百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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56 激突!戦隊vs英雄会

「来たか、百合・BLレンジャー」

 

 シールをはじめ、黒ずくめの構成員たちを引き連れたグリイザはこちらを見据えた。

 虚無英雄会が送ってきた挑戦状を受け、ツカサたちは東京のいわゆる湾岸エリアへ呼び出されていた。早朝、陽が昇ってすぐということもあり、人通りはない。建物も近くにはあまり見当たらないようだ。

 

「ここなら周辺に被害は出ない。思う存分戦えるというものだ。……もっとも、いずれ人類は我々が滅ぼすのだがね。決着をつけようじゃないか、戦隊諸君」

 

 やれ、とグリイザが手で合図する。彼を守るように、シールたちが前に出た。双方、アイテムを構えて一斉に変身。光に包まれてアーマーを纏った。

 そして戦隊側は一人ずつ、ポーズとともに名乗りを上げていく。

 

 

「孤高に煌めく怪盗。百合エックス!」

「百合ブルー!」

「百合イエロー!」

「気高く輝く警察官。BLエックス!」

「BL1号!」

「BL2号!」

「二十世紀が泣いている。BLファイヤー!」

 

 

「才を磨いて、己の個性を見つけ出す。アメイジング・オリジナリティー! オメガ珈琲シルバー!」

「あなたには聞こえないのかしら? 激しい風の囁きが。超次元ライダー・ネトルティ来部!」

 

「銀河を貫く伝説の零。零騎士、ヒョウガ!」

 

「熱々ご飯で、みなぎるパワー! レッドクイーン・プレシャス! 美味しい笑顔で、満たしてあげますわ~!」

「ふわふわサンドで、心にスパイス! ブルークイーン・スパイシー! 分け合う美味しさ、焼きつけますわ~!」

「きらめくヌードル・エモーション! イエロークイーン・ヤムヤム! 美味しいの一人占め、許しませんわ~!」

 

「……」

「……」

「いや何か言えよ⁉」

 

 お菊とダレンだけ無言だったので、カイリが促した。ゴークイーンズの長い名乗りの後だと、余計に浮く。

 

 

「しょ、しょうがないでしょ! 私が皆と一緒に名乗ったのは、VS・スワットモードで全員の名乗りが普段と違う感じだったときだけなわけで。通常時の名乗りはまだ考えてないわよ!」

「私に関しては、名乗ったことなど一度もない」

 

 二人が自己弁護を始めたのを見て、英雄会のメンバーらは笑い出した。

 

「クックック。名乗りもまともにできないなど、滑稽だな!」

 

 自分では名乗ろうとさえしていないシールが、ダレンを指さして言う。

 

「君のことは前回、仕留めそこなったからな。今日こそは私が引導を渡してやる!」

「――待ちなさい!」

 

 

 クリムゾンシールへと変身した彼が、ナックル型武器を振り上げてダレンマジェスティ目がけて突進した。そのパンチを剣で弾いたのは、ネトルティ来部であった。

「あなたの相手は私よ、シール」

 

「何っ?」

 

 マスクの下で、シールが怪訝そうな顔をする。

 

「初めてノン・プリシャスやシールと戦ったときに私が無力化できていれば、クリムゾンにパワーアップされて、ここまで決着が引き伸ばされることもなかった。私がケリをつけるわ!」

 

 凛として言い放ち、美明日はNTRブレードを握る手に力を込めた。

 

 

「責任感の強い女は嫌いではない。だが……」

 

 一旦後方へ跳び退くと、シールが再び殴りかかる。

 

「超次元生命体と同化してその程度の力しか発揮できないようでは、私には勝てません。一人で突っ走って、惨めに玉砕するのが関の山だ!」

「私はもう、一人じゃない。ネトルと決別したつもりになって、一人で強がっていた頃の私はもういない。……行くわよ、シール!」

「俺も加勢するぜ、美明日!」

 

 ネトルティ来部とオメガ珈琲シルバーがともに「BANG・解」し、シールへ果敢に斬りかかっていく。「名乗らなかったおわびに」と、お菊もついでに二人の援護に回った。

 

 

「……彼らの相手は、あなたたちに任せたわよ」

 

 超次元界で、BLACON・SUNが予定通りゲートを開いてくれたらしい。桃色の門が空中に開き、そこからリボンズトルーパーの軍団がなだれ込んできた。リボンダークモノス軍団と正面から激突し、戦い始める。

 英雄会がリボンダークモノスの大群を用意してきた場合に備えて、お菊はあらかじめレジスタンスに連絡していたのだった――「私が通信機で短い信号を送ったら、すぐに援軍を寄越してほしい」と。

 

 

 さて、そんなわけで、シールの相手は美明日と裕介が、リボンダークモノスはリボンズトルーパーが引き受けた。残りのメンバーは、総力を挙げてグリイザを相手取れる格好になる。

 

「巨大化するっていうなら、してみろよ。俺たちは一歩も引かねえ!」

 

 カイリにエックスチューナーの銃口を向けられ、英雄会会長は微笑んだ。

 

「今回は巨大化するつもりはない。かといって、戦わないつもりもないがね」

「……?」

 

 謎かけのようなことを言われて、一同は困惑する。

 しかし、巨大化しないという彼の方針は腑に落ちる気がした。わざわざ人通りの少ない場所に呼び出しても、結局巨大化して暴れて人目を集めてしまってはあまり意味がないからだ。

 

 

「ここに来る前、私はシールの力で『巨大化』を封印した。したがって、今だけは人間サイズの戦闘が可能となるのさ」

 

 初老の男性の全身が光に覆われ、黄色く発光する頭部と暗色のボディーの虚無怪獣へと変身する。

 前回のように身長五十メートルというわけではなく、二メートルもあるかどうか怪しい。が、大きさが控えめだからといってパワーも控えめになったわけではない。オリジナルの戦闘力と能力をそのまま引き継いでいる。

 

「私に莫大な虚無がある限り、戦隊諸君の攻撃は絶対に私に当たらない。君たちに勝ち目はないのだ!」

 

 グリイザの頭部が一際明るく輝き、螺旋状のビームを発射した。

 

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