「少し見た目が変わった程度で、俺に勝てると思うなァ!」
雄叫びを上げ、男は再びベルトを操作した。
『キルバス・リボンダーフィニッシュ!』
蜘蛛の脚型のリボンが唸り、フードコートの床を連打しながらこちらに近づいてくる。対してデリシャスパーティ・ゴークイーンズは、それぞれの技で迎え撃った。
「させませんわ~!」
メロンパン型のバリアを展開したブルー・クイーンが前に出て、リボンによる打撃をガードする。レッドは右へ、イエローは左へ跳び、反撃を開始した。
「『イエロー・バリカッターブレイズ』!」
ラーメンの麺のような形状の細い刃を無数に生成し、イエローが連続で発射する。蜘蛛の戦士は避け切れず、軽く吹き飛ばされた。
「『ブルー・ヘビーサンドプレス』!」
攻撃が止まったのを機に、ブルーはバリアを解除。続いて技を放った。
食パンを二枚重ねにした形のエネルギー体を左右に一つずつ生成し、男を両サイドから挟み込む。イエローの攻撃のダメージからようやく立ち直ったところでプレスされ、蜘蛛の戦士は身動きが取れなくなってしまった。
「……ま、まだだァ! 俺の性癖『破滅願望』は、自分が破滅的な状況に置かれれば置かれるほど、必殺技の攻撃範囲が広がる。こんな拘束技なんてすぐに破って、性癖のパワーで東京を、いや日本全土を焼け野原にしてやるゥ!」
「させないと言っていますわ~! 『レッド・500キロカロリーパンチ』!」
敵の眼前にまで接近していたレッド・クイーンが、右腕に「500」の数字を纏って強烈なパンチをお見舞いした。拳が腹部にめり込み、男が悲鳴を上げる。
「可愛い衣装を着ている割には、思いっ切りパワー型だったァ⁉」
「むう、しぶといですわね。もう一発差し上げますわ~! 『レッド・1000キロカロリーパンチ』!」
「無慈悲だァ~っ⁉」
今度は「1000」の数字を腕に纏い、先ほどの倍の威力のパンチを炸裂させる。超次元生命体はショッピングモールの外にまで吹っ飛ばされた後、派手に爆発四散した。
「「「ごちそうさまでしたわ!!!」」」
目を閉じて両手を合わせ、三人は変身を解いた。遠くで立ち昇っている爆炎を眺め、レッド・クイーンが独り言ちる。
「破滅願望というのも厄介そうな性癖でしたけれど、どっかの誰かさんの他殺願望に比べたらちょちょいのちょいですわ~!」
ブルーとイエローも喜んでいる。
「私たちにもついに、強化フォームっぽいのが来ましたわ~! 百合ブラックやBLホワイトと同じ系統の強化で嬉しいですわ~!」
「これで戦隊への正式加入も認めてもらえますわ~! とか何とかはしゃいでいたら、また腹ペコりましたわ~!」
『ダンシング・リボン!』
キーを回して必殺技を発動したリボンダークモノスたちが、一斉攻撃を仕掛けてきた。リボンを手首から糸のように飛ばしながら、踊るように華麗な斬撃を繰り出してくる。
「スペリオル・受け攻めショット!」
「エクセレント・ネコタチエックス!」
「BL・一撃ストライク!」
「百合・イタダキストライク!」
百合・BLレンジャーの面々は咄嗟に後方へジャンプし、中距離からの光線技でカウンターを決めた。白い蜘蛛の戦士が続々と変身解除されていく。
「『BLディフェンダー・ファイナルモード』!」
「『珈珈弾』!」
『ネトルティ・パーフェクトフィニッシュ!』
ナオヤが敵を凍結させ、オメガ珈琲シルバーと美明日が距離を取ってからの光弾やビームで粉砕していく。
『電気ウナギ! リボンミックス!』
「『零の撃弾』!」
リボンズは手のひらから稲妻を、零騎士はショットガンモードにしたゼロライアットの銃口から、黒い稲光を纏った弾丸を放つ。二人が残る数体を無力化し、無事にリボンダークモノスを倒した。
「……結局何だったんだろうな、こいつら。量産型みたいだけど、これだけの戦力で俺たち全員に挑んで勝てるって本気で思ってたのか?」
百合エックスへの変身を解いたカイリが、腑に落ちないといった風にこぼす。確かに敵の数は多かったが、武器が短剣のみで、中距離からの攻撃にめっぽう弱いのが弱点だった。
「あるいは、単なる性能テストだったのか」
ナオヤが思案げに言った。
「もし本当に俺たちを潰す気なら、幹部クラスを何人か出してくるはずだ。裕介たちを足止めするために、ノン・プリシャスとシールの二人を投入してくるような連中だからな」
「英雄会の野郎、舐めやがって……」
「「「お~~~い!!!」」」
一同の不安そうな表情が消え、声のした方へ顔を向ける。見れば、ゴークイーンズの三人が夕日を背に駆けてくるところだった。
「勝ちましたわ~!」
「私たち、すごく手強かった超次元生命体をあっさりと片付けてしまいましたわ~!」
「ですから、百合・BLレンジャーへの加入を認めてほしいのですわ~!」
レッド・クイーンの手には、あの超次元生命体がベルトに装填していた蜘蛛型ロボットの破片が握られている。多少話を盛っている可能性はあるが、嘘をついているわけではなさそうだった。
「……まさか、本当に倒してしまうとは。一体どんな手を使ったんだ?」
半ば呆れたように、ケイイチロウが呟いた。
「まあ約束は約束ですし、加入させてあげてもいいんじゃないですか?」とサクヤ。
「敵が量産兵を出してきた以上、こちらも戦力は多い方が良い」とトウマも賛成し、最終的にケイイチロウは渋々といった感じで頷いた。
「分かった。加入を認めよう!」
その頃、虚無英雄会はいつもの教会内に集まっていた。今回の戦闘の様子を撮影した映像をパソコンで閲覧し、会長が漏らす。
「……次は、銃型の武器も持たせないといけなさそうだね」
かくして、ゴークイーンズの三人は新たな力を獲得し、ツカサたちの力を借りずに英雄会の刺客を打ち破った。
しかし、戦いはまだクライマックスに到達していない。量産兵リボンダークモノスを得た虚無英雄会は、次にどのような戦力を送り込んでくるのだろうか? そして、お菊が言っていた「英雄会メンバーが自由に原典を使えている理由」は何かあるのだろうか?
戦え、デリシャスパーティ・ゴークイーンズ! 頑張れ、プレシャス&スパイシー&ヤムヤム! 戦いの後は、美味しいご飯で笑顔になるんだ!
※次回の更新は1週間後の予定です。