百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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43 リボンだらけ、蜘蛛だらけ

 一通り設定が出尽くしたところで、質問タイムになった。

 

「俺と美明日は特に記憶をいじられてないが、でも原典を使えてるみたいだな」

「美明日ちゃんはほら、ネトルに乗っ取られていた時期に自由に体を使えなかったでしょ? あれで微量の虚無が生じたんじゃないかしら。あなたの方は正直、理由が分からないのよね……元々虚無が多かったとか?」

「うっ」

 

 心当たりがありすぎて、裕介は頭を抱えた。オメガ珈琲シルバーになる前の彼はインフルエンサーの真似ばかりしていて、「自分らしさ」というものが決定的に欠けている青年だったからである。

 

 

「俺の場合はどうですか?」

「ヒョウガくんはブルブラックからそのまま原典を継承してるらしいから、定着するのも早かったんじゃないかしら。二人で体を共有していた期間があるのなら、なおさらね。体を使えなかったときはちょっと虚無っぽかっただろうし」

 

 だんだん説明がざっくりしてきた。この勢いで質問攻めにすればいずれボロが出るのではなかろうかと思われたが、イレギュラー三人組が流れを変えてしまった。

 

「はい! はい! はい! はい!」

 

 やかましく元気よく挙手して、彼女たちは立ち上がった。

 

 

「小難しい設定はどうでもいいのですわ~! そんなことより、そろそろ私たちを百合・BLレンジャーに正式加入させてほしいのですわ~!」

「私たち、今まで何度か勝利に貢献してきましたわ~!」

「今そんなこと話し合ってる場合じゃないでしょ⁉ そもそもあんたたち、何で当たり前のようにここにいるのよ!」

「オーッホッホッホ! オメガ珈琲シルバーと超次元ライダー来部を、レンタカーで送り届けたついでですわ~!」

 

 ツカサにツッコまれても全く怯まず、女王たちは高笑いする。「レンタカーで」というところが絶妙にダサいが、本人たちは気にしていないようだ。むしろ自信満々ですらある。

 

 

「……確かにお前たちには功績がある。が、功績と強さはイコールではない」

 

 ケイイチロウがため息をつき、瞑目した。

 

「お前たちが今までにしたことと言えば、弱さを逆利用して無貌相手に粘ったり、おとり同然の特攻でルーカスの性癖の攻略法を見い出す助けになったりしたことくらいじゃないか。どうしても加入したいと言うのなら、強さを示してみせろ。武功を立ててみせろ」

 

 

『すべてはあの日、卍帝国が洗脳を行った日からきっと、始まっていたデスティニーですわ~!』

『私たちは、逃げたりしませんわ~! 止まることなく、未来を見ましたわ~!』

『魂(こころ)がリンクしてますわ~! 戦いますわ、すべての仲間と!』

『この決意、アンブレイカブルですわ~! 愛する世界に、不正なアクセスは許しませんわ~!』

 

 思えば、あのときから変わらず、やかましい人たちだった。

 当初は人々に強制SMプレイを仕掛ける悪者だったこともあり、正義の味方として戦うには覚悟だけでなく、それ相応の強さも求められるのだろう。

 

 

「そ、それはつまり、私たちがクソ雑魚だと言いたいのかしらですわ~⁉」

「まあ、強くはないですよね」

 

 やんわりと否定するサクヤの台詞が、優しいようで厳しい。女王たちはたちまち落ち込んでしまった。

 

「ええと、それじゃ――」

 

 落ち込んでテンション低めになった三人を横目に、ツカサが仕切り直そうとする。しかしそのとき、建物中に警報が鳴り響いた。

 

『BL警察本部に侵入者あり。百合・BLレンジャーは出動願います』

「本題に入る前に会議終わっちゃったし⁉」

 

 

 本部の正面入口を今まさに突破しようとしているのは、黒づくめの男たち。そして彼らを率いているのは、上半身裸に赤いジャケットを羽織っている男。

 

「てめえら、虚無英雄会か!」

 

 駆けつけたカイリたちが、門を挟んで敵と向かい合う。

 

「いかにも……と言いたいところだが、正確には俺は英雄会に所属していない。外部顧問に招かれた客人だ」

「いずれにせよ、あたしたちの敵ってこと?」

 

 身構えたツカサを一瞥し、男は「ま、そういうことだな」と笑った。ジャケットの内側から変身用のドライバーを取り出し、腰に巻き付ける。

 

 

「そのベルト、どこかで見たような……?」

「察しが良いな、レジスタンスのお菊。こいつは超次元生命体ブラッコが使ったもののレプリカだ。だがそのままでは使えない。ノン・プリシャスが模倣したリボンズドライバーのテクノロジー、あれをこいつに移植してようやく変身可能になったのさ」

 

 どうしてブラッコのベルトを複製できたのか、彼はそこまでは語らなかった。だが、お菊らも感づいている。やはり、虚無英雄会を陰で支えているのは超次元生命体だと。

今までは後方支援に徹していたけれども、いよいよ前線に出てきたようだ。

 

「おっと、自己紹介がまだだった。俺はブラッコとは遠い親戚でな。奴の仇は討たせてもらうぜ?」

『キルバス・リボンダー!』

 

 

 赤い蜘蛛型のロボットを召喚し、ベルトに装填。同時に、黒づくめの男たちも短剣型武器「リボンスレイヤー」に専用のキーを差し込んだ。

 

「……変身!」

『リボンダー! リボンダー! キルバス・リボンダー!』

 

 赤と黒をメインカラーとした、蜘蛛の意匠を持つ戦士に男は変わった。

 

『Guys Go!』

「緊縛武装」

『リボンダークモノス~!』

 

 彼に率いられた構成員らは、同じく蜘蛛の意匠の白い戦士になった。

 

「さあ、百合・BLレンジャーを狩るかァ! この星も、そして宇宙も! 全て破壊してやる!」

 

 

 楽しそうに吠える男を見て、ケイイチロウはゴークイーンズの三人へ振り返った。

 

「よし、決めた。あの超次元生命体をお前たち三人の力だけで倒すことができれば、正式加入を認めよう」

「やったですわ~!」

「どんとこいですわ~!」

 

 一番めんどくさそうな敵の相手を任せられたにもかかわらず、彼女たちは嬉しそうにはしゃいだ。「レッツ、モーフィン!」の掛け声で、ほぼ真っ黒なSMプレイ風衣装に変身する。

 キルバスリボンダーとやらへ勇ましく向かっていく後ろ姿を見送り、ケイイチロウは素早く指示を出した。

 

 

「……量産型っぽい奴らは俺たちで片付ける。もしゴークイーンズが本当にヤバそうだったら、すぐフォローを入れるぞ」

 

 そして、並び立って変身した。

 

「警察チェンジ!」

「怪盗チェンジ!」

「『BLファイヤー』!」

「インストール! 『オメガ珈琲シルバー』!」

『パーフェクト・アップ! 超次元ライダー・ネトルティ来部!』

『DEEP! DROP! DANGER! アメリカン・ファイター! リボンズ!』

「騎士転生!」

 

 各々の武器を構え、一斉にリボンダークモノスの軍団へ飛びかかって行く。

 

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