百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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30 リボンとハットの連係ミス!?

 リョウマが暴れたことで、街は逃げ惑う市民でいっぱいだった。その流れに逆行し、ヒーローの愛車「ハットモービル」は駆けつけた。猛スピードでリョウマに体当たりしようとする。虫食いドラゴンフルーツの戦士は、間一髪で横に跳んで避けた。

 

「大丈夫か、リボンダーマン!」

 

 スーパーカーが急停止し、運転席のドアが開いて、黒ずくめの戦闘用スーツを着た男が降り立つ。黒いマスクからは口元だけが覗き、頭には同色のハットを被っていた。

 ハットマン、物凄く久しぶりの登場である。リボンダーマンとロリーニンジャーが初めて共闘したとき、助太刀に来て以来だ。

 

 

「最近はリボンダーマンばかり出番が増えて、あろうことか変身ベルトまでゲットしている。羨ましかったから、俺にも戦わせてくれ! レアキャラである俺が出てくれば、虚無英雄会も対処に困るかもしれないしな!」

「な、なんかごめんね?」

 

 幸か不幸かロリーニンジャーとそこそこ仲良しなポジションに収まってしまったため、ルーカス絡みでピーターの活躍の機会は多くなったのだった。一応、謝っておく。

 

「……なるほど。確かに、ハットマンの戦闘データはあまり収集できていない。こればかりは私の予想外だ」

 

 マントの埃を払いながら、リョウマは言った。

 

 

「けれど、今まで出番が少なかったということはつまり、強い敵と戦って自分を高める機会に恵まれなかったということだ。そんな君が、私に勝てるとでも?」

 

 原典の能力頼りで戦っている、彼にだけは言われたくない台詞である。

 

「勝てるさ」

 

 はたして、ハットマンは素早くリョウマへ接近し、鋭いパンチを浴びせた。

 

「百合・BLレンジャーが異界からの侵略者と戦っている間、俺は街を脅かすチョーカーと日々戦っていた。強くなる機会は十分にあった!」

 

 膝蹴りや回し蹴りも交えたラッシュを仕掛け、黒ずくめのマッチョマンはリョウマを防戦一方に追い込む。

 

「それに俺は、子供の頃からずっと、強さを求めて生きてきた。お前などには決して負けない!」

 

 

 ハットマンにはトラウマがあった。幼少期に古井戸に落ち、そこに転がっていた大量の帽子に恐怖を覚えた。

 

『人はなぜ落ちる? 這い上がるためだ』

 

 これは、彼が古井戸から救出されたとき、父親からかけられた言葉である。

 以来帽子が苦手になり、両親と観劇に行った際、帽子を被った役者を見て気分が悪くなってしまう。

 両親に連れられて劇場の外に出たところで、強盗に襲われた。父は強盗に命乞いをしたが、結局は母と共に殺されてしまう。少年だったハットマンだけが助かった。

 

 

(俺が帽子を怖がったから、父さんと母さんは死んだ。俺のせいだ)

 

 そう思っていた彼だったが、あるとき、旅先の中国で「シャドー」という武装集団に捕らえられてしまう。シャドーは少年の能力を高く評価し、訓練を施して鍛えたり、仲間に引き入れようと言葉巧みに語りかけたりしてきた。

 どういうわけか、シャドーは少年の過去を知っていた。

 

「お前の両親が死んだのは、お前のせいではない。父親のせいだ。お前の父は敵に命乞いをして、戦おうとしなかった」

 

 シャドーのボスは少年の肩に手を置き、静かに言った。

 

「戦う力を持て。戦わなければ、悪を滅ぼすことはできない」

 

 ボスの指導の下、少年は鍛錬に励んだ。その中で、帽子に対する恐怖をも克服した。

 

 

 何だかんだでシャドーには世話になったのだけれども、少年は彼らの仲間にはならなかった。「犯罪者の命を奪え」と言われ、拒んだのである。

 それがきっかけでボスとも決裂、大乱闘に発展した。激しい戦いの末に勝利した少年はシャドーのアジトから脱出、命からがらアメリカに帰国した。

 アメリカにはいまだに治安の悪い地区が存在し、大勢の犯罪者で溢れていた。少年はハットマンと名乗り、自分の恐怖の象徴である帽子を被って悪と戦う決意をした。

 

「普通の人たちを変えるには、シンボルが必要だ。俺の恐怖を悪にも与える」

 

 こう考えたからである。

 街の犯罪者を束ねる、首にチョーカーを付けた道化師とはそれから犬猿の仲になり、激闘を繰り広げてきた。

 

 

「単純な腕力だけなら、百合・BLレンジャー以上かもしれない」

 

 一瞬だけ発動させた高速移動で、リョウマはハットマンのパンチを回避した。

 

「だが戦いとは、力の強さだけで決まるものではない!」

 

 昆虫性愛のパワーを使い、またしてもイナゴの大群を召喚。ハットマンの全身にまとわりつかせた。怯んだ隙にベルトのレバーを二度引き、必殺技を放つ。

 

『ソーダ!』『インセクト・ドラゴンフルーツスパーキング!』

 

 紅蓮の光を纏った跳び蹴りが、ハットマンの腹部に突き刺さる。呻き声を上げ、彼はピーターの側まで吹っ飛ばされた。

 

 

「お、おのれ~。虫を使って妨害してくるとは、卑怯な奴め!」

 

 よろよろと立ち上がりかけたハットマンだったが、何を思ったか、ピーターの腰に手を伸ばした。リボンズドライバーをカチャカチャやり、ベルト止め部分を外そうと躍起になっている。

 

「こうなったら一か八かだ。リボンダーマン、お前のドライバーを俺に貸してくれ。奴の意表を突くには、他に方法はない!」

「お、落ち着いてくれ。たとえ変身者が違っても使うスタンプが同じなら、使える技の種類は変わらない。リョウマの思うつぼだ」

「どのみち、このままじゃ二人ともやられてしまう。俺に使わせてくれ!」

「ダメだと言ったらダメだ!」

 

 

 二人が揉めているのを眺め、リョウマは嘲笑した。再度、弓矢に錠前をセットして強力な光の矢をつがえる。

 

「こうも馬鹿ばかりだと、ヒーローが滅びるのも当然だな。二人仲良くあの世へ行け!」

『ロック・オン!』『インセクト・ドラゴンフルーツ!』

 

 龍のエフェクトを帯びた赤い矢が、ハットマンとオーバーリボンズに炸裂。矢の破壊エネルギーが大爆発を引き起こし、吹き飛ばされた二人は爆炎をバックに宙を舞った。

 

「ぐわあああああ~っ⁉ 何でこうなるのだ!」

「君が僕のドライバーを取ろうとするからでしょうがあああああ~っ⁉」

 

 

 機械化した体でリベンジを図る、虚無英雄会の役員・リョウマ。

 迎え撃つはリボンダーマン。苦戦する彼の元にハットマンも駆けつけたが、連携不足が原因で絶体絶命のピンチに陥ってしまった。

 戦え、リボンダーマン! 頑張れ、ハットマン! どっちがリボンズドライバーを使ってもいいから、とりあえず目の前の敵を倒してくれ! 

 




(お知らせ)
来月から作者が異動になる関係で、しばらくは執筆時間を確保するのが難しくなりそうです。
大変申し訳ないのですが、2週間ほどお休みをいただきます。10月下旬から投稿を再開する予定です。よろしくお願い致します。
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