百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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8 アダムの命とルーカスの危機

 新たなカセット型アイテムを取り出し、起動音を鳴らす。すかさずそれをパラブレイガンへセットすると、ルーカスは二人の戦士へ分身した。金色のパズル模様と、黒い炎の紋様をそれぞれアーマーに持つ。前者はリーゼントに眼鏡の学生、後者は頭にハチマキを巻いた格闘家を何となく思わせる外見だ。

 

「さあ、運命のパズルだ!」

 

 トーマスが投げつけてきたブーメランを、学生っぽい方の戦士がパズル型のバリアを展開してガードする。同時に、格闘家っぽい方へ別の性癖アイテムを投げて寄越した。

 

『赤ちゃんプレイ化!』

 

 かつてアマエマックスも使用していた、強力な性癖だ。相手にバブみを感じさせ、思うように力を発揮できなくさせる。

 

 

「な、何だか、急に甘えたくなってきたでちゅ……」

「隙だらけだぜ。俺の心を滾らせるな!」

 

 もはやキャラ崩壊し始めたアダムとトーマスに、連続でパンチを浴びせるルーカス。大ダメージを叩き込み、とどめとばかりに最強の技を発動した。

 分身を解いて再び一人へと融合し、ベルトのレバーを開閉する。

 

「これでゲームオーバーだ!」

『裏技!』『パーフェクトノックアウト・ルーカスボンバー!』

 

 高く跳び上がり、金と黒のエネルギーを纏ったドロップキックを繰り出した。

 一瞬、ルーカスの下半身が蛇に変化してドロップキックしたように見えたのは気のせいだろうか。もしかすると、どこぞの邪神ちゃんの原典がマザルアップしたのかもしれないですの!

 

 

「……避けろ、アダム!」

 

 咄嗟にトーマスが相棒を突き飛ばし、両腕を広げて自ら必殺技を受けた。キックをまともに喰らい、爆発の中に倒れる。

 

「しっかりしろ、トーマス! おい!」

 

 変身解除されてうずくまる相棒へ、慌てて駆け寄るアダム。その目には怒りの炎が萌えていた。

 

「おのれ、ルーカス。お前だけは絶対に許さん。すなわち、俺がこの手で倒す!」

 

 

 いつの間にか、彼の手には剣と盾が一体化したような形の武器が握られている。

 

「複数の原典を所持できるのがお前だけだと思うなよ、ルーカス。俺たちだって、世間的にはあの日雪山で死んだものと思われているんだ。一定以上の虚無の量はある」

「……ほう。その原典、次元四天王のSSソルジャーが使用したのと同じものだな。使用者が倒されてフリーな状態になったところを、上手くゲットした。大体そんなところだろう?」

 

 ルーカスはほくそ笑み、パラブレイガンをアックスモードにして突進した。

 

「だが、中古の原典を手に入れた程度でいい気になってもらっては困るな!」

「――ただの中古じゃないぜ」

 

 

 メタリックな紅のアーマーを装着し、アダムは「スペースバスター・アダムソルジャー」へと変身した。剣と盾を分離させ、盾でルーカスの斬撃を軽々と受け止める。

 

「SSソルジャーの野郎が利用したのは、原典において全盛期ではなかったときのキャラクターの力だ。このキャラクターはかつて不死の力を持っていたが、宇宙を支配する悪を倒すため、その力をすべて攻撃力へ変換した。結果、悪を倒すことには成功したものの、不死身ではなくなっている」

「……何が言いたい?」 

 

 仮面の奥のルーカスの表情に、今日初めて焦りが見え隠れした。

 

「すなわち」

 

 盾を強く押し出し、アダムがルーカスの攻撃を弾く。右手に構えた剣に炎を纏わせ、カウンターで斬りつけた。

 

 

「SSソルジャーが使ったのは、不死ではない状態の戦士のパワー。今俺が使っているのは、不死身の戦士のパワーだということだ!」

「ぐあっ⁉」

 

 鎧から火花を飛び散らせ、後ずさるルーカス。「ならば」と原典をチェンジし、二枚のカードキー型アイテムをベルトに装填して変身した。

 

『パーフェクト・ライズ! When the five horns cross, the golden soldier THOUSER is born!』『Presented byルーカス!』

 

 のちにダレン戦で大活躍することになる、予備としてストックしていた「サウザー」の原典だった。カブトムシとサイの動物型エフェクトが周囲を飛び回る中、五本角の金色の戦士が登場する。

 

 

「その不死身の力、俺が貰い受ける!」

『ジャック・ライズ!』 

 

 変身アイテム兼武器である盾を狙い、ルーカスは短槍を突き出した。これさえ命中すれば相手は原典の力を一時的に使えなくなるばかりか、自分がそれをコピーして使うことすら可能になる、はずだった。

 しかし、槍の先端が接触しても手ごたえは何もなく、ルーカスは動揺することとなった。

 

「無駄だ。俺の不死身の力は、もうそこにはない。全部攻撃力に変換しちまったからな!」

「何っ⁉」

 

 

 アダムが中古で利用したこの原典には、二つの能力が備わっていた。一つは、いかなるダメージを受けようとも傷を癒すことのできる、不死の力。そしてもう一つは、不死の力を捨てることにより、一度だけ無敵のパワーを発揮できるというものである。

 ルーカスが逆利用しようとした一つ目の能力は失われ、既に二つ目に切り替わっていたのだ。どんな悪をも粉砕する最強の力は、無貌支持派第一位のビッグ・ファーストと本質的に同じ。ちょっとやそっとでは、コピーすることも使用不可にすることもできはしない。

 

 

「――勝負あったな。『アダムエンド』!」

「馬鹿なあああああっ⁉」

 

 裂帛の気合とともに、アダムが火炎を帯びた刃を振り下ろした。

 無敵状態に突入した上で、この原典での最強の必殺技を発動したのだから威力は絶大。赤く輝く剣は、ルーカスの体を両断した。

 




今回、ご迷惑をおかけした作品
・邪神ちゃんドロップキック
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