBLホワイトへ強化変身した。
「百合とBLの、美しき魂が!」
「邪悪な心を、打ち砕く!」
「「百合&BL・マーブルスクリュー‼」」
螺旋状に融合した黒と白の稲妻が、二人の戦士の手のひらから勢いよく撃ち出される。
「超力にレボリューション☆ 熱血超力、『オーレ・T・フォーム』……って、ぐわああああああああああ⁉」
対して、TSカイザーは古代エジプト風の装飾を持った姿へチェンジし、怪力にものを言わせてガードしようとした。しかし呆気なく失敗し、台詞の後半で大爆発してしまった。
『ジゲン・ライド! 超モモタロウ!』
続けて召喚された戦士は、前回同様に神輿に乗って登場した。
「……やあやあやあ、祭りだ祭りだ~! 袖振り合うも他生の縁、躓く石も縁の端くれ。共に踊れば繋がる縁。この世は楽園! ハーッハッハッハッ!」
扇子で顔を扇ぎながらやって来た超モモタロウが、神輿から飛び降りる。銃型アイテムにメダルのようなものをセットし、叫んだ。
「『アバターチューン』。『レッド・ピュアッシュ』!」
大きなゴーグルの付いたヘルメットを被った、赤い戦士へと変わる。鍔や柄がなく、長ぼそいクリスタルのような形の専用武器「プリズム純粋剣」を構え、いきなり必殺技を使用した。
「さあ、どんどん行くぞ! 『ファイヤー・サンダー』! 『スパーク・カッター』!」
炎と雷の斬撃を飛ばす。姿勢を低くしてそれをかわし、百合・BLレンジャーは各々の武器の照準を超モモタロウに合わせた。
モモタロウを相手取っているのは、ケイイチロウ、サクヤ、トウマ、ウミカの四名。TS系の戦士たちへの対処に忙しいツカサとカイリに、今以上の負担はかけられない。「この場は自分たちだけで切り抜ける」という覚悟を胸に、四人は迅速に動いた。
「さっきから騒々しいぞ」とケイイチロウが顔をしかめ、VSチューナーから「BL・イチゲキストライク」を放つ。
「お前の幻想をぶち壊してやる」
トウマも「百合・イタダキストライク」を発動し、同時攻撃でレッド・ピュアッシュに二発の光弾を命中させた。
「鍛え上げれば、パワーは無限!」
「磨き上げれば、オーラは無限! 全力集中、推し推しカノン、ファイア~!」
敵が怯んだ隙を逃さず、サクヤとウミカがオーラの力を集中させ、推し推しカノンからエネルギー弾を発射した。
「ハーッハッハッハッ! な、なかなかやるな⁉」
はたして、四人の連続攻撃を受け、超モモタロウはもう瀕死状態である。「こうなったら」と呟き、彼は天を扇いで叫んだ。
「来い、俺の最強形態!」
「まずいな」
ケイイチロウが漏らした。
「あいつ、ダレンに与えられた力でパワーアップする気か!」
「それなら、強化変身する前に倒せばいい」とトウマ。
サクヤとウミカも「名案です!」「クシャクシャのポイにしちゃおう!」と賛成したため、四人はVSチューナーをひたすら撃ちまくった。
「……ハーッハッハッハッ! そ、そんな馬鹿なあ~!」
五秒後、超モモタロウはあえなく大爆死していた。彼の強化変身には鳥型のアイテムが必要だったのだが、それが空から飛んでくる前にやられてしまった。
こうして、超モモタロウの最強形態は幻のまま終わったのである。
『ジゲン・ライド! 二十世紀青年!』
再登場したスーツ姿の怪人は、またしてもBLファイヤーと出くわしてしまった。
「お、お願いです、もう勘弁して下さい……」
ナオヤに気づくなり、彼は震えながら土下座した。
「貴公のように凄まじい覚悟を持つ相手とは、もう戦いたくない。七十年分も老化してまだ戦える状態だったのは、貴公が初めてだ。恐ろしくて恐ろしくて、戦う気すら起きない」
「そ、そうか。じゃあ、俺の不戦勝ってことで良いんだな?」
「はい」
「分かった」
踵を返した炎の戦士を見て、二十世紀青年は態度を一変させた。「馬鹿め!」と歓喜し、手から殺人ウイルスを散布する。クイズ出題では勝てないと悟ったからこそ、第二の能力を初っ端から使う作戦に切り替えたのだった。
「卑怯で結構。今度こそ貴公を倒し、私は私自身の恐怖を乗り越える!」
「そんなことだろうと思ったぞ」
予想に反して、BLファイヤーは秒で振り向いた。
「――『BLディフェンダー・ファイナルモード』」
剣から流れ出した冷気がウイルスの活動を停止させ、さらに二十世紀青年の全身を氷で覆い尽くす。ナオヤはそれに蹴りを喰らわせ、氷ごと粉砕した。
「老化した俺にも勝てなかったのに、通常の状態の俺に勝てるわけがないだろう」
つまらなさそうに氷の欠片を一瞥すると、彼はダレンを倒すべく、仲間と合流しに向かった。