百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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29 ハットマン・ビギンズ

「『性癖操術』、『縛斂』!」

 

 対するピーターは、圧縮したリボンを矢のように撃ち出す技で迎え撃った。が、破壊力はリョウマの方が上だった。空を舞う龍のごとく荒々しく射出された赤い矢が、リボンダーマンに命中、衝撃で吹き飛ばす。

 

「……なかなかやるね」

 

 だったら、とピーターは立ち上がり、リボンズドライバーを取り出した。

 

『クワガタ!』

 

 リボンの装甲を解除し、スタンプを押印して新たな鎧を纏う。

 

『デリート・アップ! UNKNOWN! UNLEST! UNLIMITED! アメリカン・ファイター! オーバーリボンズ!』

 

 

 久々にオーバーリボンズへの変身を遂げたピーター。クワガタの意匠を持つアーマーのところどころに、リボンによる装飾が施されている。ちょっと可愛い。

 

「悪いけど、虚無英雄会とやらに負けるわけにはいかないんだ。日本にいる僕の仲間も、君たちのせいでずいぶん困っているみたいだからね」

『ミステリー! リボンミックス!』

 

 四大元素、すなわち風、水、火、土のパワーを持った四体の巨人が召喚され、リョウマを取り囲んだ。

 もっとも、これはあくまでドローンが作り出したイリュージョン。電磁パルスによってぶつかったときの衝撃も再現しているが、本当に巨大なクリーチャーを顕現させたわけではない。

 

 それでも見た目のインパクトは凄まじく、破壊力も決して低くない。巨人たちの拳が唸りを上げ、炎や風を帯びたパンチがリョウマへ雨あられと降り注いだ。

 

 

「想定内だ。問題ない」

 

 けれども、彼は小馬鹿にしたように漏らした。高速移動の能力を発動し、巨人の拳をかわしてその背後に回り込む。

 

「こいつらの映像を作っているメインのドローンは……大体、この辺りだったか?」

 

 光の矢を数発、的確に撃ち込む。すると、破損したドローンがいくつか爆発した。映像が大きく乱れ、巨人の姿が現れたり消えたりする。

 

「何だって⁉ それは本当かい?」

 

 なぜか相手が自分の手の内を知っていることに、ピーターは動揺していた。

 

 

(僕のこのリボンミックスは、ルーカスとの最終決戦以外ではまだ一度も使っていない。しかも、あれは超次元界での戦いだったから、普通の人間が「ミステリー」スタンプの詳細を知っているはずがないんだ。……なのになぜ、彼はイリュージョンを見破った? ドローンが幻影を作り出していることを初見で見抜くなんて、不可能だよ)

 

 リョウマ本人があの場に居合わせて、オーバーリボンズの戦闘を観察していた可能性はほとんどない。とすると、他の誰かから情報を流してもらったのだろうか。

 百合・BLレンジャーの一員が虚無英雄会に協力するとは考えられない。おそらく、あの決戦を見ていた超次元生命体が、英雄会をバックアップしているのだ。

 

 

 イリュージョンは効果が薄いと判断し、ピーターは攻撃を切り替えた。映像の投影を止め、機銃掃射を行うようドローンに指示する。

 

「何をしようと無駄だ」

 

 しかし、リョウマはそれすら予測していた。天高く光の矢を放つと、それが空中でドラゴンフルーツ(虫食いあり)型のエネルギー体を形成。フルーツから放射状に無数の矢がばらまかれ、ドローンを次々に爆散させてしまった。

 

「リボンダーマン、及び彼が変身するオーバーリボンズのデータは、外部顧問の協力で揃っている。君の使う技なんて、全て把握済みなんだよ!」

 

 

 もちろん、攻撃パターンを把握しているだけで勝てるわけではない。リョウマが優勢に立っているもう一つの理由は、新造されたドライバーと錠前の高いスペックにある。

 原作において、機械の体で復活したときにキャラクターが使う変身ベルトは、そのキャラ自身が作ったものではない。機械生命体の技術で作られたものだ。変身者が独自にチューンアップしたわけではないため、「インセクト・レモン」のときのように「マスターインセクトシステム」で敵を弱体化させることはできない。

 

 だが、そもそも相手を弱らせる必要がないほど、新しい錠前は素のスペックが高いのだ。高い攻撃力とスピードを誇り、隙がない。

 

 

『オクトパス! トカゲ! 電気ウナギ! リボンミックス!』

 

 ミステリーの効果を解除すると、ピーターは他三種のスタンプを連続で起動した。背中から機械アームとトカゲを模した尾を伸ばし、それらに電撃を纏わせて猛攻を仕掛ける。

 

「僕の手の内を知っているだなんて、やっぱりきな臭いね。バックには超次元生命体が?」

「君は知らなくていいことだ。どうせ、もうすぐ私に屠られるのだからな!」

 

 高速移動で攻撃をかわしつつ、イナゴの群れを召喚してオーバーリボンズにまとわりつかせる。動きを阻害されてもたついた隙を見逃さず、リョウマはベルトのレバーを一度引いた。

 

 

『ソーダ!』『インセクト・ドラゴンフルーツスカッシュ!』

 

 赤いエネルギーを帯びた斬撃を、弓に付いた刃から放つ。胴を薙ぎ払われ、ピーターは数メートルも吹き飛ばされた。斬られたアーマーから白煙が立ち昇っている。

 

「くっ……」

「どうした。そんなものか?」

 

 優勢を意識したリョウマがほくそ笑み、弓矢でオーバーリボンズに狙いを定めた。

 

「君を倒して、私は宿敵との再戦を果たす。悪いが礎になってくれ」

 

 

「――人はなぜ落ちる?」

 

 そのとき、漆黒のスーパーカーが走ってきた。美しい流線形のボディーには、シルクハットの模様が描かれている。

 

「這い上がるためだ!」

 




今回、ご迷惑をおかけした作品
・「バットマン ビギンズ」
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