百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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73 Good Bye クロード!

 今作初めての六体合体にして、百合レンジャーとBLレンジャーの垣根を超えた友情フォーム的なやつだった。むしろ、何でもっと早く出なかったんだろう。

 

「アンビリバボー!」

 

 ゼロタウラスを蹴り飛ばしたところで、クロードキョウリュウジンが振り向いた。

 

「ヘイ! 合体に使ったパーツの数が多けりゃ勝てるとでも思っているのか、戦隊たち?」

「「いやお前が言うなよ」」

 

 全員、ほぼ同時にツッコんだ。現に今、四体合体でヒョウガを苦しめて得意になっているくせに。

 

 

「そんなにたくさん合体したら、素早く動くのは不可能。俺のベリー・ファストな斬撃で、とどめを差してやるぜ!」

 

 四色の恐竜ロボが舞い上がる。剣に雷のエネルギーを溜め、急降下とともに勢いよく斬りつけてきた。

 

「グッバイ、百合・BLレンジャー。――『獣電剣・年下クロードフィニッシュ』!」

 

 その斬撃は、確かに標的の左肩に炸裂した。しかし、装甲を切断することも、傷つけることすらもままならない。

 

「オー、マイ。なぜだ⁉」

 

 

 動揺するクロードのロボへ、百合&BLカイザーがすっと腕を伸ばす。肩に押し当てられた剣を圧倒的な力で掴むと、木っ端微塵に握りつぶした。ぱらぱらと、地上に破片がこぼれ落ちる。

 

「これが絆。あんたが蔑み、侮っていた人間の力よ!」

 

 ツカサの声が響いた。百合&BLカイザーのパンチが、クロードキョウリュウジンの胸部に叩き込まれる。大きく吹き飛ばされた敵を前に、六人は目で頷き合った。

 

「行くぜ、お前ら。正真正銘のクライマックスだ。俺の……俺たちの必殺技、ファイナルバージョン!」

 

 

 百合&BLカイザー・VSXが各マシンに分離し、色とりどりの破壊エネルギーを纏って高速突進した。たとえば百合エックスなら銀、BLエックスは金というように、各々のパーソナルカラーを帯びている。

 

「「『百合&BLカイザー・性癖ラッシュストライク』!」」

「ぐあああっ⁉」

 

 怒涛の六連撃を喰らい、クロードキョウリュウジンは合体解除されてしまった。各所に穴を穿たれ、全身の装甲からスパークを飛び散らせながらも、かろうじて通常の「クロードライデンオー」へと戻る。

 

 

「……こ、こんなはずではなかった。だが、俺は絶対に諦めないぜ! これからも地道に中古の原典を集めて、次こそはお前たちに勝つ。シーユーアゲイン!」

 

 ロボさえ通過可能と思われる、特大サイズのゲートをクロードは開いた。恐竜型ロボごとそれをくぐって逃げようとする。

 生き延びた、と彼は思った。

 先刻、百合&BLカイザーが放った技は非常に強力であった。強いて弱点を挙げるとするなら、必殺技の発動時に一度分離するため、スムーズに次の攻撃へ移れないことだろうか。再合体に時間を要しているらしい六人の戦士たちをよそに、クロードは退散しようとしていたのだが。

 

 

「――次なんてない」

 

 ゼロタウラスの手がロボの肩に置かれ、震えあがることになった。

 

「敗者にふさわしいエンディングを見せてやる。ハアッ!」

「どわ~っ⁉」

 

 思いっ切り顔面を殴られ、無様に転倒するクロードライデンオー。

 実は、クロードが時間稼ぎのために使った「デンジャラス・グール」の効果はまだ完全には消えていなかった。ヒョウガのバフを、ハザード性癖トリガーで強化されたクロードのデバフが一時的に相殺したことにより、僅かに残ったその効力がヒョウガに及んだのである――結果的に、原作で有名なシーンがクロードにとって最悪な形で再現された。

 

 

 彼のさらなる不運は、あまりに往生際の悪いせいでヒョウガの怒りが頂点に達し、とうとうゾーンへ突入しきってしまったことであった。普段よりも冷たく、ハイパーに無慈悲な目で、仮面の奥から敵を睨む。

 

「お前の悪運もここまでだ。どうやら俺は、お前の天敵らしい」

「な……舐めるなあああああっ!」

 

 対照的に、クロードは激高していた。無理やりロボを再起させ、胸から雷を撃ちながら突進する。

 

「人間風情が生意気だぜ。英語で言うと、アフターオール、ユーアーオンリーヒューマン!」

 

 

 腕のカッターで斬りつけようとしてくる恐竜型ロボを、ゼロタウラスが迎え撃つ。ツインゼロソードを構え、高速で水平回転した。

 

「今度こそ、本当に終わりだな。――『野牛零断』!」

 

 黒い稲妻を纏った一閃が、クロードライデンオーの胴を真っ二つに切り裂く。回転を止めたゼロタウラスが大地をずしりと踏みしめ、恐竜ロボは爆炎に包まれた。コクピット内で、クロードが苦しげに呻く。

 

 

「馬鹿な、この俺が……オー、マイ!」

 

 爆発し、内側から弾けるようにバラバラに吹き飛ぶクロードライデンオー。敵の遺体こそ確認できなかったが、クロードの作ったゲートが霧散したことが、制作者の死を暗示していた。

 終わったのだ。何もかも。

 

 

 ロボから降り、地上へ戻った戦士たちは、安堵からへなへなと座り込んでしまった。

 

「お疲れ様。本当によくやってくれた。ところで正直に言わせてもらうと、私も一度くらいはロボに乗りたかったぞ」

「わがまま言わないの、ダレン」

 

 超次元ライダー系の原典しか使わない縛りを己に課しているダレンは、心なしかふてくされている。まるで姉のように、お菊は彼をまあまあとなだめた。

 その傍らでは、変身を解いたヒョウガとサヤがひしと抱き合っている。何しろ、互いの想いを伝え、恋路の邪魔をする悪を倒した直後なのだ。熱くならないわけがない。

 

 

「……ねえ、ヒョウガくん」

 

 幸せそうな笑顔で、サヤは彼の耳元で囁いた。

 

「うちらが付き合ってること、大学の皆にはバレんようにせんとあかんなあ」

「そ、それは」

「職員と学生が両想いなんて、禁断の恋って感じでなんか破廉恥やねえ。……ふふっ。すぐ赤くなって、ヒョウガくん可愛いわあ」

 

 サヤは女性としては背が高い方だ。ゆえにそこまで身長差はなく、照れているヒョウガの頭を撫でたり、わしゃわしゃしたりすることもできた。

 細い指で愛情たっぷりに撫でられながら、青年はふと、自分がヒーローになるきっかけを与えてくれた男のことを思った。視線を一瞬空へ向け、心の中で彼に語りかける。

 

(ブルブラック。俺、守ったよ。愛と平和に満ちた、この世界を)

 

 

 リボンズトルーパーたちによって無力化された、リボンダークモノス軍団。来部&ネトルマーベラスに敗北し、お菊のリボンでぐるぐる巻きにされていたシール。原典の制御を失い、普通の人間に戻ったグリイザ。以上の面々は、駆けつけたBL警察の手で迅速に連行されていった。

 

 なお、クロードに奪われたハザード性癖トリガーは発見できなかった。大方、クロードライデンオーの爆発に呑まれて消えたのだと思われる。まあ、武神ソードに変身したケイワ青年に悪用された例もあることだし、これに関しては消滅してラッキーかもしれない。

 

 

「グリイザにはあとで会見でも開かせて、虚無英雄会の悪事を白日の下にさらけ出す予定だ」とケイイチロウ。

 

「じきに、俺たち百合・BLレンジャーへの世間の誤解も解けるだろう」

「そうね」

 

 ツカサもにっこり笑った。連戦で疲労が溜まってはいたが、晴れ晴れとした笑顔だった。

 

「これにて一件、コンプリートよ!」

 




次回は本編と直接関係のない、後書きのような、執筆の裏話のようなものを投稿する予定です。読み飛ばしても全く問題ない内容ですので、時間のある方だけ目を通して下さればと思います。

明後日から通常通りの投稿になります。よろしくお願い致します。
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