百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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37 背負っているものが違う!?

「……あ、スタンプはお菊さんが持ってる方のパクリなんだな。ピーター師匠のクワガタスタンプじゃなくて」

「ええ。一応両方とも試しましたが、こちらの方がしっくりきました」

「早川くん、そんなことは割とどうでもいいわ。さっさと倒してしまいましょう。お菊さんのリボンズとスペックが同じなら、二人がかりでなら何とかなるはずよ!」

 

 言うが早いか、ネトルティ来部は光弾を連射した。けれどもシールは手首から伸ばしたリボンを鞭のように振るい、巧みにその軌道を逸らす。左右に飛んで爆発した光弾を一瞥し、シールはマスクの下で薄笑いを浮かべた。

 

 

「……スペックが同じ? 笑わせないでいただきたい。同じリボンズでも、私が使うとこうなります。複数の原典の影響を受けているオリジナルと違い、よりシンプルに、原作に忠実にね!」

 

 リボンズの腰のホルダーに、三つのスタンプが出現、装填された。それを順番にベルトへ押印し、いきなり三連リボンミックスを発動する。

 

『バッタ! DOMINATE UP!』『スコーピオン! DOMINATE UP!』『アノマロカリス! DOMINATE UP!』

 

 脚部がバッタのそれのように禍々しく変形し、背中からはサソリの尾に、前腕部からはアノマロカリスの体の形状に似た武装が展開された。

 

 

『バッタ! スコーピオン! アノマロカリス! リボンミックス!』

「何⁉」

「この世界は……私たち虚無英雄会のものだ!」

 

 裕介と美明日の銃撃をものともせず、シールは接近戦を挑んできた。バッタの強靭な脚力で、一跳びで間合いを詰める。サソリの尾とアノマロカリス型のクローで容赦ない連続攻撃を繰り出し、二人を圧倒してみせた。

 

「この戦闘力、実に素晴らしい。ゾクゾクしますね!」

『バッタ! スコーピオン! アノマロカリス! リボンズ・レクイエム!』

 

 勢いに乗ったシールは、そのまま必殺技も発動した。さらに威力を増した連撃をお見舞いし、変形した脚部で回し蹴りを浴びせてフィニッシュとする。裕介と美明日は十メートルほども吹き飛ばされた。

 

 

「負けてたまるかよ。――『BANG・解』。『喫茶斬月』!」

 

 オメガ珈琲シルバーはすぐに立ち上がり、歯を食いしばりながら珈琲サイブレードを召喚。「珈珈弾」で牽制しつつ距離を詰め、果敢に斬りかかって行った。

 しかし、リボンミックスで能力を底上げしているリボンズは、裕介の想像以上に厄介だった。適宜スタンプを変えて別の武装に切り替えてくるので、攻撃パターンが全然読めないのである。

 

「こんなのはいかがかな?」

 

 バッタとアノマロカリスの武装を一旦解除したのち、シールが新たな二種のスタンプを押印した。

 

 

『モグラ! DOMINATE UP!』『コンドル! DOMINATE UP!』

 

 背中に装着したコンドルを模した羽で飛翔し、オメガ珈琲シルバーの放った「オメガ天衝」をあっさりかわしてみせる。さらに右腕には、モグラの特徴を備えたドリル型武器を装着。急降下して「リボンズ・レクイエム」を発動し、ドリルの一撃で裕介を弾き飛ばした。

 

「呆気ないものだ。封印能力を使うまでもないな」

 

 とどめだ、とベルトを操作しようとしたシールの前に、美明日が立ちはだかった。白い鴉の羽の形状のスタンプを押印する。

 

「――今度は私が相手よ。あなたに慈悲は与えない!」

『WING! WING! WINNING! ホーリー! ホーリー! ホーリー! ホーリー! ホーリー・来部!』

 

 やたら「ホーリー」を連呼するメタリックホワイトの形態に、彼女は久々に変身した。

 

 

(……何でまた、ホーリー来部に?)

 

 しかし、裕介の頭の中は疑問でいっぱいであった。スペック的にはネトルティ来部の方が高いはずだが、なぜあえてそのフォームにチェンジする気になったのだろう。

 第一、今の彼女では、ホーリー来部に変身することは難しいのではないか。あの姿は、ネトルを倒し、決別できた(と思い込んでいた)時期の、そういう精神状態の美明日だからこそ変身できた。ネトルと融合した状態で、どうやって変身したのだろうか。

 

「愚かな。そんなフォームで、私に勝てるとでも?」

 

 案の定、シールも同じことを考えていたらしい。ドリル武装を振り回し、ホーリー来部へ襲いかかった。

 

 

『ホーリー来部・ジャスティスフィニッシュ!』

 

 だが、戦いは意外な展開を見せた。最小限の動きだけでリボンズを攻撃を避けた美明日が、来部ガンで至近距離からビームを放ったのだ。それを喰らったシールは大きく体を折り曲げ、苦しげに喘ぎながら後ずさる。アーマーからは白煙が立ち昇っていた。

 

「ば、馬鹿な。まさかその姿、私の原典との相性がかなり良いのか⁉」

 

 そりゃそうである。何せ、初登場回で倒した相手がそれなのだから。

 

「雑魚の分際で調子に乗らないでもらおうか。こんなものではないぞ、私の力は!」

『バッタ! スコーピオン! アノマロカリス! リボンミックス!』

 

 

 もう一度三種のリボンミックスを使用し、リボンズがホーリー来部に飛びかかった。しかし、彼女の姿は突如として消え、後には白い羽が舞い散るのみ。

 ビーム技とキック技を両方使えるホーリー来部が相手だったため、シールは「遠距離攻撃封印」と「近距離攻撃封印」のどちらを優先して使うべきか迷った。そして、結論を出すのを保留にして力でゴリ押そうとしたのが、一番の悪手であった。

 ほとんど瞬間移動に近い速さで、ホーリー来部は上空へ舞い上がっていた。ベルトに装填したスタンプの羽部分を開閉し、キック技を放つ。

 

 

『ウインドチャージ!』『フライング・アップ!』

 

 背中の純白の羽を広げ、青い破壊エネルギーを纏った跳び蹴りを、リボンズの胸部へ叩き込んだ。

 

『ホーリー来部・ジャスティスフィナーレ!』

 

 シールの全身が大爆発に呑み込まれる。華麗に着地し、美明日は爆炎をバックに呟く。

 

「もうあなたは……私に勝てない」

 

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