百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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11 操舵手の執念!左腕とプライド

 ルーカスがメインで使用していたのは、「他殺願望」の性癖とロリーニンジャーの力だ。しかし、彼には予備として他にもいくつもの性癖や原典のストックがあった。ちなみに「女装/男装」性癖は、人間界に潜伏するときに一度使ったきりである。そのときはトンボの戦士の原典と併用し、一般人の目を誤魔化すことに成功した。ゴークイーンズには見破られそうになったけども。

 

「女装/男装」性癖には「性別を問わず、自分の思い描いた姿に変身する」能力が秘められている。このパワーで女子高生とお姉さんに化け、ヒョウガを篭絡しようとしたのだ。

 

 

「宇宙最強を求める不屈の騎士の力、見せてやろう!」

 

 詩絵・リンダは紫色の剣を取り出し、その柄、恐竜の顔のような形をしているパーツを操作することで鎧を装着した。

 

『男装/女装・チェンジ!』

 

 この原典は、原作では強者を求める怨念によって自我を持っている。力を欲した詩絵・リンダの元にルーカスの置き土産が流れ着いたのは、ある意味必然だった。

 紫と銀のアーマーが全身を覆い、さらに詩絵・リンダ自身のパワーによってもう一振りの剣を召喚して二刀流の剣士となる。

 

 

「どうだ。これが『ダンソーグ/ジョソーグ』だ」

「いいぜ。受けて立つ」

 

 対するヒョウガも、長剣ゼロライアットを掲げて「騎士転生!」と叫んだ。頭部と胸部に結晶体を備えた、黒い鎧に金の角の戦士に変わる。

 

「俺は零騎士ヒョウガ。銀河を貫く伝説の零だ!」

「訳の分からないことを言うな!」

 

 裂帛の気合と共に、詩絵・リンダ改めダンソーグ/ジョソーグは斬りかかってきた。左右の手に構えた剣を交互に振るい、猛攻を仕掛けてくる。

 零騎士ヒョウガはそれをバックステップでかわすと、長剣をショットガン形態へ変形させた。

 

 

「俺は一刀流だが、銃も剣も使える」

 

 中距離からショットガンを連射し、ダンソーグ/ジョソーグに弾丸を浴びせる。鎧から火花が散り、彼女はよろめいた。

 本来ならばこの原典は剣と盾を装備しているのだが、詩絵・リンダが二刀流で戦うことを選んだがために、盾を召喚し損ねてしまった。超攻撃型になる代わりに防御力が低下している鎧の騎士は、有効なガード方法を持たなかった。

 

「青年。貴様、私の仲間に加わる気はないか?」

 

 劣勢を意識したのか、彼女はヒョウガを動揺させる作戦を再度決行した。

 

 

「よくよく考えれば、ブルブラックはともかく、鎧を継承しただけの貴様にさほど罪はない。ただ、私の個人的な感情の問題だったのだ。……どうだ、復讐はやめて、共に次元海賊バルバルバルバンを立て直すというのは。報酬として、『男装/女装』性癖のパワーを使って毎晩違う女の姿で楽しませてやっても良いぞ?」

「断る」

「秒で断られた⁉」

 

 塩対応きわまるヒョウガの反応に、むしろ詩絵・リンダの方が動揺を隠せていなかった。

 

 

「なぜだ。貴様、私の言う意味が分からないのか。全ての男性にとって垂涎ものの生活を送らせてやると言っているのだぞ。そのチャンスを無駄にしてもいいのか⁉」

「俺の理想の女性とは、俺自身の力で出会う。それに、いくらうわべが美しくとも、中身がお前みたいな戦闘狂なのはごめんだ。『零のたてがみ』!」

 

 ヒョウガの新たな技が発動した。突き出した手のひらから火炎を放ち、慌てて回避しようとした詩絵・リンダの左腕をかすめる。

 

「……おのれ。私の左腕とプライドを傷つけた貴様だけは、絶対に許さない。跪かせてやる!」

 

 幾度の誘惑にも屈せず、戦闘においても常に優位に立とうとするヒョウガの生き様は、彼女の怒りを買ったようだ。紫の剣を操作し、必殺技を繰り出した。

 

 

『男装/女装・ブレイクエッジ!』

 

 二刀を続けざまに、強烈な斬撃を飛ばす。

 

「姿を自在に変えられる力を持っていても、傷がつくのは嫌か?」

 

 ヒョウガは高くジャンプしてかわすと、空中でショットガンを構えた。

 

「――とどめだ。『零の撃弾』!」

 

 漆黒の光弾が射出され、ダンソーグ/ジョソーグの胸部を正確に捉えた。その威力に耐えきれず、ついに紫の鎧が砕け散る。

 

 

「まだだ。まだ私は戦える。負けてなどいない……この勝負、私の勝ちだ!」

 

 ビキニアーマーの姿に戻った詩絵・リンダは、苦しげに体を折り曲げた。そして、激しいスパークと爆炎の中に散った。 

 

「いや、どう見ても俺の勝ちだと思うが」

 

 見事にカウンターを決めて勝利したヒョウガは、変身解除後にボソッとツッコんだ。

 野次馬が集まってくる前に、一般人に紛れてそそくさと退散する。予定よりも大幅に遅くなったが、何とか無事に大学から帰宅できそうだ。

 

(ブルブラック。お前が討ち漏らした敵は、俺が必ず倒す!)

 

 そんな決意を秘め、戦士は再び日常へと戻って行った。

 

 

 かくして、しつこく攻めてきた超次元生命体は撃破されたのだった。

 戦え、零騎士! 頑張れ、ヒョウガ! 過去の因縁を断ち切り、その剣で未来を切り拓くんだ!

 

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