百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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第18話 Over SS Solider

「裏切り者と邪魔者の始末は終わった。すなわち、これからは処刑ではなく侵略を行うべきだということだ」

 

 盾と剣を構えたSSソルジャーは今、永田町駅で電車から降りたところだった。そのまま迷いのない足取りで歩き、国会議事堂の正面まで移動する。

 

「他の次元四天王たちは、心の弱い人間を操って手駒を増やそうとしていた。だが、俺様は奴らのような生温い手段は取らない。より直接的な攻撃を行い、すみやかに国家機能をマヒさせてやる!」

 

 国会議事堂へ向け、必殺技「SSエンド」を放とうとするSSソルジャー。移動手段が公共交通機関なのがどうも悪役らしくないけれども、彼の闘争心に嘘はなかった。

 

 

「――そうはさせない!」

 

 SSソルジャーが剣を横薙ぎに振るおうとしたとき、その背に投げかけられる声があった。怪訝そうに振り向くと、七人の戦士が並び立っている。

 

「何てこった。お前たち、生きていたのか」

 

 ツカサ、カイリ、ナオヤ、そして百合レンジャーとBLレンジャーの四人の仲間が今ここに勢揃いし、悪を討つために再戦を挑もうとしていた。

 

「せっかく拾った命をまた捨てに来るとは、愚かな奴らめ。今度こそ俺様が仕留めてやる」

「勘違いしないでよね。あたしたちが来たのは、あんたに倒されるためじゃない。あんたを倒すためよ!」

「俺たちの本当の力を見せてやる。行くぞ、皆!」

「おう!」

 

 ぴったり息の合った動作で、七人が変身アイテムを構える。エックスチューナー、VSチューナー、BLコマンダーが操作され、各々の体が光に包まれるとともに変身を遂げた。

 

「警察チェンジ!」

「怪盗チェンジ!」

「『BLファイヤー』!」

 

 その様に圧倒されたのか、SSソルジャーが僅かに怯んだ素振りを見せた。

 

「……お、お前たちは⁉」

 

 狙ったかのような合いの手である。これはもう、お約束に乗っ取って一同で名乗るしかあるまい。

 

 

「孤高に輝く怪盗。サイレントスター! 百合エックス!」

「気高く輝く警察官。トリックスター! BLエックス!」

「スーパースター! BL1号!」

「シノビスター! BL2号!」

「ビーストスター! 百合ブルー!」

「フードマイスター! 百合イエロー!」

 

 と、七人中六人が名乗り、残ったナオヤをカイリとツカサが突っついた。

 

「ほら、お前もなんか言え」

「もうっ、空気読みなさいよ!」

「わ、分かった。では……二十世紀が泣いている。ポイズンスター! BLファイヤー!」

 

 過去を明かし、心を許し合える仲になったからだろう。今までよりも距離感が近く、ノリも良くなっている。

 

「よーし。じゃあ、最後に皆で決め台詞といくか! せーのっ!」

 

 さて、個別の名乗りが終わったら、全員でビシッと決めるのも定番中の定番である。カイリが号令をかけ、戦士たちが思い思いのポーズをとった。

 

ちなみに、SSソルジャーはその間「何が二十世紀だ。今は二十一世紀だろう!」などとブツブツ言っていたが、誰も相手にしていない。

 

 

「人の命は地球の未来!」

「銀河を貫く伝説の刃!」

「人も知らず、世も知らず、影となりて悪を討つ!」

「正義のロードを突き進む!」

「天下御免の警察&怪盗戦隊!」

「究極の救世主!」

「百合&BLレンジャー!!」

 

 そして、七人がポーズを決めると、背後で派手に爆発が起こった――なぜ爆発が起きたのかは、本人たちもよく分かっていなかったが。

 

 

「……お前たち、ふざけているのか? 名乗りが長すぎる上に、皆言っていることがバラバラじゃないか」

 

 SSソルジャーは呆れたように肩をすくめてみせた。

 

「無茶苦茶だ。そんな寄せ集めのチームで、俺様に勝てるとでも?」

 

 対して、カイリが強気に言い返す。

 

「俺もツカサも、百合&BLレンジャーの皆も、瞬間瞬間を必死に生きてるんだ! 皆バラバラで当たり前だ! ていうか、最後の決め台詞はほとんどアドリブだったから、揃うわけがなかったんだよ。それを無茶苦茶とか言うな!」

「お、おのれ~。何だかよく分からんが、お前たちの名乗りって醜くないか? まるでデコボコで、石ころだらけの道だ」

「デコボコの道で何が悪い。皆、行くぞ!」

「おうッ!」

 

 百合エックスとBLエックス、そしてBLファイヤーを先頭に、戦士たちが一斉に突撃した。以前、SSソルジャーと戦ったときとは比べ物にならない気迫が感じられる。

 

「まとめて地獄に送ってやる。『SSエンド』!」

 

 剣を横方向に振るって、SSソルジャーが炎を帯びた斬撃を飛ばす。その渾身の必殺技を、七人は高くジャンプすることでかわした。

 

「何っ⁉」

 

 動揺し、天を仰ぐSSソルジャー。次元四天王の最後の一人目がけて、戦士たちが急降下の勢いを加えた技を次々にお見舞いする。

 

 

「スペリオル・受け攻めショット!」

「エクセレント・ネコタチエックス!」

 

 百合エックスとBLエックスの放ったエネルギー弾。

 

「『BLディフェンダー・ファイナルモード』!」

 

 BLファイヤーの繰り出した、冷気を纏った斬撃。

 

「BL・一撃ストライク!」

「百合・イタダキストライク!」

 

 BL1号・2号、百合ブルー・イエローの光弾が、一気呵成に降り注いだ。

 SSソルジャーは盾を構え、それらすべてを受け止めようとした。しかし、七人の連携攻撃の前には無力。シールドが端からポロポロと欠けていき、やがて粉々に打ち砕かれてしまった。

 ナオヤが加わって七人になった百合&BLレンジャーは、衝突を乗り越えて真の絆で結ばれた。彼ら全員が力を合わせれば、どんな敵にも負けない!

 

 

「馬鹿な。俺様の防御力は、SS級のはず……うわああああっ!」

 

 絶叫が響く。力なく崩れ落ちたSSソルジャーの体は、大爆発に包まれた。その炎をバックに立ち、戦士たちが変身を解除する。

 

「やったな」

 

 カイリがナオヤの肩を叩いた。

 

「色々大変だったけど、どうにか次元四天王の最後の一人を倒した。残るは大魔王だけだ」

「ああ。これからも、力を合わせて頑張ろう」

 

 固い握手を交わした二人を眺め、ツカサは何やら呟いている。

 

「むむっ。もしかしたら、この二人のカップリングも意外とアリじゃないかしら。時々喧嘩して、主導権を握る側がその都度逆転する。で、結果的にさらに仲が深まっていく。良いわね……」

「やめて下さいよ、先輩! ここは普通、『苦労しながらも強敵を倒した達成感に浸る』べきシーンでしょう。妄想をぶち込んだら台無しじゃないですか!」

「べ、別にいいじゃない! サクヤだって腐男子なんだし、あたしの気持ち分かるでしょ⁉」

「気持ちは分かりますけど、声に出さないで下さいよ!」

 

 

 そんなこんなで、BL警察は今日もにぎやかだ。BL1号・ケイイチロウは二人の横で嘆息していた。

 一方では、百合ブルー・トウマと百合イエロー・ウミカも、彼らなりに物思いに耽っていた。

 

「今ここにいるメンバーの男女比率は五対二。BL派は五人から二人選ぶから、十通りのカップリングを妄想できる。攻めと受けを逆転させれば、その倍の二十通りだ。だが俺たち百合派は、ウミカとツカサのカップリングを妄想することしかできない。選択肢が少ないのは不幸なことだ」

「うんうん、確かに不幸……って、しれっと私とツカサさんのカップリングを妄想しないで⁉」

 

 ワイワイと騒いでいる一同。

 

 しかし、いつまでも国会議事堂の前にたむろしているわけにはいかない。さっきの戦いでの爆発音は、議事堂の中にいた人々にも聞こえていただろう。野次馬が集まってこないうちに退散しなければ。

 近くに停めておいた覆面パトカーへ乗り込むべく、七人は歩き出した。BL警察署に全員が集まり、そこから現場まで急行したため、今回は百合レンジャーのメンバーも一緒のパトカーで来たのである。

 

 

「皆、まだ気を緩めるなよ。帰るまでが戦う交通安全だ」

 

 運転席に座ったケイイチロウが声を掛け、発車しようとしたときだった。視界の隅に妙なものが映ったのである。

 

「んっ?」

「どうしたんですか、ケイイチロウ先輩。早く行きましょうよ」

 

 助手席のサクヤが急かしたけれども、彼の表情は硬く、ハンドルを握る手には汗をかいていた。

 

「今、駅の出口から変なのが出てこなかったか?」

 




今回、ご迷惑をおかけした作品
・仮面ライダージオウ(劇場版)
・ゴーゴーファイブ
・ギンガマン
・ハリケンジャー
・シンケンジャー
・カーレンジャー
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