百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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6 俺たちは一つ!

 変身完了後、すぐにツカサが「チェンジスタンバイ!」と発声。VS・スワットモードが起動し、各自が防弾ベストと大型マシンガン・VSリボルバーを装着した。

 裕介と美明日も「BANG・解」し、それぞれ珈琲サイブレードとNTRブレードを構えて準備万端である。

 

 

「孤高に煌めく怪盗。百合エックス!」

「百合ブルー!」

「百合イエロー!」

 

 そして次々とポーズを決め、名乗りを上げていった。

 

 

「気高く輝く警察官。BLエックス!」

「BL1号!」

「BL2号!」

「二十世紀が泣いている。BLファイヤー!」

 

 

「才を磨いて、己の個性を見つけ出す。アメイジング・オリジナリティー! オメガ珈琲シルバー!」

「あなたには聞こえないのかしら? 激しい風の囁きが。超次元ライダー・来部!」

 

 

「リボンをつけて返そう。君に受けた屈辱を!」

「なみいる悪を、白日のもと暴き出す。光のレジスタンス! アメリカン・ファイター、リボンズ!」

 

 

「熱々ご飯で、みなぎるパワー! レッドクイーン・プレシャス! 美味しい笑顔で、満たしてあげますわ~!」

「ふわふわサンドで、心にスパイス! ブルークイーン・スパイシー! 分け合う美味しさ、焼きつけますわ~!」

「きらめくヌードル・エモーション! イエロークイーン・ヤムヤム! 美味しいの一人占め、許しませんわ~!」

 

 デリシャスパーティ・ゴークイーンズは拳を握り固めたり、手をパンと叩いたり、手を伸ばして首を傾げたりと、やたら動作が多い。

 

 

「……大切なのは美学。美学なき者は、このダレンが消し去る!」

 

 ダレンに限って言えば、特にポーズらしいポーズもなかった。ただスパナ型の武器を肩に担いでいるだけだ。

 赤紫色の鎧を上半身に纏い、下半身には作業服のようなデザインの白いアーマースーツを着ている。全体的に、錆びたり煤で汚れたりしている感じだ。

 

 

「零騎士、ヒョウガ! 銀河を貫く伝説の零だ!」

 

 最後に零騎士が、右手で剣を水平に構えるポーズを取る。

 

「ネトレギア。二十二年後から来たお前の存在そのものが、俺とサヤさんの未来の幸せを、平和な生活を否定している。お前は俺が、いや俺たちが、ここで必ず潰す!」

 

 既にゾーンへ突入している彼を見て、サヤはかあっと頬を赤らめた。

 

「ヒョウガくん、二十二年経ってもうちと一緒にいる前提で考えてるんやなあ。てことはその頃には一緒の家に住んで、結婚もして、子供とかもおって……あかん、未来が幸せすぎるわあ。うち、こんなにかっこいい旦那さん貰って、本当にええのん??」

 

 

「な、何だ⁉ お前たちは一体、何なんだ?」

 

 パロディーまみれではあるが歴戦のヒーローたちが並び立ち、ネトレギアが怯んだように問うた。対して、ツカサとカイリを筆頭に、戦隊の面々は凛として名乗った。

 

「俺たちは!」

「私たちは!」

「「『百合&BLレンジャー』だ!!」」

 

 総勢十二人が天高く跳び上がり、エネルギーを込めたキックを巨人目がけて繰り出す。

 

 

「煌めく未来へダッシュして、スーパーノヴァだ! 溢れ出す感情が、この体を突き破るぜ!」

「何を言っているのかまるで分からないけど強い~っ⁉」

 

 跳び蹴りが炸裂した刹那、羽を広げた蝙蝠のようなマークがネトレギアの体に浮かび、彼の悲鳴は大爆発にかき消された。

 

 戦え、百合レンジャー! 頑張れ、BLレンジャー! いつの時代も、どんな場所でも、誰かを守るために戦う者は皆、ヒーローだ!

 

 

 

 

「久しぶりだな、ルーカス」

 

 カフェのテラス席でロイヤルミルクティーを味わっていたところ、後ろから声を掛けられる。ウエスタンハットを被った青年は、内心面食らっていた。なぜ自分のことを、キンジ・オネガワとしてではない本名を知っている奴がここにいるんだ。

 

「誰だ」

 

 木製のテーブルへカップを置き、ゆっくり振り向く。そこに立っていたのは、アダムとトーマス。顎髭を生やした屈強な男と、眼鏡をかけた痩せた男だった。

 

 

「おっと、これはこれは。懐かしい顔ぶれじゃないか」

 

 オーバーリアクションでおどけてみせたルーカスには、既にアメリカ人的な立ち振る舞いが身に付いていた。人間界への潜伏にもだいぶ慣れてきている。

 

「しかし分からないな。なぜお前たちが生きている? あのとき、確かに俺が斬ったはずだ」

「……ここで話すようなことじゃねえな」

 

 場所を変えようぜ、とアダムが裏通りを顎でしゃくった。ルーカスも無言で頷いた。

 

 

 薄暗い路地へ移動したのち、まずトーマスから話し始めた。

 

「僕とアダムはあの日、雪山で君に襲われた。深く斬りつけられ、一度は絶命した。それは間違いないよ。ただ、僕たちにとって幸運だったのは、『異世界転生』系の原典のパワーで超次元界の辺境に転生できたことだったのさ」

「……転生だと?」

 

 ルーカスは眉をひそめる。

 そういえばあのとき、二人が所持していた武器は斧と拳銃だけだった。ロリーニンジャーへ変身したルーカスを相手取るには明らかにパワー不足で、ルーカス自身、「ごくありふれた武器を具象化して使ったところで、俺には勝てない」と言い放った覚えがある。

 

 

「ああ。俺たちは戦って勝つことよりも、人間界という未知の世界で生き延びることに重点を置いて、使用する原典を選んでいた。武器がパッとしなかったのはそういうわけだ」

 

 アダムが続けた。

 

「俺たちの原典はどちらも『異世界転生』系。戦闘能力はそれほどでもないが、死んだのとは別の世界で一度だけ転生できるパワーを秘めていた。この力を使って、人間界で死亡した後に超次元界で復活できたんだ」

「なるほどな。で、今になってようやく、俺を追いかけ回す気になったと?」

「勘違いしないでくれ。今までだって、すぐにでも追いかけて問い詰めたかったさ。どういうつもりなのかってね」

 

 心外だ、とトーマスが憤る。

 

 

「でも、調査部隊のメンバーで『本当にどこにでも行けるドア』が開けるのは君とダレンだけだったろう? 貴族階級じゃない僕らは、人間界の君の居場所を探るのに少々手こずったのさ」

「この間、ネットニュースで『海岸で金色のヒーローと怪人の目撃情報が』云々ってのが流れてなけりゃ、下手すると永遠に発見できなかったかもな」

「……弱ったな。どうやら目撃者がいたらしい」

 

 苦笑し、ルーカスは肩をすくめた。

 

 

「まあ要するに、運良く生き延びた雑魚が、のこのこ殺されに出てきたってことで良いんだな?」

「ふざけんな。お前を捕縛して吐かせに来たんだよ。一体、お前が人間界で何をしようとしていたのかをな!」

「辺境にいた僕らには断片的な情報しか入ってこなかったけど、超次元界の中央では、無貌とかいう奴が大暴れしているらしいじゃないか。あれにも君が一枚嚙んでいる……というのは穿ちすぎかな?」

 

 

 はたしてトーマスの推理は大当たりだったのだが、ルーカスは動揺を見せない。二人に詰め寄られても顔色一つ変えず、不敵に笑った。

 

「知る必要はないぜ。どうせすぐに、俺の手で二度目の死を迎えるんだからな!」

 

 眩しい光に包まれ、ロリーニンジャーへ変身。ソードガンを召喚して構える。

 

「来いよ、雑魚ども。せいぜい、この前よりはましな原典を使ってみろ!」

 

 




※次回の更新は1週間後の予定です。
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