百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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第26話 ヒーハー!金色のロリーニンジャー

「無駄なことを。いくら攻撃力の上昇を抑えたところで、私に対抗できるだけの攻撃力がなければ意味がないでしょう」

 

 唸り声を上げて、セイヘキ・ザ・ワールドはツカサとカイリたちに突進した。全身に黒い破壊エネルギーを纏い、最強の必殺技を繰り出す。

 

「あなたたちの世界は、ここで終わりです。『ワールド・ザ・性癖クラッシュ』!」

「オーラで強化された俺たちの力、舐めるなよ!」

 

 ツカサとカイリがバズーカ型武器・「推し推し砲」を召喚して構える。さらに、もう一度両手を組み合わせて瞑想すると、七人の神秘のオーラが奇跡を起こした。推し推し砲が変形し、小型飛行機のような形状になる。

 

「推し推しカノン、発射!」

 

 新たな必殺武器に皆が手を添え、オーラの力を注入した。光を帯びたエネルギー弾が放たれ、ザワールドに命中する。

 

「ぐああああっ⁉」

 

 爆炎に包まれ、後退するエンダー。彼を逃がすまいと、BLファイヤーがソードモードにした武器を片手に接近した。

 

 

「……婚活はやめた。戦いが終わった後のことは、終わってから考えればいい!」

 

 BLディフェンダーが輝くオーラを帯び、今回限りの特別な技を発動した。

 

「『BLディフェンダー・ファイナルオーラモード』。『マスキー・BLクラッシュ』!」

 

 眩しく光る刃が、すれ違いざまにセイヘキ・ザ・ワールドの胴をぶった斬る。アーマーから閃光を飛び散らせ、エンダーは絶叫とともに倒れた。

 

「終わるのは、私の世界か……」

 

 剣を構えたまま、炎の戦士が振り返る。それと同時に、ザワールドの姿は大爆発に包まれて見えなくなった。

 

「ジ・エンド」

 

 敵を撲滅したのを確認し、ナオヤが変身を解いた。六人の仲間たちが彼に駆け寄り、健闘を称え合う。

 

 

「ナオヤくん」

 

 と、ツカサが彼を見上げ、ちょっぴり恥じらうように言った。

 

「今日の食事会のことはもう皆知ってそうだから、ここで言っちゃうけどさ。あたし、別にナオヤくんのことが嫌いなわけじゃないわよ。ただ、ちゃんと手順を踏んでほしかったとは思うけど」

 

 彼女だって年頃の女性だ。BLの推しを愛でる日々を送っているとはいえ、イケメンを見れば人並みにときめいたりもする。近頃は、両親も「彼氏はできたか」などとうるさく聞いてくるのだ。

 

「いや、俺の方こそ、軽率な行動をとってしまって申し訳ない」

 

 ナオヤもぺこりと頭を下げた。何やら深刻そうな表情をしている。

 

「今回、ノーマル性癖全般を司る敵と戦って気づいたんだ。今まで俺は、ひどく狭い世界しか見えていなかったんじゃないかと」

「……え?」

「百合とBLが流行っているせいで陰に隠れてはいるが、この世界には数えきれないほどのノーマル性癖がある。ロリコンもいれば熟女好きもいるし、巨乳好きも貧乳好きもいる。細い人がタイプな男性もいれば、ぽっちゃりした人がタイプな人もいる。そういった色々な性癖があるんだから、生涯をともにするパートナーが、同年代の平均的な体格のA カップの女性である必要はないと思った」

 

 顔を上げたナオヤは、晴れた空のように爽やかに笑っていた。

 

「すまないが、ゆっくり考える時間をくれ。俺が本当に好きなのは、どんな身体的特徴を持った何歳くらいの女性なのか。それを見極めたいんだ」

 

 すたすたと歩き去るナオヤ。呆気に取られて、ツカサは数秒間言葉を失っていた。

 

 

「――って、オイ!」

 

 金縛りが解けたように、彼女はナオヤへ振り返った。もはや先ほどの羞恥の表情は完全に消え、怒りの形相になっている。ドキドキしていた自分が馬鹿みたいだ。

 

「あーもうっ、何でそういう結論になるわけ? 言いたいことは色々あるけど、一つだけ言わせて。あたしはAカップじゃなくてBカップだからね!」

「ツッコむところ、そこなのかよ」

「うるさいわね、カイリ。あたしにとっては超重要なのよ!」

「A寄りのBなんだから、実質的には同じだろ」

「全然違うわよ⁉」

 

 またしても、ちょっとした言い争いが始まりそうだ。というか、既にカップサイズ論争は始まっている。ケイイチロウとサクヤ、トウマとウミカは顔を見合わせて苦笑いした。

 

 

 次元大魔王により強化された、高次元生命体エンダー。「セイヘキ・ザ・ワールド」に変身した彼を、百合レンジャーとBLレンジャーは純粋な正義の心の力で見事倒した。

 これで、次元四天王の四人は全員撃破されたことになる。残るは大魔王のみ。お腹を壊してしまった大魔王は、はたして復活することができるのだろうか? そして、人類と高次元生命体の戦いの行方はどうなるのか?

 頑張れ、百合レンジャー! 戦え、BLレンジャー!

 百合とBL、ならびにノーマル性癖を愛する、すべての人たちのために!

 

 

 

「ようやく手に入れたぞ」

 

 レジ袋の中のものに視線を落とし、次元大魔王は満足げな表情で夜の街を歩いていた。

 

「これで俺は完全復活できる。今度こそ、奴らを蹴散らしてくれるわ!」

 

 といっても、別に高価なものや珍しいものを購入したわけではない。彼が買ったのは市販の胃腸薬である。

 BLレックスロボの低温レーザー攻撃を喰らい、お腹を壊してしまってから一週間が経つ。なかなか体調が回復しないため、魔王はわざわざ人間界に下りてきて、胃腸薬を買ったところだった。妖怪のような姿の魔王を見てドラッグストアの店員はビビりまくっていたが、どうにか買い物に成功した。

 

「――見つけやしたよ、次元大魔王!」

 

 と、浮足立って夜道を急ぐ魔王に、どこからか江戸っ子口調の台詞が投げかけられた。

 

「誰だ」

 

 大魔王がぱっとレジ袋から顔を上げると、ビルの屋上から人影が飛び降りてきた。音もなく着地し、手にしている武器を魔王へと向ける。

 

「あっしの名は、おねロリの星・『ロリーニンジャー』。人々を苦しめる諸悪の根源、次元大魔王討伐のため来日した次第でございやす!」

 

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