百合レンジャーvsBLレンジャー   作:クリスタルスカイ

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22 若き零騎士の過ち

「あんた、ノン・プリシャスがピーター師匠の心臓をカード化したときも疑って、危うく攻撃しかけてたじゃない。一歩間違ったら大惨事だったのよ⁉」

「チッチッチッ、俺だって成長してるんだよ! いいか、これはだな、疑っているふりをして相手に揺さぶりをかけ、出方を見る高等戦術であって」

「どっちにしろそれを口に出しちゃったら意味ないわよ!!」

「……お、おのれ~。味方が人質に取られているというのにあんまり驚かないどころか、信じてないとは!」

 

 悔しそうに呟き、BLケニアがドレッドに命じる。

 

「おい、頭部の変身を一瞬だけ解け」

「……」

 

 

 ドレッドは沈黙を守ったまま、装甲を融解させるようにしてヒョウガの素顔を露出させた。間違いなく本人であった。

 

「クソッ、嘘じゃなかった」

 

 カイリが唇を噛む。

 

「ノン・プリシャスのときは、お菊さんが不意を突いて心臓のカードを取り返してくれたんだけどな」

「ダレンさんも超次元生命体からBLACON・SUNを分離したことがあるらしいけど、今から二人をこっちに呼ぶのは無理よね……」

 

 他にも、超次元ライダー来部なら可能だ。原作においてライダーキックで人間と悪魔を分離していた彼女の原典なら、ドレッドとヒョウガを元の状態に戻せる。名古屋から呼び出すのはかなりの手間だけども。

 

 

「俺が必殺技でドレッドを凍結させ、動けなくする」

 

 小声でナオヤが言い、ブレス型の変身アイテムにそっと手で触れた。

 

「皆はその隙に、BLフィーバーJを無力化してくれ。――『BLファイヤー』!」

「そうはさせないわ!」

 

 ミス・BL・アメリカが素早くドレッドに指示を出す。ドレッドは頷き、牛の絵が描かれたカードをベルト上部にスラッシュした。

 

『ドレイン』『レプリ・零のたてがみ!』

 

 

 ほぼ同時に、BLファイヤーがファイナルモードにしたディフェンダーから冷気を帯びた斬撃を飛ばす。ドレッドの手から放たれた火炎が、斬撃を相殺した。

 

「ドレッド・《零騎士》は、取り込んだ対象の能力をすべて使える。簡単には倒させないわよ」

「そ、そうか」

 

 緊迫した場面なのだが、ナオヤはつい、ミス・BL・アメリカの下半身へと視線が吸い寄せられてしまった。正確には、大胆に露出している生足へ。

 

「こんなときに言うことではないかもしれないが、今時ハイレグの衣装で戦うヒーローも珍しい。寒くはないのか?」

「心配ご無用。原作準拠で、きちんと肌色のストッキングを履いているわ!」

「ならセーフ……なのか?」

「ええ、セーフよ。あなたたちの命は全然セーフじゃないけどね!」

『ドレイン』『レプリ・零の撃弾!』

 

 

 そんなやり取りをしている間にも、ドレッド・《零騎士》は淡々と攻撃を仕掛けてくる。ゼロライアットの召喚も可能なようで、ショットガンモードにしたそれで黒い稲妻を射出した。直撃を喰らい、呻きながら倒れるBLファイヤー。

 

「俺たちも行くぞ。怪盗チェンジ!」

「でも、どうするのよ。向こうは人質を取ってるのよ? 警察チェンジ!」

「対策なんざ、動いてから立てればいいんだ!」

 

 さすがにナオヤを放っておけないため、他の面々も加勢すべく変身した。が、以前としてヒョウガの救出方法はなく、下手に攻撃できない。

 とりあえずBLファイヤーを庇うように立ちはだかってみた六名を見て、BLジャパンはニヤリと笑った。

 

 

「変身したな? このときを待っていた。ドレッド、奴らの性癖のパワーを吸収しろ!」

『百合・パワー!』『BL・パワー!』『ノーマル・パワー!』『年上・パワー!』

 

 すかさず、ドレッドが長剣の柄のボタンを順に押した。

 本来は「先輩方の力を少しずつ借りる」的な技だが、ヒョウガを強制変身させた者の悪意ゆえか、パワーを根こそぎ吸い上げる仕様に変わっていた。体から力が抜けてしまったカイリたちに向け、ゼロライアットから伸びた光の刃が横薙ぎに振るわれる。

 

『オール性癖・コンバイン!』『レプリ・ゼロ・サイクロン!』

「「どわ~っ⁉」」

 

 

 黒い稲妻を帯びた、巨大な一閃。ナオヤ含む七人は、警察本部の外壁へ叩きつけられるほど大きく吹き飛ばされてしまった。既にアーマーはあちこち破損し、火花が散っている。

 

「一体、どうすればいいんだ」

 

 ふらつきながら立ち上がり、トウマが悪態を吐いた。

 

「俺たちが少しでも攻撃すれば、向こうはその瞬間にドレッドを変身解除させ、ヒョウガに傷を負わせることができる。かといって攻撃しなければ、このまま一方的にやられるだけだ」

「でもでも、ドレッドとヒョウガくんを分離できるような人は今いないし!」と慌てるウミカ。

「そうよ、お菊さんもダレンさんも超次元界へ帰っちゃったし……って、あれ? 誰か忘れてるような?」

 

 

 同調しようとして、ふと違和感に気づいたのはツカサだった。

 今この場に揃っているのは、あくまで戦隊の「基本メンバー」のみ。名古屋在住の二人は来ていないし、超次元界組の二人も不在である。しかし、百合・BLレンジャーはそれで全員ではないはずだ。

 

 いるではないか。加入させてくれとしつこく頼み込んできて、最終的には一応加入した奴らが。関東在住の彼女たちなら、そろそろ駆けつけてもおかしくないのだけれども。

 

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