百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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58 SEALの証

 これまでにも、来部とネトルが一時的に分離して共闘したことはあった。しかし、あくまで一時しのぎであり、「分離して敵の攻撃を避けたついでにカウンターを決めておく」程度の扱い。基本的にはネトルティ来部で戦った方が強い。

 今回は、分離した来部とネトルそれぞれがパワーアップした形態である。デザインが大きく変わったわけではないが、基本フォームのカラーリングがピンクや紫といった派手なものに変更されていた。

 

 

『GET OVER NOW! GET OVER PAIN! GET OVER MIND!』『JUMP UP! アメリカン・ファイター! ゲットオーバーリボンズ!』

 

 一方のピーターは、ギラファノコギリクワガタの意匠のアーマーを装着した。オーバーリボンズの銅色と銀色の部分が反転し、オレンジに近い銅色が全面に出ている。クワガタの角に相当する部分が大きくなって、単純に強そうに見えた。

 なお、変身時に「ジュワッ!」と謎の叫び声を発して大ジャンプし、着地したときに無駄に土埃が舞い上がったことには誰も何も触れなかった。おそらくは原典の影響だろう。色々混ざっているような気がするけども。

 

 

「さあ、白黒はっきりさせるわよ!」

「覚悟、決めるとしようか!」

 

 息の合った連携を見せ、来部マーベラス、ネトルマーベラス、ゲットオーバーリボンズがクリムゾンシールへ攻撃を仕掛けた。

 ドライバーが変わった影響か、来部ガンやNTRブレードよりやや大型の銃と剣を使って、二人がダメージを与えていく。ピーターはこれといって武器は使わないが、時々なぜか腕から光線や光輪を出すなどしていた。

 

 

「ぐああっ⁉」 

 

 変身能力封印後のインターバルはやはり長く、シールはこれ以上三人の動きを制限できない。ナックルで迎え撃つもパワーで押し負け、じりじりと追い詰められていった。

 

『マーベラス・来部&ネトルフィニッシュ!』

 

 ベルトを操作し、美明日とネトルが必殺技を発動。二人で拳と拳を合わせた後、赤い破壊エネルギーを帯びたパンチを浴びせた。

 

「『レッキング・オーバーバースト』!」

 

 続いて、ピーター。

 ゲットオーバーリボンズの複眼が青く輝き、両手には赤黒い稲妻がまとわりつく。雄叫びを上げながら両手を広げ、腰を低く落としてから腕をクロス。青い光線を発射した。胸部に直撃を喰らったクリムゾンシールが、大きく吹き飛ぶ。

 

 

「……こんなところで終わってたまるものか。戦隊の力を回収し、我々虚無英雄会が人類を滅ぼすのだ!」

『クリムゾンフィニッシュ!』

 

 ナックルを足に押し当て、白い仮面の男は吠えた。どうにか立ち上がると、紅蓮の光を纏った足で駆け、回し蹴りを放ってくる。

 

「生憎だけど、終わるのはあなたよ。慈悲は与えない!」

「喰らいなさい。脳が痺れるわよ。激辛カレーを食べたときみたいにね!」

『マーベラス・来部&ネトルフィニッシュ!』

 

 

 先刻と同じ名前の必殺技を使った、美明日とネトル。ただし、名前が同じだからといって技の内容も同じとは限らないのが昨今のヒーロー事情。今度はキック技だった。高く跳び、赤黒いエネルギーを爆裂させてライダーキックを叩き込む。

 

「封印能力さえ使われなければ、君は百合・BLレンジャーの敵じゃない!」

『リボンズ・フィニッシュ!』

 

 ゲットオーバーリボンズもジャンプし、ギラファノコギリクワガタの顎型のエネルギーを帯びた跳び蹴りを繰り出した。トリプルライダーキックが炸裂し、三人の戦士が着地を決めた刹那、シールは大爆発に包まれた。

 

 

「くっ……」

 

 変身解除された彼は、白い仮面をも砕かれていた。右半分に火傷の痕が残る顔を晒し、無様に倒れ込む。肩で息をしながら、男は言った。

 

「私を倒したところで、勝ったと思うな。君たちでは会長には勝てない」

「勝つさ」

 

 そう言って、裕介は懐から厚い封筒を取り出した。

 

「ほら。やるよ」

「何のつもりだ」

 

 怪しみながらも受け取ったシールは、中を見て目を見開いた。万札の束がぎっしり入っていたからだ。

 

 

「社長に前借りしてきた俺の一か月分の給料プラス、なけなしの貯金。お前を無力化したら、渡しておこうと思ってたんだ。それで足りるかどうか分かんねえけど、罪を償ったら整形手術でも何でも受けてくれよな。容姿で差別されず、お前が人を憎まずに生きられることを祈ってるよ」

 

 かっこよく立ち去ろうとした裕介だったが、変身を解いた美明日に小突かれてしまった。

 

「ちょっと、早川くん。これじゃ来月からの生活が大変じゃない」

「……まあ、何とかなるだろ」

「仕方ないわね。しばらくは私が養ってあげるわ」

 

 感動が台無しである。やれやれと肩をすくめ、ピーターとお菊も後に続いた。

 

「――感謝する」

 

 一同の背中を見送る仮面の男は、目に涙を浮かべていた――お菊のリボンでぐるぐる巻きに拘束されていたため、拭うことはできなかったが。

 

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