「貴族階級は無貌が滅ぼした。無貌や支持派の連中は、お前たちレジスタンスや人間界のヒーローが排除してくれた。今こそ俺が天下を取り、超次元界を支配するにふさわしいタイミングだ。王宮跡地に新政府を設立し、世界を北都、西都、東都に三分割して統治してやる!」
「呆れた。痛みだの悲しみだのもっともらしいことを言うかと思えば、結局は権力が目当てってわけね」
お菊もリボンズドライバーを装着した。他のレジスタンスのメンバーも、量産型ドライバーを次々に腰へ巻き付けていく。戦う準備は万全だ。
「やめといた方が良いわよ。これまでにもブラコン系の戦士とは何度も戦ったけど、一番強かった超ブラゴクウでさえもオメガ珈琲シルバー一人に敗北している。あなた一人で私たち全員を相手取るのは、ちょっと難しいんじゃない?」
「お前たちは一つ誤解している。超ブラゴクウをはじめとするブラコン族は、決して弱かったわけではない。ただ、性癖の真の力を引き出せなかったのだ」
これを見ろ、とブラッコは右手のデバイスを掲げた。
「兄と妹、姉と弟、あるいは兄と弟など様々なシチュエーションがあるが、ブラコンとは総じて家族内での禁断の愛。その能力は『兄妹愛を認めない者たち、すなわち世界の在り方そのものを滅ぼす』というものだ。しかし、能力が強すぎて制御が困難なため、完全にパワーを解放するためにはトリガーが必要だった。それがこの『ハザード性癖トリガー』なのだ!」
トリガーというのは何かしらの「きっかけ」を指すのかと思いきや、アイテムの名前がそのまんま「○○トリガー」だったのが何だかギャグみたいだった。
「ダレンやルーカスとの戦いの最中で、我が同胞BLACON・SUNは正義の心と新たな力を覚醒させた。奴を肉体ごと吸収してエネルギーを抽出することで、俺はハザード性癖トリガーとドラゴン型変身アイテムを完成させ、儀式の準備を整えた。ようやく手に入れたのさ……破滅の力を!」
ボトル状のアイテムを龍型メカに装填すると、ブラッコはトリガーとメカを同時にベルトへセットした。
『マックス・ハザードオン!』『グレートクローズ・ブラコン!』
そして、ベルト右側に付いたレバーをぐるぐる回転させる。
『ブラブラコンコン・ズッタンズタン! ブラブラコンコン・ズッタンズタン!』『Are you ready?』『オーバーフロー!』
「――変身!」
ブラックの体が赤黒い水晶に似たエネルギー体に包まれ、水晶が内側から砕け散るようにして変身完了後の姿が現れた。
『Wake up BROTHER! Get GREAT BLACON!』『ブラブラブラブラ・ブラコン!』『ヤベーイ!』
ベルト本体に加え二種類のアイテムが音声を発するので、なかなかにぎやかな仕上がりになっている。
黒と赤、金を基調としたアーマーで、頭部の複眼にコブラの意匠を持つ超次元ライダーの姿にブラッコは変身した。背中にはところどころが破れたマントが装着されている。高貴で強そうなデザインだ。
『RISE! RAGE! REQUIEM! アメリカン・ファイター!』
『DEEP! DROP! DANGER! アメリカン・ファイター! リボンズ!』
対するレジスタンスも、リボンズと、その装甲を簡素化した量産兵・リボンズトルーパーへ変身した。量産兵は刀を振り上げ、お菊は「オクトパス・リボンミックス!」の音声とともに四本の機械アームを展開し、ブラッコを取り押さえにかかる。
「……レジスタンス殲滅計画、始動」
けれども、ブラッコの手から放たれた赤い波動がリボンズトルーパーを呑み込み、彼らを洗脳してしまった。敵の操り人形に成り下がった兵士たちは、刀を乱暴に振り回してお菊とダレンを襲う。
「ど、どうなってるのよ⁉」
「俺が今使用している原典には、民衆を洗脳してヒーローを攻撃させる力が備わっている。お前たちごとき、ブラコン性癖の超パワーを披露するまでもない。せいぜい同士討ちするがいい!」
高笑いをするブラッコ。お菊は機械アームで味方からの斬撃を受け止めるので精一杯で、彼に攻撃を届けられなかった。
しかし、決して押されてはいない。戦闘訓練で何度も拳を交えたことのある相手ばかりな ので、攻撃パターンはある程度読める。何より、量産型とオリジナルのドライバーでは性能が違うのだ。
「生憎だけど、部下にあっけなくやられるほどか弱くはないわ」
「そうか。ならば、決定打をくれてやる。……やれ、お前たち!」
ブラッコの鎧から黒いもやのようなものが流れ出し、二体の黒い怪人に変わった。一体は頭部と両腕、両足からハサミに似た刃物が伸び、もう一体はシマウマの特性を備えたパワー型の怪人だった。
「リボンズちゃん、遊びましょ?」
「やっと出番かいな。暴れ足りんかったから、ちょうどええわ!」
レジスタンスたちを押しのけ、ハサミ怪人はお菊へ、シマウマ怪人はダレンへ襲いかかった。どうやら前者は女性、後者は関西弁の男性らしい。
今回、ご迷惑をおかけした作品
・劇場版仮面ライダービルド「BE THE ONE」