百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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57 頭脳プレー!ルーカス超絶強化!?

 五本角の戦士の背中から、六枚の羽が生えた。銃が銃剣へと形を変えていく。原典のパワーを使って強化形態にチェンジし、大技を出そうとしたのだが。

 

「何だ? このフォーム、あまり強くなった気がしないぞ⁉」

 

 いまいちパッとせずに戸惑っている隙を突き、再びネトルティ来部へ融合した美明日がキック技を放った。

 

「大事に……決めるわよ!」

『ネトルティ・パーフェクトフィナーレ!』

 

 背中の羽を展開し、ネトルの幻影と共に最強のジャンプキックを叩き込む。あんまり強くならなかったルーカスは防御姿勢をろくに取れず、無様に吹き飛ばされてしまった。

「十字衝」の後、威力抑えめの技を繋ぎに使ったからこそ、気兼ねなしに放てた必殺キックである。事実、強弱をつけて攻撃した成果か、ルーカスの強敵対策が発動した気配は今のところない。ツカサの立てた作戦は成功したのだ。

 

 

 二人に続けとばかり、お菊とカイリ、ナオヤも動いた。

 

『リボンズ・フィニッシュ!』

「『百合拳・ソニックハンマー』!」

「――『BL・ベガスラッシュ』!」

 

 お菊はリボン状の破壊エネルギーを帯びたキックを繰り出し、男性陣二名は、VS・スワットモードとは異なるブレス型や剣型の強化武装を使用した。カイリは跳躍し、急降下しながら強烈なパンチを撃ち込む。

 

「銀河一刀流の剣技、とくと味わえ!」

 

 それと同時に、ナオヤもルーカスへ突進した。犬の頭部のような装飾を持つ剣の刀身に竜巻を宿し、すれ違いざまに斬りつける。

 リボンズの基本技を命中させた直後だからこそ、多少威力のある新必殺技をぶつけても強敵対策をされずに済んだ。

 

 

「お、おのれ……」

 

「ジャック・ライズ」で対抗しようにも、多対一の状況では分が悪い。ルーカスは敵の原典を封じられず、一方的にダメージを受けていた。とうとう、「サウザー」への変身も解除されてしまう。

 

「観念しなさい、ルーカス!」

 

 さすがに、生身で無防備に崩れ落ちている敵を撃つのは気が引けた。それが彼女の優しさであり、甘さでもある。

 ツカサたちはVSリボルバーを構え、慎重にルーカスとの距離を詰めていった。

 

「強敵キラーの原典は発動させない。あんたの負けよ!」

「負けだと? 笑わせるな」

 

 

 フン、と鼻で笑い、かつてキンジ・オネガワだった男は左手をすっと持ち上げた。親指と人差し指で弁財天の手印のような円を作り、唱える。

 

「俺にはまだ、とっておきの切り札があることを忘れてもらっちゃ困るぜ。――『性癖展開』。『他殺博徒』!」

 

 体力を大きく消費するため、ルーカスにとっても一か八かの大技だ。刹那、一同はパチンコ演出のような光と音が乱舞する空間へ、彼ともども閉じ込められた。

 

「お前らにこの技を見せるのは初めてだったな。ルールを教えてやるよ」

 

 ふらふらと立ち上がり、ルーカスは言った。

 

「俺の命の火が消えない限り、この空間内でのパチンコ演出は自動的に続行される。大当たりが出る確率は1/239。当たりが出れば、俺は発動条件を無視して『他殺博徒』を発動できる。要は、俺が当たりを引く前に、お前らが俺を倒せば良いわけだ」

「なるほど。簡単だな」

 

 BLディフェンダーの銃身をトン、トンと叩き、ナオヤが返す。

 

 

「当たりが出るまでにはしばらくかかるだろう。弱り切った今のお前を倒すなど、造作もないことだ」

 

 次の瞬間、BLファイヤーは躊躇なく銃の引き金を引いた。

 

「……悪く思うな」

 

 敵が生身であろうが容赦はしない。ルーカスという悪魔がいなければ、ナオヤは今でも父親と幸せに暮らしていたかもしれないのだ。彼がすべてを壊し、大勢の人々の人生を狂わせた。断じて許すことはできなかった。

 

「ああ。思わないとも」

 

 しかし信じがたいことに、ルーカスは恐るべき動体視力で銃弾の軌道を読んだ。そして右手で掴み取り、粉々に砕いた。

 

 

 彼の全身からは、先ほどまでとは比べ物にならないほどの圧倒的なエネルギーが満ち溢れている。いつの間にか傷は癒え、完全に回復していた。

 間違いない。ルーカスは今、「他殺願望」を発動したのと同じ状態に至っている。全能力が爆発的に向上し、一分間敵の特殊能力を封じる最強の形態だ。

 

「なぜだ。まだ大当たりは出ていないのに、どうして性癖のパワーを使える⁉」

 

 動揺するナオヤに、ルーカスは人の悪い笑みを向けた。

 

「おいおい、忘れたわけじゃないだろう? 『他殺願望』の発動条件を」

 

 性癖「他殺願望」は、自身が死の一歩手前まで追い詰められて初めて、その真価を発揮する。そして「他殺博徒」は、大幅な体力消費の代わりに「他殺願望」の発動チャンスを得る技だ。

 

「『他殺博徒』を発動した時点で、俺の肉体にはかなりの負荷がかかり、命は限界に近づいていた。そのダメージを逆に利用することで、俺は『他殺願望』の発動条件を満たしたのさ」

 

 

 つまり彼は、「他殺博徒」本来の大当たり効果によって性癖を使用するのではなく、「他殺博徒」発動時のダメージによって「他殺願望」の発動条件を満たしたのだ。発動条件を無視するためのものを使って発動条件を満たす、というわけのわからない方法を取っている。

 けれども、敵の意表を突くには適した策と言えるだろう。ルーカスの説明を受け、ナオヤたちの注意は「いつ当たりが出るか」という一点に集中してしまっていたのだから。

 

「お前たちは強敵対策を事実上無効化し、『他殺願望』には力で押し勝てばいいと考えていたのかもしれないが……」

 

 溢れ出す力を発揮し、ルーカスはロリーニンジャーの姿へ変身した。通常の金色の忍者アーマーだけでなく、堅牢な城壁をイメージしたかのような甲冑をその上に装着している。原典では「超絶」と呼ばれる強化フォームである。

 

 

「ポジティブなのもほどほどにしろ。無限に湧き出る力を振るう俺に、どうやって勝つつもりだ? 自殺行為だろ、そんなのさ」

 

 ダレンから奪取した二号戦士の原典の影響か、時折、喋り方が嫌味になっている。

 

「お前ら、死にたいんだよな? 俺はツカサのような甘い奴とは違う。望み通りにしてやる!」

 

 そこでパチンコの演出が消え、現実の超次元界へ戻った。

 光り輝く世界の後に残ったのは、圧倒的に開いている彼我の実力差。黒一色に塗りつぶされた絶望だけだった。

 




※作者が旅行に出かけることになったため、少し更新をお休みさせていただきます。

7月上旬にはおそらく再開できるかと思います。お待たせしてしまって申し訳ないですが、よろしくお願い致します。
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