百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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19 創世:シスコンの将軍

 バックステップでかわしたが、紙一重だった。命の危険を感じたヒョウガは、「やむを得ない」と呟き、長剣ゼロライアットを掲げて変身した。

 

「『騎士転生』!」

 

 黒と金の鎧を纏い、マントを風になびかせて敵と対峙。戦いは、西洋の騎士と東洋の武士の一騎打ちといった様相を呈してきた。

 

「邪魔をするな。俺の理想は絶対なんだ!」

「……いい加減にしろ!」

 

 再び斬りかかってきた男の一撃を、ヒョウガは長剣で受け止めて一喝した。

 

 

「お前が今使っているアイテムや、変身能力は何だ。幸か不幸か、俺もお前も、ヒーローの端くれになれるだけの力を手に入れたんじゃないのか」

「それがどうした!」

 

 鍔迫り合いになると、武神ソードとやらに変身している男が優勢に立った。この形態は原典の力により、三武神に匹敵するほど卓越した剣技を繰り出せるのである。

 しかし、零騎士も負けてはいない。不利を悟って後ろへ跳び退くと、「『零のたてがみ』!」と叫んで手のひらから炎を放った。不意を突かれ、武神ソードが怯む。

 

「力を手にしたのなら、正しいことのために使え。お姉さんのような犠牲が二度と出ないよう、誰かを守るために剣を振るえ。虚無英雄会に唆され、壊すために、殺すために力を使うのはヒーローじゃない、悪魔だ。お前の忌み嫌っている無貌と大差ない!」

 

 

 続いて、ヒョウガは「零の撃弾」を放った。ショットガンモードにしたゼロライアットから、黒い稲妻を帯びた光弾を射出する。武神ソードはそれを胸部に受けたが、衝撃で吹き飛ばされそうになったところを足を踏ん張って耐えた。

 

「あともう一つ。理想を叶えることと、押しつけることは違う。チョコミントの美味しさは自分が理解していればそれでいい。無理やり布教するのは、俺の主義に反する!」

「チョコミントだなんだのと、お前は一体何の話をしてるんだ⁉ そっちこそいい加減にしろ。真の世界平和を実現する邪魔をするな!」

 

 男は激昂し、ドライバーを操作して必殺技を発動した。またしても怪しげな和風サウンドが流れる。

 

『武神ソード・ストライク!』

 

 

 円を描くように刀を振り回しつつ、エネルギーを刃に充填。緑色の破壊エネルギーをみなぎらせた剣で、零騎士に斬撃を繰り出した。

 

「『零の衝撃』!」

 

 ヒョウガは跳躍し、稲妻を纏った袈裟懸け斬りを放つ。両者の技の威力は互角で、刃と刃がぶつかって激しい火花を散らした。やがて、剣から伝わった衝撃波が双方のボディーを打ち、共に数メートルほど後退させる。

 

「……決着をつけよう。この力で叶えてやる。俺の理想の世界を!」

 

 はあはあと荒い呼吸をし、武神ソードは吠えた。もう一度ドライバーを操作し、二段階目の必殺技を発動する。

 

『武神ソード・ビクトリー!』

 

 

 緑色の破壊エネルギーを右足に纏い、高速の跳び蹴りを放った。

 対するヒョウガは、漆黒の稲妻を帯びたゼロライアットを静かに構えた。浴びせられた強烈なライダーキックを、刀身で受け止めてガードする。

 

(まずい。このままでは……)

 

 ブルブラックから継承した零騎士の技の多くは、ジャンプしてから放つことが多い。「零のたてがみ」以外はゼロライアットを使用する。だが、パンチやキックといった格闘技は有していなかった。

 

 ゆえに、格闘系の必殺技を相手が使ってきた場合は、それをかわしてカウンターでこちらの技を決めるスタイルを取ってきた。問題は、今回のようにかわしきれなかった場合である。ガード中のため下手に態勢を変えられず、したがってジャンプからの必殺技には繋げられない。反撃する手段がないのだ。

 

 

 武神ソードの攻撃力には凄まじいものがある。ゼロライアットがライダーキックの威力に耐えられずに破壊され、防御を崩されてしまうのも時間の問題だろう。

 

(だが、負けるわけにはいかない。俺はこの戦いに勝って、武神ソードに変身している男の心を救う。彼も、超次元生命体の被害者の一人なんだからな)

 

 

「なかなかどうして粘るな。往生際の悪い奴め!」

 

 キックを剣で防御し、均衡を保ち続けているヒョウガに苛立ったのか、武神ソードは吐き捨てた。

 

「俺が引導を渡してやる!」

「……理想を実現し、亡くなった命を救うためなら、俺や諸先輩方を倒しても良い。もしお前がそう思っているのなら、それは間違いだ」

 

 姉をよみがえらせたいという純粋な願いを、この男は歪んだ形で叶えようとしている。虚無英雄会の言葉に踊らされ、ありもしないテクノロジーを追い求めて。

 

 

「どんな理由があろうと、犠牲にして構わない命なんて一つもない。お前のやり方は間違っている」

「笑わせるな。オーバーテクノロジーを手中に収めた暁には、命を奪うこともよみがえらせることも容易いはずだ。何なら零騎士、お前を一回殺した後で復活させて、部下としてこき使ってやっても良いんだぜ?」

「――ふざけるな」

 

 黒い仮面の下で、ヒョウガの双眸は怒りに燃えていた。今しがたの武神ソードの言葉は、彼の逆鱗に触れたのだった。

 ヒョウガ自身、ブルブラックという相棒を失っている。命の重さ、尊さは痛いほど理解している。テクノロジーで人の命を弄ぼうとする虚無英雄会――実際にそんなことが可能かどうかは置いておいて――は、絶対に許すことのできない悪であった。

 

 

「命はたった一つしかないから尊い。だから守るんだ!」

 

 そのとき、零騎士ヒョウガの体に不思議な力が湧いてきた。生きとし生けるものを守るために戦うことを強く決意した彼に、原典が反応し、そのパワーの一部を授けたのである。

 黒い稲妻を纏っていた剣に、白い光が加わる。黒と白、二色のエネルギーを秘めたゼロライアットは力を倍増させ、ついに武神ソードのライダーキックを破った。雄叫びと共に振るった剣が、超次元ライダーを薙ぎ払って地面に落下させる。

 

「ば、馬鹿な。なぜ俺が……」

 

 呆然としている男を無力化すべく、ゼロライアットから斬撃を飛ばす。今、新たな技が発動した。

 

 

「命を救うために他の命を犠牲にしようとするお前に、ヒーローになる資格はない。『零の一撃・コスモバージョン』!」

 

 白と黒の雷を帯びた斬撃を受けた武神ソードは、体をくの字に折り曲げて大きく吹き飛ばされた。けれどもギリギリのところで耐えており、変身解除されていない。

 

「まだだ。まだ俺は、負けるわけには……」

 

 鎧を損傷し、足元がふらついてもなお立ち上がり、手にしたデバイスのボタンを押す武神ソード。

 

 

『マックス・ハザードオン!』

 




今回、ご迷惑をおかけした作品
・リュウソウジャー
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