百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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48 美しい終焉!

 一瞬、女王たちが真顔になった。鞭を召喚する以外にこれといった性癖の力を持たないこいつらにだけは言われたくない気もするが、かなりシンプルな能力だ。

 第一、第二と分けて説明していたが、くすぐると楽しいのは能力というより、ただの個人の感想である。要するに、ワラカスフンドの性癖は「マジックハンドを召喚する」だけだった。

 

「――『野牛零断』!」

 

 遠くでは、ゼロタウラスが薔薇ソーサーに回転斬りを浴びせて爆発四散させている。

 くすぐりフェチ自体は脅威ではないものの、原典の力で怪人を量産されると面倒だ。早期決着を狙うべく、ツカサたちはワラカスフンドを包囲して必殺技を放った。

 

 

「『ストライク・アウト』!」

「『百合拳・ソニックハンマー』!」

「『BL・ベガスラッシュ』!」

 

 強力な光弾を命中させた直後、カイリとナオヤによる近接技もクリーンヒット。パンチと斬撃を受け、ワラカスフンドの巨体がよろめいた。

 

「……お、おのれ、百合・BLレンジャー。こうなったら、吾輩自身をくすぐって巨大化してやる! こちょこちょ、あ、それ、こちょこちょ!」

 

 

 マジックハンドを自分に向け、瞬く間に機械怪人が巨大化した。薔薇ソーサーを倒したゼロタウラスへ杖を叩きつけ、「吾輩のマシンを壊すことは許さん!」と防戦一方に追い込んでいる。

 ちなみに、何でくすぐると巨大化できたのかは不明である。性癖の能力ではないはずなので、原作の巨大化するシーンを再現するためのトリガーとしてくすぐりを使ったのだろうか。

 

 

「巨大戦ならこっちも負けないぜ。何せ俺たちには、出番に恵まれなさすぎて格納庫内でひたすら改良され続けていたロボがあるからな!」

 

 戦闘機に続き、パトカー型の三台の巨大マシンを到着した。さらに恐竜型メカ、バイソンとサイをモチーフにしたマシンも駆けつける。

 

「勝利を奪い取ろうぜ! 完成、百合カイザー!」

「正義を掴み取ろうぜ! 完成、BLカイザー!」

「ボイスフォーメーション、『BLレックスロボ』!」

『行くぞ! 合体! ボクサー・ディメンション! 来部ボクサーだ~!』

 

 

 それぞれに乗り込んで合体・変形プロセスを終え、四体の巨大ロボが都心に降臨した。うち一体はコクピット内で歌が流れていたが、気にせずに戦闘へ突入する。

 初期の百合カイザーやBLカイザーは、東京卍帝国幹部が操る卍キングとほぼ互角の性能だった。つまり、高次元生命体の手先とかろうじてやり合えるレベルの強さである。無改造ではきっとパワーインフレに置いていかれていたろう。

 けれども、良くも悪くもバージョンアップの機会に恵まれた巨大ロボは、虚無英雄会の役員が相手でも一歩も引かなかった。トリガーキャノンやガトリング砲をぶっ放し、着実にダメージを与えていく。

 

 

「『BLリボルバーミサイル』!」

『パンチだ フックだ 来部 来部 ボクサー! 打たれても 心が壊れても』『ピストンパンチだ 来部 来部 ボクサー! 前に出なけりゃ 勝利はないのさ』

 

 BLレックスロボも、右腕に装備された六連装ミサイルを発射した。猛攻を受けてふらついたところに来部ボクサーが迫り、ピストンパンチをお見舞いする。相変わらず操縦席は賑やかだ。

 

「こ、これほどとは……!」

 

 超次元界に突入している間はほぼ出番ゼロだったロボットたちが、水を得た魚のように大活躍を見せる。ワラカスフンドの強靭なボディーもさすがに耐え切れず、杖で防御するので精一杯だった。

 なお、専用ロボを持たないお菊、ダレン、ゴークイーンズと、ロボを遠隔操縦するナオヤは地上に残っている。女王たちは「頑張れですわ~!」と応援していた。

 

 

 当然、機械の体を持つロボットが相手では、くすぐり攻撃をしても意味がない。

 どんどん追い詰められていくワラカスフンドを、渋谷の街から見上げている者が一人いた。片眼鏡をかけ、紳士然とした初老の男だ。髪の毛には白いものが混じっている。

 

「武闘派気取りの役員さえも、このざまとは。いよいよ、私が出陣しないわけにはいかなくなったな」

 

 刹那、男性の全身が紫色の光に包まれ、黄色く発光する頭部と暗色のボディーを持った、人型の巨大怪獣へと変身した。

 ピンチのワラカスフンドを庇うかのように、彼の前に突如出現する。

 

 

「誰だ、てめえは?」

 

 来部ボクサーのコクピットから、裕介が怪訝そうに尋ねる。

 

「……初めまして、百合・BLレンジャーの諸君。私は虚無英雄会会長、『グリイザ』だ。これより君たちを殲滅する」

 

 人型の怪獣はそう言い、来部ボクサーへ殴りかかった。ロボが大きく揺れる。

 

「やってくれたな。『ミラクル・ツインブロ―』!」

 

 裕介と美明日が同時にレバーを操作し、ボクサーが必殺技を発動した。赤い光と超高熱を帯びた拳で、強烈な連続パンチを放つ。

 

「――無駄だよ」

 

 

 しかし、グリイザには効かなかった。というか、当たらなかった。不規則にゆらゆら揺れるボディーはまるで存在自体が曖昧なようで、何度パンチしても一発もヒットさせることができない。

 

「私が今使用している原典は、原作では『無』そのものを無理やり実体化させたものでね。この形態でダメージを受けたシーンは一切ない。私はそれを、自分自身の持つ莫大な虚無によって使いこなすことに成功した」

 

 怪獣の頭部から撃ち出された螺旋状のビームが、来部ボクサーの胸部を抉る。ロボの心臓部を破壊され、ボクサーは崩れ落ちてしまった。

 

「君たちがいくら攻撃したところで、私に攻撃をまともに当てることも、ダメージを与えることもできないよ。一方的に蹂躙されるだけだ。そろそろ諦めてはくれないかね?」

「……諦められるわけがないだろう!」

 

 

 ナオヤが指示を出し、BLレックスロボが「マックスBLブリザード」を発動した。恐竜型ロボの両肩かた放たれる低温レーザーが、グリイザとその周囲を凍結させる。

 

「無駄だと言っているのが分からないのかね?」

 

 だが、虚無怪獣は厚い氷の層をすり抜けて難なく脱出してしまう。カウンターとばかりに渦巻き状の光線を射出し、BLレックスロボを薙ぎ払った。

 

「君たちの攻撃は私に一切効かず、私の攻撃は一度命中しただけで君たちのロボットを戦闘不能に追い込める。この状況が理解できないほど愚かだとは、哀れなものだな」

「……クソッ。『百合カイザー・連射倒れちまえショット』!」

「『BLカイザー・弾丸ストライク』!」

 

 

 なおもエネルギー弾を放って粘ろうとする二大ロボだったが、やはり当たらず、グリイザの体を弾がすり抜けてしまう。来部ボクサー、BLレックスロボ同様にビームで反撃され、なすすべもなく倒れた。ゼロタウラスもそれに巻き込まれ、爆発に呑まれる。

 

「うわあああ~っ⁉」

 

 あまりの衝撃で合体が強制解除され、操縦席から投げ出されるツカサたち。地面への落下の衝撃で、変身も解かれてしまう。

 

「皆、大丈夫⁉」

「しっかりするのですわ~!」

 

 慌ててお菊たちが駆け寄り、介抱した。

 




今回、ご迷惑をおかけした作品
・ウルトラマンX(エックス)
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