「……ヘイ、ベイビー! 俺はまだ、こんなところで終わるわけにはいかないぜ!」
爆発の中から歩み出てきたクロードは、満身創痍ながらも戦闘不能に陥ってはいなかった。いつの間にか、彼の右手にはメーターとボタンが付いた小型デバイスが握られている。
「百合・BLレンジャーがグリイザの奴と総力戦を行い、警備が手薄になったときを狙って、俺はBL警察本部へ忍び込んでいた。で、そこに保管されていたハザード性癖トリガーを失敬してきていたってわけだ! アンダースタンド?」
「お前、やることがいちいちせこいな……」
ヒョウガは半ば呆れていた。
「バイザウェイ! お前の必殺技を受ける寸前で、俺はトリガーを起動。『年上好き』性癖のデバフを瞬間的に強化することでお前のバフを相殺し、技の威力を抑えたのさ。おかげでまだ生きてるぜ!」
「首の皮一枚繋がっただけで、虚勢を張るな」とダレン。
「ハザード性癖トリガーは元々、超次元ライダー系の原典と使った方が相性が良い。だが、貴様の原典は違う。トリガーで力を増幅したところで、そう長くは持つまい」
「ああ、そうさ。持続時間が短くなるのは俺も知ってる。だから、ここぞというときのために温存していたんだ」
そう言うと、クロードは電池型アイテムにトリガーを近づけた。増幅した力で、電池にエネルギーを充填させていく。
「ゼアフォー、デバフがまだ効いているうちに、もう一つ面白いショーを見せてやる。……ブレイブ、イン! 来い、『プテラクロードン』!」
空へ向かって投げた電池型アイテムが、ぐんぐん巨大化していく。そこへ、雲を切り裂いてプテラノドン型の巨大メカモンスターが現れた。黒と金のメタリックな皮膚を持つモンスターは、電池を飲み込むと同時に変形をスタートさせる。
「レッツ、『カミナリ変形』!」
クロードの声に応じ、どこからか三味線風メロディーも流れ出した。
プテラクロードンの体が前後に分離し、それぞれが少しずつ形を変えていく。やがて人型の巨大ロボとなった相棒のコクピットへ、金の戦士は高くジャンプして乗り込んだ。操縦桿を握り、高らかに宣言する。
「完成。『クロードライデンオー』!」
黒と金のロボの胸には、プテラクロードンの顔部分が付いている。そのくちばしから百合・BLレンジャーへ向かって、いきなり雷撃が発射された。
「蹴散らしてやるぜ、エブリバディ!」
「そうは行くかよ」
稲妻をかわしつつ、裕介は叫んだ。
「珈琲ライナー、来部ファイヤー、来い!」
猛牛とサイを模した巨大トレーラーが、遥か彼方から駆けつけた。珈琲ライナーが主に上半身、来部ファイヤーが下半身を担当するように変形合体し、来部ボクサーとなる。
『ダン、ダン、ダンダダン! パンチが飛ぶぞ! でっかい未来をその手で守れ!』
裕介と美明日が飛び乗った操縦席では、これまでと異なるBGMが流れていた。音量設定を間違えたのか、外にも少し漏れ聞こえている。
『ビュン、ビュン、ビュンビュビュン! 嵐を呼ぶぞ! 炎の拳に誓いを込めろ!』
「ワット? 何だ、その暑苦しい曲は⁉」
困惑しているクロードに、美明日は「ふふん」と得意げに説明した。
「ルーカスが設定した曲をいつまでも聴いているのは、性に合わなかったの。私がちょっと改良しておいたわ」
「ユーアーキディング! BGMが変わった程度で、この俺に勝てると思ったか。ていうか、もっと他に改良すべきところあっただろ⁉」
クロードライデンオーは、両腕のカッターを武器に斬りかかってきた。バックステップでそれを避け、来部ボクサーがテンポよくパンチを叩き込む。
『奴を切り裂く 俺たちのジャブ 友情貫く ストレート 企み砕く アッパーカット そら来い! カモン! 勝負だ!』
左のジャブで牽制し、怯んだところで本命の右ストレート、さらに右のアッパー。洗練された動きで、クロードを追い詰めていく。
「改良したのは音楽だけじゃねえ。ロボの俊敏性とパンチの威力も、以前よりぐっと上がってるぜ!」
「ルーカスのアレンジを取り去り、私たちの手でアップデートした来部ボクサー。その真の力、受けてみなさい!」
二体合体のロボが跳躍した。空中できりもみ回転し、両手をピストン運動させる。
「「『来部パンチャー』!!」」
一分間に約三千発のパンチを撃ち出す、来部ボクサーの新たな必殺技である。凄まじい速さで放たれた殴打は、さすがのクロードライデンオーにも防ぎきれない。衝撃で大きく後退する。
『真っ赤な闘魂 来部ボクサー!』
「ぐっ……」
ちょうど、曲が終わりに差し掛かった頃だった。どうにか耐えたクロードは、コクピット内でハザード性癖トリガーを掲げる。
「トリガーに残っている、最後の力よ。俺に強化合体を授けろ!」
すると、ヴェロキラプトルとパラサウロロフスに似た姿の、緑色と黒色のメカモンスターが登場。クロードライデンオーの両腕に合体した。左腕に爪、右腕に銃を装備している。
「完成。『クロードライデンオー・ウエスタン』!」
合体完了するやいなや、恐竜型ロボは銃撃を放った。来部ボクサーの脚部にダメージを与え、怯ませる。
「フン。足が使えないボクサーなど、敵じゃないぜ!」
左腕の爪で悠然と仕留めようとしたクロードだったが、仲間のピンチを見過ごすほど戦隊は馬鹿ではない。次に飛び出したのは、ナオヤだった。
「――ボイスフォーメーション、『BLレックスロボ』!」
赤い恐竜型ロボが自動操縦によって爆誕し、両肩から低温レーザーを発射する。
「『マックスBLブリザード』!」