百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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28 虚無英雄会の会合!

「それでは会合を始める」

 

 会長の声に、虚無英雄会の役員三名は居住まいを正した。本来は四人いるはずだが、先日零騎士に負けて拘束されたリョウマは現在、法の裁きを受けている。

 教会の中に置かれた木製の長椅子に、彼らは腰掛けていた。といっても、横一列にきちんと並んで座ったわけではなく、てんでばらばら。個人主義者が多そうな雰囲気である。

 

「最初に、役員のリョウマ君の敗北についてだ。なぜ彼を一人で行かせたのかね」

「能力の特性上、彼は敵と一対一の状況で最大のパフォーマンスを発揮できます。本人も一人で戦うのを好むため、増援は送りませんでした」

「その結果、零騎士の方にだけ助っ人が来て、あっさり負けたのでは意味がなかろう」

 

 会長から冷たい目を向けられ、役員たちは慌てて頭を下げた。

 

 

「申し訳ございません!」

「やれやれ。もう少し、協調性を重んじたまえよ」

 

 ため息をつき、会長は「原典の無駄遣いだ」と呟いた。

 

「せっかく外部顧問が原典を持ち込んで下さっているのに、これでは困るよ。……それで? 次はどういう作戦でいくつもりかね」

「次こそは、複数名に任務を遂行させます!」

 

 女性の役員が声高に言った。

 

「数で負けさえしなければ、戦隊など敵ではありません。精鋭部隊で一網打尽に」

「――待て。待ってくれ!」

 

 

 ぜいぜい、と息を荒げて、教会の扉を勢いよく開けた者がいた。

 

「頼む。次の作戦は私に任せてもらいたい。今度こそ必ず、零騎士を倒す!」

「ほう」

 

 会長が面白がるように彼を眺める。

 

「リョウマ君。てっきり君は、BL警察に拘束されたと思っていたのだが」

「脱獄してやりましたよ。このドライバーの力で」

 

 そう言うリョウマの腰には、ヒョウガの技で破壊されたはずのジューサー型ドライバーが巻かれている。さらに、零騎士との戦闘で負ったはずのダメージからも完全に回復していた。

 何より異質なのは、彼の口元に装着された、機械でできたマスクだ。そのせいで、声が少しくぐもって聞こえる。

 

 

「私が使用した原典のキャラクターは、本編で死亡した後、劇場作品にて疑似的な復活を遂げている。過去に亡くなったキャラクターたちを、機械生命体が素晴らしいテクノロジーで完璧に再現し、記憶も引き継いだのさ。その特性を発揮すれば、体の傷も変身用のドライバーも、簡単に復元可能だ」

 

 リョウマが白衣のポケットから取り出した錠前には、レモンではなく別の、赤い果実の模様が描かれていた。レモンのときと同じく虫食いがあるが、これが復活に際しての新たな力というわけなのだろうか。

 

「会長、どうか私にリベンジさせて下さい。次こそは零騎士の息の根を止めてみせます!」

「君の熱意は素晴らしいが、感情に任せて特攻しても玉砕するだけだ」

 

 少し頭を冷やしなさい、と会長は首を振る。

 

 

「そ、そんな……」

「代わりに、別の任務を与えよう。リボンダーマンの討伐だ」

 

 ロリーニンジャーがアメリカのヒーローの一員として活躍していた時期はとうに過ぎ、正体を現したルーカスは百合・BLレンジャーを散々苦しめた末に倒された。彼がヒーローでなくなった今、アメリカの防衛戦力は落ちている。

 ここでかの国を代表するヒーロー、リボンダーマンを完膚なきまでに叩きのめしておけば、日米のヒーローたちの士気は下がること必至。会長はそう読んでいた。

 

「まずはニューヨークで、復活した君の力を試すといい。ヒーローたちを圧倒できたのなら、改めて零騎士討伐の任務を与える」

「……お安い御用です」

 

 眼鏡に白衣の男は、ニヤリと笑った。

 

「ところで、移動手段は?」

 

 

「どうもありがとうございます、外部顧問」

 

 桃色の扉を閉じる前に、リョウマは礼を言うのを忘れなかった。

「おかげさまで、ニューヨークまで一瞬でした」

「……」

 

 返事はなかった。

 バタン、と一人でに扉がしまったことで、二人の会話は強制終了させられた。いや、もしかしたら外部顧問が扉を操作したのかもしれない。

 

「フン。相変わらず不愛想な人だ」

 

 まあ、暴れられるのなら何でもいい。リョウマは懐から赤い錠前を取り出し、側面のボタンを押した。

 

『インセクト・ドラゴンフルーツ!』

 

 

 錠前をドライバーにセットし、レバーを一度引く。虚空から、龍のうろこのように特徴的な果皮のフルーツ型アーマーが落ちてきた。アーマーは頭部に合体すると同時に展開し、赤く頑丈な鎧となる。

 

『ソーダ!』『インセクト・ドラゴンアームズ!』

 

 果汁が飛び散るようなエフェクトが発動したのちに、変身が完了した。リョウマは早速弓矢型の武器を召喚し、ニューヨークの高層ビル群目がけて光の矢を乱射した。

 

「さあ出てこい、リボンダーマン。君が現れない限り、私は破壊を続けるぞ!」

「……やめろ!」

 

 彼の予想通り、ヒーローはすぐに現れた。手首から伸ばしたリボンで振り子のように体を揺らし、リボンダーマンはやってくる。

 地面に降り立った彼は、リョウマと対峙した。

 

 

「君の狙いは僕だね。関係ない人たちを巻き込まないでもらえるかな」

「利用できるものは全て利用する。それが私の戦い方だ」

 

 錠前をドライバーから一旦外し、弓矢に装填。エネルギーを集中させ、リョウマは高威力の光の矢を放った。

 

「おっと、申し遅れたか。私の名はリョウマ。虚無英雄会の会長の命により、君を葬る!」

『ロック・オン!』『インセクト・ドラゴンフルーツ!』

 

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