百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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54 白い超次元ライダーはどこから来たのか

 本来ならば、強力すぎて変身者の肉体に過負荷がかかるほどの大技。しかしピーターは、「癖緊縛動」で身体能力をブーストすることで負荷に耐えたのだった。

 

「別世界のヴィランたちよ、僕に力を!」

『オクトパス! トカゲ! 電気ウナギ! ミステリー! リボンズ・レクイエム!』

 

 電撃を帯びた銃弾の嵐が、ルーカスを襲う。ならば、と白虎の戦士の「フリーズ」の力で再度凍結を狙うルーカスだったが、ピーターの振るった尾の一撃がそれを阻止。宿敵の手から、短槍を弾き飛ばした。さらに打撃によるダメージと稲妻による麻痺効果で、数秒間、ルーカスに防御姿勢を取れなくする。

 

 

「何⁉」

 

「サウザー」の原典の弱点は、能力の大半が専用武器に依存していることである。短槍による「ジャック・ライズ」他多彩な必殺技を使えなくなると、途端に攻撃パターンが減ってしまう。

 元より、四種類のスタンプを同時使用している今のオーバーリボンズに、一度に一種類の原典しか奪えない「サウザー」で対処できるはずもなかったのだけれども。

 

「ぐあああっ……」

 

 ドローンの掃射をまともに喰らい、苦悶の声を漏らすルーカス。彼の手足を、稲妻を纏わせた機械アームが強く掴み、拘束した。

 

 

「君のせいで犠牲になった、人々の悲しみと!」

 

 雄叫びを上げ、ピーターは高く跳び上がった。脚部に四種のスタンプの力を結集させ、渾身のライダーキックを放つ。

 

「僕との友情を裏切った、君への怒りだ!」 

 

「オクトパス」と「トカゲ」、それぞれ機械と生物の凄まじいパワー。「電気ウナギ」の雷属性。さらに「ミステリー」の作り出す風、水、火、土の四つのエレメントを右足に宿し、ルーカスへオーバーリボンズ最強の必殺技を見舞った。

 

「――喰らえ!」

 

 命中と同時に、あまりの衝撃でゴオオオッ、と爆風が吹き荒れる。

 胸部にキックが炸裂し、勢いよく吹き飛ばされる金色の戦士。十メートル以上も地面を無様に転がったのち、彼は荒い息を吐きながらふらふらと立ち上がった。これでも変身解除されない辺り、凄まじい執念を感じる。

 

 

「……ハア、ハア。お前にしてはやるじゃないか、ピーター」

 

 短槍を拾い上げ、おぼつかない手つきで構える。

 

「だが、忘れたわけじゃないだろうな? あともう少し俺を追い詰め、死へ近づければ、俺の性癖『他殺願望』の力が発動する。お前や仲間たちの能力は無効化され、俺の全能力は爆発的に上昇するんだぜ。何なら出血大サービスで、今から『他殺博徒』でも展開してやろうか? 多少消耗するが、あれなら発動条件を無視して『他殺願望』を使えるぞ」

「やれるもんならやってみやがれ!」

 

 カイリが口を挟む。

 それまで、皆はピーターとルーカスの一騎打ちを静観していた。アメリカで出会い、共に戦った時期があった二人の因縁の対決を邪魔するのは、野暮だと思ったからだ。

 何より、ピーターは強い。「性癖操術」だけでなく「ミステリー」スタンプを会得し、四連リボンミックスをも使いこなせるようになっている。ルーカスが相手でも負けないだろう。

 

 

「そう来るだろうと思ってよ。俺たちの新武装『VS・スワットモード』には、これといった特殊能力は搭載してないぜ」

「何だと?」

 

 仮面の下で、ルーカスは怪訝そうな顔をした。

 

「つまり、純粋に戦闘能力だけを高める装備だったことだ。お前の『他殺願望』で無効化できるような、ごちゃごちゃした能力は一切ない。残念だったな!」

 

 第一位ビッグ・ファーストは「最強無敵」の力を、第三位デルタは触れたものを灰化させる能力を封じられ、ルーカスに敗北を喫している。第二位ダレンはというと、二号戦士の原典をまとめて所持する一方で強敵対策を講じた。

 それに対して、百合・BLレンジャーは驚くほどシンプルな解決策をぶつけてきたのである――もっとも、武器の多彩さこそあれ、彼らは元からそこまで特殊な能力は持っていなかったが。強いて言うなら、ネトルティ来部の精神干渉能力くらいだろうか。

 

 

「フン、馬鹿め。お前の台詞を意訳すると、武器を奪われると分かっているので最初から武器を持ってこなかった、と言っているようなものだぞ」

 

 それに、と五本角の戦士は不敵に笑った。

 

「能力無効化の対策をしたところで、極限まで強くなった状態の俺に力で勝てなければ何の意味もない。何せこっちには、ダレンから奪った、対強敵用の原典のパワーもあるんだからな」

 

 その原典の力を短槍で引き出し、ルーカスの胴にタイヤ型のアーマーが装備される。槍を構えておらず空いた左手には、クワガタの戦士が使用したのと同じ銃が収まった。

 

「さあ、始めようぜ。……レディース・アンド・ジェントルメン。イッツタイム・フォー・スーパースターアクション!」

 

 なぜか、彼の周辺で派手な花火が上がり、ヒーローたちを困惑させた。

 

 

「何もないところから光が出るなんて。早川くん、あれはどういう原理でああなっているのかしら? 理系の血が騒ぐわ」

「大学院を途中で辞めた、落ちこぼれコースの俺に聞かれてもな。俺たちが名乗るたびにバックで起こる、謎の爆発みたいなものじゃねえか?」

 

 戦いの第二ラウンド突入を、祝福するかのように。

 

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