百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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41 一か八か!0.2秒の賭け

 同時刻。ルーカスとギースのバトルにも、終止符が打たれようとしていた。

 今現在ダレンが使用している原典は、ほぼ無限に手下を召喚できる能力を有している。手下の一人一人に手こずっていては、いつまでもそれを操る本体へ接触できない。したがって、ギースとの戦いに時間はかけられない。最速で蹴りをつけることが求められた。

 

「――『性癖展開』。『他殺博徒』!」

 

 ルーカスは一か八か、〇・二秒間だけ「性癖展開」を発動した。

 この技を長く発動すれば消耗するし、何よりダレンの扱う原典のうちの一つ、「強敵キラー」のような能力の餌食になってしまう。だから、〇・二秒という短時間のみ使用した。

 

 

 もちろん、「他殺博徒」はパチンコ演出で大当たりを引き当ててナンボの能力である。こんな短時間で当たりが出るはずもない。ゆえに、「他殺願望」性癖による爆発的なパワーや敵の能力制限も行われない。

 ならば、なぜルーカスは「性癖展開」を行ったのか。答えは単純で、ギースに致命的な隙を生じさせるためだった。

 

 ヤンデレーザーフォームに強化変身したギースは、超高速移動と火炎を帯びた強烈な打撃の両方を使える。素早く動き回って攻撃してくる彼を手っ取り早く攻略するには、こうした奇襲じみた方法が適していた。

 

 

「息の根を止めてやるぜ! 『ヤンデレーザー・ブーストビクトリー!』」

 

 四人に分身しての跳び蹴りを放とうとしたギースだったが、ジャンプした途端、視界のすべてがパチスロの演出で埋め尽くされてしまった。眩しい光に、目がチカチカする。

 

「な、何だ⁉」

 

 思わず、腕で顔を覆う。空中で無防備になったギース目がけて、ルーカスは跳び上がった。

 今の彼は白虎の戦士ではなく、ロリーニンジャーの姿に変身している。右手に握った忍者激推し刀を、すれ違いざまに一振りした。

 

 

「……『激推し・ライトニングおねスター』」

 

 稲妻を降り注がせて敵を怯ませたのちに斬り捨てる、ロリーニンジャーの必殺技である。

 

「お前が倒したかったのは、この格好のときの俺だろ?」

 

 着地したルーカスは、振り返らずにすたすたと歩き去った。

 

「ま、俺を倒すなんざ不可能なわけだが」

 

 背後では、胴を切り裂かれたギースが地上へどさりと落下し、そのまま派手に爆発していた。

 

 

 オメガ珈琲シルバーとネトルティ来部が、アマエマックス、超ブラゴクウ、ガードノイド・マッシュを撃破した。お菊とピーターがオーバーリボンズに勝利した。

 ツカサとカイリが、TSライジャーとTSカイザーを倒した。ケイイチロウら四名が、超モモタロウを屠った。ナオヤが二十世紀青年を破った。

 そして、ルーカスがヤンデッレ・キースを仕留めた。ついでにBLACON・SUNもダレンに反旗を翻し、トードスツール・マシュルウムを人知れずやっつけてどこかに走り去った。

 召喚した下僕をことごとく倒され、今やダレンの手駒は残り少なくなっていた。

 

 

「観念しなさい、ダレン!」

 

 日米のヒーローたちが彼を包囲し、ツカサがその先頭に立って言った。

 

「あんたがどれだけ超次元生命体を呼ぼうが、あたしたちが倒す!」

 

 ちなみに、ルーカスもしれっとヒーローの中に溶け込んでいるのだが、あえて皆ツッコまない。「ダレンは俺たちにとって共通の敵だから、まずダレンを倒してからルーカスに対処するか」くらいに考えていた。

 前回ビッグ・ファーストと戦ったときも、結果だけ見れば自分たちを助けてくれたようなものである。元々ロリーニンジャーとして一緒に戦った仲間だったこともあり、どこか憎めないキャラみたく扱われていた――大体全部こいつのせいだけどね! 

 

 

「……もう少し貴様らを消耗させておきたかったのだがな。まあ、良いだろう。そろそろ、私の切り札を使おうか」

 

 カードが刺さったデザインの鎧を、ダレンが変身解除する。額から頬にかけての大きな傷痕が露わになり、ツカサたちはぎょっとした。彼女らは、生身のダレンを見るのが初めてだった。

 

『ダレン・マジェスティ!』

 

 彼が懐から取り出したのは、赤と金の時計型のアイテム。上部のボタンを押すことで音声が鳴り、パワーを引き出す仕組みのようだった。

 時計と同じ赤と金のカラーリングのアーマーとマントを装着し、ダレンが変身を遂げる。なぜかは不明だが、頭部のアーマーには「だれん」と平仮名で文字が刻まれていた。

 

 

「私は全ての二号戦士の力を使えるが、その中でも特にユニークなものが二つある。一つは、先ほどまで使ったカードの戦士。他の戦士をほぼ無尽蔵に呼び出せるため、物量では絶対に負けない」

 

 そしてもう一つがこの形態だ、とダレンが告げる。

 

「『ダレン・マジェスティ』は、全ての二号戦士の武器や能力を使える」

「……ん? それってすごいことなのか?」

 

 カイリが首を傾げた。

 

「だってお前、元々全部の二号戦士のパワーを使えるんだろ?」

「確かにそうだが、今までは一度に一つずつしか使えなかった。別の原典に切り替える場合は変身し直す必要があるため、その間は無防備になるという欠点もある。『ダレン・マジェスティ』はこの原典自体が持つ圧倒的なパワーに加え、再変身せずに他の二号戦士の力を重ねることが可能なのだ」

「つまり、使う原典が一度に一つなのは変わらないまま、実質的には原典の併用ができるってことね」

 

 お菊が分かりやすくまとめた。

 

 

 誰にとっても厄介な能力だ。たとえばルーカスの場合、ダレン・マジェスティは「強敵キラー」の能力を再変身を伴わず即座に使えるため、常に警戒しなければならなくなる。一か八か〇・二秒の性癖展開も、二度目は通用しないと考えた方が良さそうだ。

 

「さあ、誰からでもかかってくるがいい」

 

 歌うようにダレンが言う。

 

「私は、貴様らを倒したくてウズウズしているのでな」

 

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