百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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55 愛が止まらない!?乱入者たちの奮闘!

 一方、人間界ではというと。

 トードスツール・マシュルウムを倒し終えたBLACON・SUNは、海沿いの道をバイクでひた走っていた。

 

「……ふむ」

 

 しかし、何の異常も見当たらない。それも当然、無貌支持派のほぼ全ての戦力が超次元界に集中しているからである。あえて今人間界で悪さを働こうと逆張りする輩は、さっきのキノコ怪人くらいのものだ。

 

「いたって平和だ。ここは一つ、一旦超次元界へ戻り、憎き無貌支持派のダレンを討つとしよう!」

 

 自分に気合を入れるように、黒いバッタの戦士は大きな声で言った。スロットルを強く握り、前方に「本当にどこへでも行けるドア」を展開する。

 

 

 彼の無駄に馬鹿でかい声は、海辺でバカンスを楽しんでいた五人組の耳にも届いた。

 

「あらら? 今、『無貌』という単語が聞こえましたわ~!」

「私にも聞こえましたわ~!」

「一体、どこからですの~?」

 

 例によって信号機みたいに赤、黄、青のカラフルな水着姿のゴークイーンズたちは、きょろきょろと辺りを見回した。

 

「あそこです!」と、ビート・タイツとスタッグ・タイツが漆黒のバイクを指差す。

 

 

「よく分かりませんが、追いかけますわよ。下僕たち、さっさとビーチパラソルを片付けなさい!」

 

 レッド、ブルー、イエロー・クイーンの三人は、ものの数秒でSMプレイ用の黒い衣装に着替えた。そして、全力ダッシュでバイクを追った。

 だが、超次元生命体の乗るスーパーマシンに、人間の脚で追いつくのは不可能だ。かといって、同じくスーパーマシンで追うのも無理である。特命女王戦隊ゴークイーンズは深刻な予算不足のため、専用マシン的なものを持っていない。

 

「くっ……速すぎますわ! ちょっと下僕たち! 何とかして心に響く言葉的なアレを捻り出して投げかけ、あの戦士を引き止めるのですわ!」

「無茶ぶりじゃないですか⁉」

 

 全身黒タイツ姿の男たちは困惑しつつも、競い合うようにしてBLACON・SUNに呼びかけた。

 

 

「お兄ちゃん……」「ライダー!」

 

 すると、バッタの戦士は優れた聴力によって下僕の言葉を聞き届けた。キキーッ、と物凄い音を立てて急ブレーキを踏み、バイクを停止させる。

 

「――今、愛が止まらないぞ!」

 

 そして女王戦隊へ振り向き、にこやかにサムズアップしたのだった。

 

 

「うおおおおおっ!」

 

 百合・BLレンジャーの面々は大型マシンガン・VSリボルバーを連射し、ルーカスを執拗に狙った。

 

『ジャッキング・ブレイク!』『拡散!』

 

 金色の戦士は短槍を操作し、バイクの前輪を模したような、独特の形状の銃を新たに召喚。その銃口から、多方向へ拡散するビームを放った。赤いクワガタの戦士の銃と合わせ、二丁拳銃でマシンガンの掃射に対抗する。

 ほとんどの弾丸を相殺してのけたものの、さすがに八人の銃撃を防ぎきるのは難しい。何発かを胴に受け、ルーカスは後退した。

 

 

「少しはやるようだな。だが、相手が強ければ強いほど、俺の強さも増大することを忘れるな!」

 

 さらなる一撃を繰り出そうとしたとき、空に装飾を帯びたゲートが開いた。そこから、一台のバイクと二台の自転車が出現する。

 

「――皆、一生懸命に生きている。愛し合いながらな。これを壊してはいけない! ダレン、許さん!」

 

 BLACON・SUNが運転するバイクの後部に、無茶苦茶な乗り方で三人の女王がしがみついていた。下僕のビートとスタッグはバイクにもう乗れるスペースがなかったため、仕方なく自転車で追いかけてきたようである。勢い余って空中に飛び出したため、「E.T.」の有名なシーンみたくなっている。

 

 

「おや、いつかのお嬢さんたちじゃないか」

 

 そうルーカスが呟く一方で、女王たちは「ルーカス=ロリーニンジャーの中の人」であることにいまだ気づいていない。ただ単純に悪い奴として認識している。

 無貌との戦いの中、成り行きで共闘した。竹下通りで出会った際にはメイクアップを施した。何気に縁のある彼らなのだが、ゴークイーンズ側はルーカスのことを全然知らない。知らないまま戦わなければならない、悲しいすれ違いだった。

 

 

「バッタの人はともかく、何でゴークイーンズも一緒に来てるのよ⁉ しかも、『ス〇ムダンク』に出てくる不良たちみたいなバイクの乗り方してるし!」

 

 リボルバーを下ろし、ツカサは一度ツッコミに回った。

 

「無貌の取り巻きを倒しに行かれると聞いて、この戦士にご一緒したのですわ~!」と、赤いサングラスを掛けた女王は答える。

 

「ちょうど良かった。お前ら、手を貸してくれ!」

「うむ、分かったぞ。ダレンをぶっ飛ばせば良いのだな?」

 

 早合点してしまったBLACON・SUNを、カイリが慌てて止める。

 

「いや、それが事情が変わってよ。客観的に見たら、ルーカスの方が明らかに悪者だ。無貌という存在を誕生させたのもあいつだしな。ルーカスから先にぶっ飛ばそうぜ!」

「よし、ならばルーカス優先だ。許さん!」

 

 

 あっさりと手のひらを返し、バッタの戦士はバイクを停めて飛び降りると、その勢いのまま跳び蹴りを放った。

 

「『ライダー・ブラコンキック』!」

「『女王・一斉忍烈斬』!」

 

 彼に続き、クイーンたちもブレス型アイテムを操作する。「イッツ・タイムフォーSMプレイ!」の音声の後、色とりどりに輝く鞭や蝋燭を手に、ルーカスへ突撃した。素早く接近して一太刀浴びせ、さらにジャンプ。回転しながらの落下とともにさらに一撃を見舞った。

 

「……ん? もしかして、今のが全力か?」

 

 六人の同時必殺技を受けたが、ルーカスは大したダメージを受けていない。アーマーの誇りを払うような仕草をしてみせた。

 

 

「あ、ありえないですわ~! 私たちの攻撃は、あの無貌にさえそこそこ通用したというのに⁉」

「全然効かないだと⁉ 許さん!」

「馬鹿なことを言うな。お前たちごとき、レベッカの足元にも及ぶはずもない!」

 

 ルーカスに接近し、技を出したままの体勢で動揺し、固まってしまった六人。隙だらけの女王たちを、五本角の戦士が短槍で薙ぎ払った。

 

『ジャッキング・ブレイク!』『マッハ&チェイス! イッテイーヨ!』

「うわああ~っ⁉」

 

 

 横断歩道のようなエフェクトと共に放たれた斬撃をまともに喰らい、六人は呆気なく吹き飛ばされてしまった。木の幹に叩きつけられ、変身解除されて伸びてしまう。

 

 その様子を眺めていたツカサの脳裏に、ふと閃くものがあった。

 

(……今、ルーカスの強敵対策の原典は、効果を発揮しなかったわよね?)

 




今回、ご迷惑をおかけした作品
・仮面ライダーZO
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