百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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5 白と零のperiod

 だが、怪人を使役したのは逆効果だったかもしれない。

 

「ありがとう。味方が相手でさえなければ、こっちも全力を出せるわ!」

 

お菊はドライバーへスタンプを連続で押印し、三連リボンミックスを発動した。

 

『オクトパス! トカゲ! 電気ウナギ! リボンズ・レクイエム!』

 

 怪人が繰り出した右腕のハサミをアームで払い除けると、カウンターでトカゲの尾型の武装ガジェットを怪人の胴へ叩き込む。さらにインパクトと同時に高圧電流を流し込み、体内にもダメージを与えた。

 

 

「何なの、この力は。さっきまでよりも遥かに強い⁉」

 

 体を折り曲げて苦しむハサミ怪人に、お菊は「当然よ」と返した。そして、ルーカス撃破後の半年間で新たに開発した、ワニのパワーを秘めたスタンプをベルトに押印する。

 

「私には救うべき人がいる。守るべき世界がある。この世界は……この世界の未来は、私が守る! 大義のための犠牲になりなさい!」

『リボンズ・クラックアップフィニッシュ!』

 

 お菊がジャンプし、怪人へ噛みつくように両足で挟み蹴りを放った。脚部にはワニの顎型の紫の破壊エネルギーを纏い、挟んだ敵を回転してねじ切るように吹き飛ばす。

 

 

「そ、そんな、馬鹿な~⁉」

 

 ハサミ怪人は絶叫したのち、派手に爆発して散った。

 

「……本気出させてくれちゃって」

 

 リボンズは首だけで振り返って敵の最期を確認し、呟いた。

 

 

 一方のダレンは、シマウマ怪人のパンチをかいくぐってブラッコへ接近していた。

 

「貴様はBLACON・SUNを吸収していると言ったな。味方ごと敵を倒すのが性に合わないのは、私も彼女と同じだ。バッタの戦士は救出させてもらおう」

 

 ルーカスが倒された際、彼の「ジャック・ライズ」によって奪われていた原典の力は持ち主の元へ戻っている。ダレンの二号戦士のパワーもまた、元通りに復活していたのだ。

 ゲームカセットに似たアイテムを腰のベルトへ装填し、ダレンは二頭身のゲームキャラのような姿へ変身した。青色の騎士を思わせる可愛らしい姿だ。

 

 

「これより、BLACON・SUN切除手術を開始する!」

「笑わせるな。何が切除手術だ。そんな不格好なフォルムで、お前に何ができるというのだ!」

 

 ブラッコは嘲笑し、手のひらから破壊光弾を撃ち放った。だがダレンは素早く動き回ってそれをかわし、ブラッコのアーマーへ体当たりを喰らわせた。

 

「チッ。ちょこまかと動きおって!」

「私に切れないものはない。今の私は、世界で一番のドクターだ!」

 

 とどめとばかり、召喚した剣を振り抜いてブラッコへ一撃を与える。その拍子に、彼の体内からするりとバッタ怪人が抜け出てきた。意識を失っているらしく、地面へ倒れ込んで動かない。

 ダレンは急いでBLACON・SUNへ駆け寄り、手首を握った。幸い、脈はある。外傷や出血もないため、命に別状はなさそうだった。

 

 

「……よし。あとは貴様だ」

 

 ベルトに装填したアイテムを別の物と入れ替え、その原典の最強フォームへとダレンは変身する。悠然と立ち上がりながら、大理石に似た表面の白い鎧と、同色のマントを身に纏った。

 

「貴様はこの世界の癌。私が切除する。――術式、レベルハンドレッド。変身!」

『辿る歴史! 目覚める騎士! ダレン・レガシー!』

 

 聖騎士を連想させる形態になった彼は、すかさずベルトを操作して必殺技を発動した。

 

『ダレン・クリティカルフィニッシュ!』

 

 

 背中から純白の羽を展開して上昇し、高く掲げた剣を一気に振り下ろす。剣から生成された大きな火球が、ブラッコめがけて真っ直ぐに射出された。

 大爆発に包まれるブラッコ。お菊とダレンは顔を見合わせ、「やったかしら?」「やったのではないか?」と口々に興奮気味に言った。

 

「……良い攻撃だ。だが、もう遅い」

 

 やがて爆炎の中から現れた超次元ライダー・ブラッコは、傷一つ負っておらず余裕を見せていた。一方、彼の右手で首根っこを掴まれているのは、大ダメージを受けて弱っているシマウマ怪人である。「何すんねん」とか何とか、ブツブツ言っている。

 仲間を盾にして攻撃を凌いだようだ。 ブラッコは怪人を雑に突き飛ばし、何とも思っていない。絵に描いたような悪役ムーブだった。

 

 

「BLACON・SUNこそ分離されたものの、奴から生成したアイテムは既に百パーセントその機能を発揮している。もはや、体内に取り込んでいなくとも何の問題もない。原典の力は俺の肉体に順応を終え、トリガーとブラコン性癖によって真の破滅をもたらすのだ!」

 

 ブラッコの足元の地面が突然崩壊し、巨大かつとんでもなく深い穴が形成される。念動力を使えるのだろうか。彼は体を空中に浮かべ、エレベーターか何かに乗っているかのようにその穴の中を静かに下降していった。

 

「これこそが、ブラコン性癖の世界を終わらせる力。俺は地中深くへ穿孔して超次元界のコアに到達し、地底から世界を破滅させる! ハッハッハ!」

「……そんなことしたら、あなたも巻き込まれて即死するんじゃない? え、もしかして馬鹿なの?」

 

 

 お菊のツッコミももっともだが、ともかく超次元界を破壊されてはたまらない。ダレンと彼女は穴の中を覗き込み、どうすべきか考えた。

 なお、覗き込んでいる間にも洗脳された仲間が襲ってくるので、お菊は手首から出したリボンで適当に縛って動けなくしておいた。今はこの人たちの相手をしている場合じゃない。

 

 ブラッコの言う方法でなら、人間界の地球を滅ぼすことは可能だろう――地球平面説のような半球型の世界である、超次元界でその方法論が通用するのかは正直分からないけれども、破滅まではいかなくとも相当なダメージはあるのではなかろうか。何としてでも阻止しなければ。

 

 

「そうだ。地底といえば、地下空洞で復讐心だけを支えに生き延びたとか言ってた人がいた気がするわ。半年前に一度会ったきりだけど、ええと、確か名前は……」

「お困りのようだな、お二方!」

 

 リボンで拘束されたレジスタンスらを掻き分け、黒い鎧を着込んだ騎士は颯爽と駆けつけた。

 

「無貌支持派第零位(自称)・零騎士ブルブラック、再び参上。諸先輩方、ぜひとも助太刀させていただきたい!」

 

 

 牛のような金色の角と、頭部と胸部の緑色の結晶体を輝かせ、ブルブラックは剣を構えてポーズを取った。

 

「――ギンガの光が、我を呼ぶ! ガンガンギギーン!」

「だからギンガの光って何なのよ⁉ なんか効果音みたいなのまで付いてるし!」

 

 今回はツカサ不在で、ダレンも基本的にはあまり喋らないタイプのため、お菊が全面的にツッコミ役に回らざるを得ない。これはちょっと疲れるな、と彼女は思った。

 

「……あのー、皆さん、俺のこと忘れとるんと違います??」

 

 ブラッコに置き去りにされたシマウマ怪人が怖々と切り出すと、三人の視線が一斉に彼に向いた。

 

 

「すまない、失念していた。ではさっそく、『零の一撃』!」

「う、嘘やろ~⁉」

 

 弱った相手にも、零騎士ブルブラックは容赦しない。高くジャンプし、黒い稲妻を帯びた回転斬りを浴びせて怪人を真っ二つにしてしまった。ここまで情けない倒され方をする敵も珍しいのではないだろうか。

 

 

「まあそれはそれとして、地底のことなら俺に任せてください。長い間地下空洞にいたので、ある程度慣れています」

 

 何事もなかったかのように先輩方へ向き直り、零騎士は胸を張った。敬語をやめて、いつもの口調に戻っていた。

 

「――まあ、見てな。俺が奴を倒してみせる!」

 




※次回の更新は一週間後の予定です。
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