百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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46 ダレン助太刀&カオスな服選び

「ここが人間界か」

 

 ゲートを閉じ、ダレンは都会の雑踏の中に降り立った。すぐにお菊の姿を認め、近づく。

 

「久しぶり……でもないか。百合・BLレンジャーはどこだ?」

「案内するわ」

 

 やけに周囲の人々から視線を感じるな、と思いつつ、二人はBL警察本部へと急いだ。

 

 

「でも、大丈夫だったの? 私だけじゃなくあなたも超次元界を離れるとなると、レジスタンスの戦力は大幅ダウンよ。もし何かあったとき、対応できるかしら」

「心配ない。BLACON・SUNに留守を任せてきた。奴はブラッコに敗れた屈辱を晴らすべく、使命感に燃えている」

「大丈夫……よね?」

 

 ちょっと不安だった。

 

 

「虚無英雄会が手強いと聞いて、助けに来た」

 

 片手を挙げて挨拶したダレンを、一同は口々に「よく来てくれた!」「ありがたい!」と歓迎した。何せ彼は、ルーカスを一度は追い詰めた男。無貌支持派の元第二位だ。現在の超次元界でも指折りの強者である。心強いことこの上なかった。

 

「ところで、ここに来る途中、人間たちから好奇の目を向けられたのだが」

 

 そう言ってダレンはフードを目深に被り直し、悲しそうな顔をした。

 

「やはり私の顔の傷は、人目につくのだろうか。隠密行動に支障が出かねない」

「いや、傷の問題というより……服じゃない?」

 

 

 彼が纏っているフード付きローブを指差すツカサ。確かに、現代日本でこんな格好をしている人はほとんど見かけない。見かけたとしても渋谷ハロウィンくらいだろう。

 

「そうよ、ダレン。もっとTPOを考えてコーディネートしないと。目立ちすぎてはいけないわ」

「お菊さんもお菊さんだけどね⁉ 夏祭りのシーズンとっくに終わってるから!!」

 

 初登場からずっと和服姿のお菊に、ツカサがツッコんだ。そして、何やら考える素振りを見せた。

 

「……ねえ、二人とも。しばらく人間界に滞在するつもりなら、もう少しこっちの文化に馴染んでおいた方が何かと都合が良いと思うわ。服、買いに行かない?」

「ぜひ行きたいですわ~!」

「私たちが服を選んで差し上げますわ~!」

「何であんたたちは毎度毎度、呼んでないのに出てくるのよ⁉」

 

 

 話を聞いていたらしいゴークイーンズの三人が柱の陰から現れたので、ツカサは必死に止めた。彼女たちの私服は信号機みたくどぎつい色なので、ファッションセンスは皆無である。あんなのを連れて行けば、お菊とダレンの人間界デビューは失敗に終わること必然だ。

 

「おっ。服を買いに行くなら、おすすめの店があるぜ!」

「言っておくけど、ハードオンに服は売ってないわよ」

 

 牽制したにもかかわらず、カイリは自信満々に語り始めた。

 

「確かにハードオンにはないだろうな。だが、『オンハウス』なら古着や家具、家電がお買い得なんだぜ! あと、アプリでポイントも貯まる!」

「古着ねえ……」

 

 カイリの影響でたまに買いに行くようにはなったが、ツカサは最初、少し古着に抵抗があった。ファッション初心者に勧めて良いものだろうか。

 

 

 この間、バラエティー番組に出演していた芸能人が言っていたっけ。

 

『古着屋で買い物するのがマイブームなんです。新品の服だけを買うよりも、買う服の選択肢がぐっと広がる気がします。掘り出し物を見つけたときの達成感は、新品を買うときにはあまり味わえないものですよ』

 

 初心者に膨大な選択肢を見せつけるのは良くないわ、とツカサは結論付けた。やっぱりファッション初心者には新品、それも高すぎないものを勧めるべきだろう。

 

「無難にウニクロで良いんじゃない? 安くて高品質なものがたくさん置いてあるわよ」

「でも、ウニクロで安い新品を買うよりは、オンハウスで本来は超高いけど激安になってる中古品を買う方がお得感あるよな。値段がほぼ同じなら、俺はお得な方を買いたいぜ」

「いい、カイリ? お菊は前にも何度かこっちに来てるけど、ダレンは初めてなのよ。そんな相手に中古屋さんの膨大な品揃えを見せても、何が何だか分からないに決まってるわ」

 

 

 カイリとムーヴォと三人でハードオンに出かける中で、いわゆるジャンクコーナーも何度か見てみた。が、あそこは商品知識のない人間にとっては魔境と同じなのである。特に説明が書かれていない商品が、箱いっぱいに詰め込まれて割と雑に売られていることもざらだ。初心者が見ても、どれを買ったら良いのか全然分からない。

 たまに転売ヤーらしき方々が来て「このジャンクはオークションサイトで三倍の値段で売れるでござるwww」「店員の値段の付け方適当でワロタ」とか話し合っていたように、ある程度の知識がないと、売り場を見てもお得感を味わえない。ツカサは味わえなかった。

 

 

「分かった。なら折衷案として、オンハウスのすぐ隣にウニクロがあるところに行こうぜ!」

「えっ、そんな良い店があるなら先に言いなさいよ! ちなみにどこなの?」

「長野」

「遠いわ!!!」

「実はさ、だいぶ前に長野へ小旅行に行ったとき、気になってたけど行く時間なかったんだよなー。善光寺から車でちょっと移動したら着くはずだぜ。マシン使えばすぐだろ、すぐ」

「しょうもない用事に巨大マシン使わないでほしいんだけど⁉」

 

 もはやダレンたちが置いてけぼりになる勢いで「ウニクロかオンハウスか」論争がヒートアップしていたそのとき、建物内に警報が響いた。続いてアナウンス。

 

 

『渋谷区に虚無英雄会が現れました。ファッションビルを破壊して回っているようです。百合・BLレンジャーは至急出動願います』

「……決めたぜ」

 

 無駄にキメ顔になって、カイリは言った。

 

「俺が虚無英雄会の野郎に決定打を与えたら、オンハウスに行ってもらう!」

「勝手にしなさい!! 行くわよ!」

 

 呆れた様子のツカサがケイイチロウたちを呼びに行き、戦士たちはヘリコプター等、百合レンジャー所有の巨大戦闘機に乗り込んで出撃した。

 

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