百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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61 禁断の力のゆくえ

(ルーカスが超次元界の隠れ家に残していた手記より、抜粋)

 

 人間界に潜伏して人間として生きていくためには、彼らの歴史や文化を知る必要がある。そう考えた俺は、実に様々な本を読んで勉強した。

 

 日米のヒーローの魅力や、オタク文化の素晴らしさを学んだのもその頃だった。おかげで、ヒーローオタクのキンジ・オネガワというキャラクターを演じやすくなった。

 

 

 日本の歴史についても勉強した。

 

 自在に姿を変えられる俺たち超次元生命体に比べれば、非力な人間たちの進歩は亀の歩みのように遅かった。俺たちが簡単にできることを、彼らは機械を発明したりして何十年もかけてようやく成功させる。しかし、進歩のスピードはともかく、世の中をより良くしようと一生懸命に頑張る人々の姿には胸を打つものがあった。

 

 中でも心惹かれたのが、戦国時代だ。まさに群雄割拠の時代だった。武将たちにはそれぞれの正義や理想があり、彼らの熱い戦いはドラマチックだった。

 

 

 たとえば、浅井長政。

 

 彼は信長の妹、「お市の方」を娶っていた。一時は信長と同盟を結んでいたが、古い友人である朝倉義景が信長へ反旗を翻したのを機に、自身も信長と敵対。「姉川の戦い」で朝倉氏と組んで信長の軍勢と交戦するも、敗北してしまった戦国武将だ。

 

 信長に味方し続ける選択肢もあったはずだけれど、友との絆をそれよりも優先したのだろう。義に厚い人物であるとされている。

 

 

 だが、一番俺を興奮させたのは明智光秀という武将だった。

 

 思うに、歴史が人を惹きつけてやまない理由の一つには、「真相がはっきりと分からないから」というものもあるのではないだろうか。だからこそ歴史ファンが想像する余地が残されており、ロマンがある。

 

 光秀の何がはっきりと分からないかと言えば、本能寺の変を起こした理由だ。「信長からパワハラみたいな仕打ちを受けていたから」だとか色々な説が出てはいるものの、彼がなぜ信長を裏切ったのかが解明されている文献は見当たらなかった。光秀が謀反を起こした本当の理由は何なのかと、俺は来る日も来る日も考えた。

 

 

 多少なりとも参考になればと思い、戦国時代を題材にした人気ゲームをプレイしてみたこともある。そのゲームに登場する明智光秀は色白のイケメンで、人気声優を起用しているので声もクールだった。髭面のおっさん武将もいる中では、結構恵まれたビジュアルだったんじゃないだろうか。

 

 ゲーム内の設定では、彼は信長のやっていることが正しいとは思えず、自分の正義を貫くために裏切ったことになっていた。こういう設定だと、プレイヤーも光秀のことを嫌いになりにくいだろうなと思う。

 

 また、ゲームならではのIF展開も満載で、光秀が生き延びたり信長と和解したりするルートも用意されていた。史実では落ち武者狩りにあって死亡した説が有力なので、だいぶ救いのある展開だ。ちなみに、俺の調べによると「死んだ光秀は影武者だった」説もあったが……まあさすがにこれは信憑性低いんじゃないかな。IF展開の方がまだ説得力ある気がする。

 

 

 そんなわけで、ゲームまでやり込んでしまうほどに明智光秀に惚れ込んだわけだ。次第に俺は、「光秀のように生きたい」と思うようになった。

 

 常日頃は真面目に誠実に、地味に生きているが、ここぞという場面では周囲を出し抜いて天下を取れる。そういう偽りのヒーローに、俺もなりたい。表の顔はハイテンションなアメリカンヒーロー、ロリーニンジャー。裏の顔は、世界滅亡を画策する超次元生命体ルーカスだ。

 

 ただし、光秀と俺の決定的な違いは、俺の天下は三日どころではなく永遠に続くということだろう。

 

 

 マシンガンの連射を浴びて、ルーカスはよろめいた。

 

「ぐうっ……」

 

 百合とBL性癖の真の力が発現したことにより、ツカサたちの繰り出す銃撃の破壊力は倍になっている。ロリーニンジャー超絶の甲冑の防御力を、彼らの攻撃力は明らかに上回っていた。

 

「調子に乗るなよ。『超絶・他殺斬』!」

 

 激推し刀の刀身を長く伸ばし、それに炎を纏わせて薙ぐルーカス。しかし、必殺のはずの斬撃は、戦隊たちの装着した防弾ベストを切り裂くことができなかった。それどころか、かすり傷一つ負わせることも叶わない。

 

 

「馬鹿な。攻撃力だけでなく、アーマーの耐久力まで上がったというのか?」

「どうやらそうみたいね」

 

 ツカサが不敵に笑った。

 

「――俺たちも忘れてもらっちゃ困るぜ!」

 

 そこに、急遽爆誕した超次元ライダー・百合嵐が割って入る。合体した三人分の武器を全て使えるのだろう、右手にNTRブレード、左手に来部ガンを構えてルーカスへ仕掛ける。銃を撃ちながら接近して剣で斬りつけるスタイルは、オメガ珈琲シルバーの「ブレイザー・珈琲インパクト」に似ていた。

 怯ませたところで来部ガンを珈琲サイブレードに持ち替え、二本の剣で同時に「BANG・解」を発動。二刀流の圧倒的な威力で攻め立て、ロリーニンジャー超絶の胴に鋭い斬撃を見舞った。

 

 

『百合嵐! Go! Go!』『インフィニティ・ハンドレッドストライク!』

 

 多彩な武器で攻撃したかと思えば、不意に剣を放り捨て、ベルトを操作して必殺パンチを発動した。両の拳に風のエネルギーを纏わせ、連続パンチを叩き込んだ。

 

『『リボンズ・レクイエム!』』

 

 さらに、リボンズとオーバーリボンズも同時必殺技を喰らわせた。電気ウナギの力で手から雷撃を放ち、ロリーニンジャーを吹き飛ばす。

 力が倍増した百合・BLレンジャーを前に、ルーカスは押されていた。だが、まだ彼は諦めていない。あらゆる原典を一つずつ使ってもなお勝てないというのなら、同時使用でケリをつけるまでだった。

 

 

「こうなれば最後の手段だ。俺の天下は、永遠に終わらない!」

 

 ルーカスは残された力を振り絞って立ち上がり、両腕を天に掲げた。所持している全ての原典のパワーを解放し、そのエネルギーの奔流を全身に浴びようとする。

 

「やめなさい。自分が何をしようとしているか、分かってるの⁉」

 

 お菊は顔色を変え、叫んだ。

 

「無貌が無限に等しい数の原典を扱えたのは、過去の記憶と外見上の特徴を捨てていたからよ。でも、あなたじゃ虚無のキャパシティーが足りない。原典の力が暴走すれば、取り返しのつかないことになるわ!」

「お前は知らないのかもしれないが、死を偽装して人間界に潜伏した俺は、ほとんどの超次元生命体の記憶から消えた存在だ。他の連中より少し多い数の原典でも扱える。それでもキャパが足りなきゃ、外見でも何でも捨ててやる!」

 

 十数個の原典のパワーが、眩い光となって順にルーカスへ降り注いだ。

 

「俺は……俺は! 超次元生命体を超えるんだあああああーっ!」

 




※ルーカスの手記に関しては、「戦国無双」シリーズのゲームを参考にして書いております。
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