百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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11 痛さ=強さ(?)

 今日のメインは、コスプレした状態での食べ歩き。最初にトライしたのは北京ダックだった。

 

「美味しいにゃあ」

「うん、美味い」

 

 人気店らしきところに並び、二人で買った北京ダックは格別だった。薄皮に包まれたシャキシャキのネギやキュウリ、そして肉が最高である。値段もお手頃なのがなお良い。

 

 

「……ところで、『北京ダック』って一体、何なのにゃ?」

「……さあ?」

 

 北京というのはおそらく人間界のどこかの地名なのだろうが、全然馴染みがない。何ならダックもよく分からない。超次元界には植物こそ茂っているけれども、動物はほぼいない特異な環境だからだ。

 お次は、チャーシューメロンパン。パンの中に角切りの肉が入っており、意外な組み合わせだがこれもなかなかの絶品だった。

 

 

「……ねえダレン。『メロンパン』って一体、何なのにゃ?」

「……いちいち考えていたら負けのような気がしてきたぞ」

 

 この勢いで質問攻めにされると、そのうち「ヒトっていったい、なんですか?」「アニキっていったい、誰ですか?」とか聞かれて、気まずくなりかねない。雰囲気を楽しめればそれで構わない、と切り替えて、二人は次の店に向かった。

 

 

「これが、小籠包。食べているのは、私にゃ」

 

 肉汁がジュワーっと溢れてくる、出来立て熱々の小籠包。

 

「これはやけに大きいにゃあ」

 

 さらに、人の顔くらいのサイズがある、大きな「台湾唐揚げ」。キャサリンは台湾がどこの国なのかよく知らなかったが、あまり気にせずに美味しく頂いた。

 唐揚げを食べ終えた頃でレンタル衣装の返却時間が迫っていたので、一旦服屋さんへ戻る。服屋と提携している店でいちご飴のサービスがあるというので、それも頂いた。美味しいことは美味しいが、いちごが固くて嚙み切るのにも一苦労だった。もしかしたらいちごが冷凍のもので、解凍されていなかったのかもしれない。

 

 

「私はもうお腹一杯だ。キャサリンは?」

「デザートは別腹だにゃ!!」

 

 髪を直すのが面倒だったらしく、彼女はまだおだんごヘアのままだった。それはそれで可愛らしく感じる。

 気温は決して高くないのに、ストッキングに丈の短いスカートを履いておしゃれを頑張っているようだ。ダレンと一緒に過ごす今日一日、妙に張り切っている気がする。

 

「ガイドブックによると、この先にごま団子の有名店があるそうだ。行ってみるか」

 

 本とにらめっこしながら、手を繋いで進む二人。偽装カップルのデートはまだまだ続くかに思われたが、すぐに中断せざるを得なくなった。

 

 

「た、助けてくれ~!」

 

 そのごま団子の店から、店主らしき男が悲鳴を上げて飛び出してきたのである。

 

「どうしたんです」

「お客さんが突然、化け物に変身しちまってよお。店のごま団子を全部食べちまった!」

 

 駆け寄ったダレンに、男は泣きそうな顔で説明する。十中八九、何者かが原典を悪用して暴れているに違いなかった。

 基本的に原典は貴族階級が管理しており、平民は残り物にありつくより他にない。このチャイナシティに来ていることからも察するに、貴族による犯行だろう。

 

 

「元とはいえ、私も貴族の端くれ。護身用の原典は携帯している。私が止めて来よう」

 

 恐れずに店へ向かおうとするダレンを、キャサリンも慌てて追いかけた。

 

「私も一緒に戦うにゃ! こんなこともあろうかと、とっておきのを用意してあるんだにゃ!」

「何だか嫌な予感がするが……まあ、良いだろう。好きにしろ」

 

 彼女を巻き込むような展開を望んではいない。しかし、本人が巻き込まれたがっているなら仕方ない気もする。

 いざとなれば自分が身を挺して守る覚悟で、ダレンはキャサリンを連れてごま団子屋に踏み込んだ。

 

 

 青い皮膚に多くの口が付いた怪人が、腹部の口へありったけのごま団子を掻き込んでいるところであった。ダレンたちに気づき、パッと振り向く。

 

「貴様、何者だ。ここで何をしている」

「俺の名は『羅刹』。己の性癖に従い、宴を楽しんでいたのさ!」

 

 巨大なフォークを召喚した羅刹は、戦う気満々らしかった。

 

「笑止。宴とは、皆が楽しい気分になれるものだ。自分一人だけが大食いしている貴様は、ただの犯罪者だろう」

 

 対するダレンも原典を用意し、腰にドライバーを装着する。

 この頃の彼は、虚無の量がさほど多いわけではない。したがってすべての二号戦士のパワーを宿しているのではなく、一種類のみを所持していた。

 

 

「――私が相手だにゃ。『重妄想』!」

 

 しかし、彼よりも先にキャサリンが突撃した。どこからか、フィギュアと銃を足して二で割ったような形状のアイテムを取り出し、「ズッキューン!」というサウンドとともに引き金を引く。

 光に包まれ、黄色いアーマースーツを纏った黒い仮面のヒーローへ変身を遂げた。鎧の一部になったのか、おだんごヘアーも健在である。そして、なぜか変身前より巨乳になっている。

 

 

「えーと、私はキャサリンって言うんだけど、あっ、『アキバキャサリン』なんだけどね、今度人間界のコミケなるものに行ってみたくて、それでコミケの話なんだけど、オリジナルっていうのは二次創作じゃないってことで、あっ、二次創作っていうのは、ぶわ~って妄想が溢れちゃったときに」

「話が長いんだよこの野郎」

 

 原典の性質上、どうしても名乗りが長くなってしまうアキバキャサリンに、羅刹は容赦なくフォークで斬りつけた。呆気なく吹っ飛ばされるキャサリン。

 

「にゃあーっ⁉」

 

 飛ばされた拍子にスカートがめくれて、スパッツに相当する部分のアーマーに「人妻になりたい」と書いてあるのが見えてしまった。彼女が何のつもりでそんなことを書いたのかは分からなかったが、ダレンは見なかったことにした。

 

 

「……ま、まだまだ!」

 

 むくりと起き上がり、アキバキャサリンは猫っぽい所作で敵へ忍び寄った。素早いパンチを連打するが、羅刹にはまるで効いていない。

 

「俺の性癖は『シトフィリア』。つまり『食物性愛』だ。飲み食いしたり、食べ物を体に塗布することによって興奮を覚える」

 

 フォークに加えナイフも召喚し、羅刹はさらに彼女へ斬りつけた。アーマーから火花が飛び散る。

 

 

「シトフィリアの能力は、『その日に食べた量に応じて防御力を上昇させる』というもの。店中のごま団子を喰らい尽くした今の俺に、そんな貧弱な攻撃は通用しない!」

「そ、そんなあ~!!」

 

 彼女曰くとっておきの原典でボッコボコにされてしまっており、さすがに可哀想だった。まあ、原典が悪いというよりは、本人の戦闘経験不足だろうけども。

 

 

「……ならば私が相手だ」

 

 慌ててダレンが割って入り、自身の原典の、砂時計型アイテムを取り出す。

 

『ダレンリバイブ・剛烈!』

 




今回、ご迷惑をおかけした作品
・非公認戦隊アキバレンジャー シーズン痛

※次回の更新は1週間後の予定です。
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