言われてみれば、背が伸びて大きくなってはいるものの、確かに幼いムーヴォの面影が残っている。髪の色も変わっていない。ただし、今ではロングヘアになっていた。
しかし、一体どういうことなのだろう。どういった手段でタイムトラベルしてきたのかも、何の目的で来たのかもさっぱり分からない。超展開すぎて、頭が追いつかない。
「『ええっ⁉』じゃないわよ。あ、そうだ、未来が大変なの。二人の力を貸して! 今こうしている間にも、私のことを敵が追ってくるの!」
「え、ちょ、ちょっと⁉」
あれよあれよと言う間に、二人はムーヴォに連れられて居酒屋の外に出てしまった。他の面々も慌てて追いかける。
「ごめんなあ、店員さん。急用ができてしまったんよ。お金はうちが全部払うから、許してな?」
会計は、サヤがクレジットカードの一括払いで済ませた。さすが、タワマンを持っているだけのことはある。
「……サヤさん、やっぱり酔ってないじゃないですか」
ぱっと自分から体を離し、てきぱきと支払いを済ませる様を眺めて、ヒョウガはちょっぴり恨めしそうに呟いた。
「ふふっ。酔ってなかったら、甘えたらあかんの?」
彼なりにささやかな反撃を試みたつもりだったが、彼女の悪戯っぽい笑顔に見事ノックアウトされた。やはり、サヤには敵わない。
さて、店の外に出た一同の目にまず飛び込んできたのは、市街地を闊歩する巨人の姿であった。顔に青い仮面を付け、全身には拘束具のようなデザインのプロテクターを装着している。特に胸部には、X字の一際大きなプロテクターが備わっていた。
百合・BLレンジャーとムーヴォに気づいたらしく、こちらを向いて喋りかけてくる。やけにイケボで、声優さんが声を担当していそうな感じだった。
「やあ、私は『ネトレギア』。君たちの願いを壊しにやって来た」
直接脳内へ語りかけるようなその声に、カイリが顔をしかめる。
「ムーヴォちゃん……あいつ、何なんだ?」
「ネオ超次元生命体よ、父上」
「お、おう」
答えにはなっているけれども、説明にはなっていないパターンである。
「名前から察しているかもしれないが、私の性癖はそこにいるネトルティ来部と同じ、『NTR』。だが、能力は少々異なる。相手の心に悪魔のごとく囁きかけ、誘惑し、操り人形にして意のままに操る。それが私の、精神干渉系のパワーなのさ!」
「……ええい、よく分かんねえけど皆、奴の言葉に耳を貸すな! 干渉される前に倒すぜ!」
もはや理解することを諦めたカイリが、半ばやけくそになって指揮を執った。
「ネオ超次元生命体だか何だか知らねえが、未来でもまたしょうもない悪さをしてるようだな。俺たちの絆の力でぶっ飛ばしてやる! 行くぞ、皆!」
「おうッ!」
非戦闘員であるサヤをヒョウガが下がらせ、一斉に変身アイテムを構えた。
「――未来も気張ろうか。さあ、祭りだ祭りだ!」
手首から飛ばしたリボンで華麗に空中を移動し、ピーター・バーガーもしれっと参上する。
「まだ帰国してなかったの⁉」
「せっかく来日したんだ。もう少し観光しておきたくてね」
驚いているお菊に説明すると、彼もリボンズドライバーとギラファノコギリクワガタの意匠のスタンプを取り出した。
「ところで、僕がゲットオーバーリボンズになってお菊さんが通常のリボンズになると、オーバーリボンズ用のスタンプが一つ余るんだよね。良かったら、使うかい?」
「俗に言う『お下がり強化形態』ね。あれ、かっこよさが微妙だから個人的にはちょっと抵抗あるのよ。個人的にはね」
たまにSNSで見かける、炎上を避けるために「個人的には」を多用する人みたくなっている。独特な理由でパワーアップを拒否した彼女は、いつも通り蜘蛛の意匠のスタンプを構えた。
「私は私らしく、I wanna changeよ! なびかず、流されず、今感じることに素直でいたいわ!」
「突然の英語⁉」
「未来からの侵略者とは……笑えないジョークだ」
ため息を漏らし、ダレンが大きなレンチ型の武器を召喚した。それにカードを装填すると、変身待機音が流れる。この原典は厳密には「超次元ライダー」ではないのだが、ポジションが二号戦士のそれに近いためか、ダレンにも一応扱えるようだ。
「絆の力だと? 二言目には絆、絆とうるさいんだよ。戦隊風情に何ができるって言うんだ!」
ネトレギアの嘲笑の声に負けじと、一同は声を張り上げ、叫んだ。
「怪盗チェンジ!」
「警察チェンジ!」
「『BLファイヤー』!」
「インストール、『オメガ珈琲シルバー』!」
『パーフェクト・アップ! 超次元ライダー・ネトルティ来部!』
『GET OVER NOW! GET OVER PAIN! GET OVER MIND!』『JUMP UP! アメリカン・ファイター! ゲットオーバーリボンズ!』
『DEEP! DROP! DANGER! アメリカン・ファイター! リボンズ!』
「レッツ、モーフィン……からの、『ゴークイーンズ・デリシャスタンバイ』! 『パーティ・ゴー』!」
「――『鉄鋼』」
「『騎士転生』!」
今回、ご迷惑をおかけした作品
・ウルトラマンタイガ
・仮面ライダーガッチャード