あれだけ至近距離から必殺技を受けても、ゴークイーンズやBLACON・SUNは気絶こそすれ重傷は負っていない。命に別状はなさそうだ。
ルーカスの技は、VSリボルバーの銃弾をほぼ相殺できる程度の高威力を誇る。もしもツカサたちとやり合ったときより戦闘力が上昇していたのなら、気絶どころでは済まなかったはずである。つまり、強敵キラーの効果は発動しなかったのだろう。
なぜ発動しなかったのか。答えは明白だ。強敵キラーの力は、強敵と戦わなければ顕現しない。そこまで強くない敵が相手の場合は、特殊な作用は働かないからである。
「皆、大技を連発しないように気をつけて!」
仲間たちを見回し、ツカサは声を張った。
「威力の高い技と、それほどでもない技を交互に出すの。そうすれば、原典はあたしたちのことを『強敵』だと認識し続けられず、強敵対策の発動を抑えられるかもしれないわ!」
「名案だぜ、相棒」
お前の作戦に賭ける、とカイリが仮面の下で笑みを浮かべる。
「体力を消費するのと引き換えに、ルーカスは『他殺博徒』って技で性癖のパワーを無理やり引き出せるらしい。てことは、いくら俺たちがあいつにダメージを与えすぎないように気をつけても、『他殺願望』の発動を百パーセント封じるのは不可能なわけだ。だったら、強敵キラーだけは何としてでも抑えるぞ!」
この戦略が決まれば、ルーカスがダレンから奪った強敵対策を完封できる。「他殺願望」までは封じられないけれど、こっちには特殊能力無効化の対象外になる「VS・スワットモード」がある。敵がいくらパワーアップしようが、こっちがパワーダウンしないのなら話は速い。死に物狂いで戦って食らいつき、敵の強さに追いつき追い越すまでだ。あとは純粋に、力と力のぶつかり合いになる。
単純明快かつ脳筋な作戦だが、今はこれしかない。戦士たちは雄叫びを上げ、ルーカスに向かって行った。
今回はまず、裕介と美明日が仕掛けた。
「――『NTR界氷結』!」
ネトルティ来部の剣の力で、ルーカスの全身が厚い氷に覆われる。しかし、それも束の間。全身から溢れ出す蒸気の熱で、金の戦士は氷を内側から溶かして脱出した。おそらく、ダレンから奪取したバイクの戦士の力だろう。
「『ブレイザー・珈琲インパクト』!」
反撃の隙を与えず、今度はオメガ珈琲シルバーが基本となる必殺技を発動。珈琲色の光弾を連射しながら接近し、ソードモードに変形させたブレイザーで敵を切り裂く技だ。
「くっ……」
両腕で光弾をガードしたルーカスは一瞬、胴ががら空きになった。そこへ鋭く斬りつけ、裕介はさらに「オメガ天衝!」と吠える。ブレイザーを珈琲サイブレードへと持ち替え、黒い斬撃を飛ばした。
「調子に乗るなよ、オメガ珈琲シルバー」
数メートル吹き飛ばされつつもどうにか踏みとどまり、ルーカスが唸る。
「ガードノイド・マッシュと交戦していたときのお前は、俺が手を貸さなければやられていたかもしれない程度の雑魚だった。お前がいくら努力し、強くなったところで、俺との実力差は埋まらない!」
「確かに、一対一じゃお前には勝てねえかもな」
漆黒に染まった切っ先を敵に向け、裕介は認めた。
「けど、あの頃の俺とは違うぜ。お前相手に食らいつけるくらいには強くなったつもりだ。何より、今の俺には信頼し合える仲間がいる」
その台詞を言い終わるか終わらないかというタイミングで、彼のベストパートナー、来部美明日はルーカスの背後まで迫っていた。殺気を感じ、ルーカスがハッとして振り向く。
「小賢しい。三武神と一体化しないとパワーアップできないような低能が、俺に刃向かうな!」
短槍を突き出し、「ジャック・ライズ」を発動しようとする。だが槍の先端が触れる寸前で、美明日はネトルと二人に分身した。それぞれが超次元ライダー来部、ネトルの姿へ変身し、ベルトを操作して技を浴びせる。
『必殺・承認!』
いわゆる「必殺待機音」というテンションの上がる音楽が流れる中、彼女たちは凛として告げた。
「一体化しないとパワーアップできない? 違うわ。私たちは二人で一人。一緒だからこそ、どこまでも強くなれるのよ!」
「ずっと一人で戦ってきたあなたには、分からないかもしれないけどね!」
トリガーを引き、二種のキック技が発動。美明日は蝙蝠の形をした白の破壊エネルギーを、ネトルは青緑の雷を脚部に纏わせ、跳び蹴りを炸裂させた。
『来部・ジャスティスフィニッシュ!』
『NTR・ダークネスフィニッシュ!』
「ぐあっ……」
胸部にキックを喰らい、後ずさるルーカス。その頭上で、高く跳躍していた銀の戦士は、大剣を一対の双剣へと分離させた。そして渾身の力を込めて振り下ろした。
「NTR界氷結」(「BANG・解」したネトルティ来部の最強技)
→「ブレイザー・珈琲インパクト」(オメガ珈琲シルバーの基本技)
→「オメガ天衝」(シルバーの二番目に強力な技)
→「来部・ジャスティスフィニッシュ」&「NTR・ダークネスフィニッシュ」(共に来部、ネトルの基本技)
…という流れで、強弱をつけて交互に技を出している状況だ。したがって次は裕介の番であり、最強クラスの技を解放しても文句を言われる筋合いはない。
「……『オメガ十字衝』!」
より巨大になった黒の斬撃を降らせ、シルバーは技名を叫んだ。上から押し潰すかのような強烈なダメージを与え、金色の戦士の肩を大きく切り裂く。
「まだまだ行くぜ。『珈珈弾』&『琲琲刀』!」
続けて剣を合体させ、サイブレードからエネルギー弾を発射した。怯ませたところに、落下の勢いを加えた「琲琲刀」を見舞う。先刻「オメガ十字衝」で損傷を与えた肩アーマーへ、もう一度斬りつけた。
そのとき、ついにルーカスは片膝を突いた。荒い呼吸をしながら、裕介を威嚇するように短槍を振り回す。
「まさか、お前に追い詰められる時が来るとはな」
『ジャッキング・ブレイク!』『フュージョン・クジャク!』