位置が入れ替わったことにより、クロードの「年下好き」性癖によるデバフは、ヒョウガではなくツカサたちを新たな対象とした。弱体化を喰らった戦隊側は、VS・スワットモードへの変身が強制解除されていく。
「くっ……」
体から力が抜けて思うように戦えないヒーローたちを、クロードは嘲笑った。
「ベイビーたちが以前俺に勝てたのは、年上ラブな零騎士の助太刀があったからこそ。そのプロブレムさえソルブすれば、ベイビーたちなんざ俺の敵じゃないぜ! アンダースタンド?」
ルーカスの相手もヒョウガへと切り替わる。重い鎧を着込んでいる零騎士は、素早く動き回って攻撃してくる忍者戦士との相性が悪かった。すれ違いざまに何度も斬りつけられ、ヒョウガが苦しそうな声を漏らす。
「訳が分からない。お姉ちゃんと妹に見立てた二者がどうとか言っていたが、そもそもお前とクロードを姉妹に見立てるのは無理があるだろ⁉」
「無理が通れば何とやらだぜ」
仮面の下で、ルーカスは不敵に笑った。ベルトの手裏剣型プレートを回転させ、必殺技を放つ。
「零騎士ヒョウガだっけか? お前個人に恨みはないが、百合・BLレンジャーの仲間だというなら話は別だ。俺が殺す」
『フィニッシュ・忍法!』
クロードも剣に電池型アイテムを三本セットし、必殺技を発動した。
「パーフェクト! これこそが、生前の俺が元々描いていた勝利のシナリオだ。レンジャーたちよ、為す術もなく俺にひれ伏せ! 『クロードフィニッシュ・雷電残光』!」
ルーカスの変身した忍者が、零騎士へ高速接近し、パンチ、キックを怒涛の勢いで叩き込む。とどめに、紫の破壊エネルギーを纏った短刀で一閃した。
ブレイブキョウリュウクロードは剣を一振りし、稲妻を帯びた斬撃を飛ばす。英語の「CLAUDE! YEAH!」という文字の形をしたそれが、百合・BLレンジャーを呑み込んだ。
「まずい。先輩たちが危ない!」
ちょうどその頃、裕介は珈琲サイブレードでダレンと斬り結んでいたところだった。
「……よそ見をしている場合か」
隙を突かれ、ダレンリバイブの爪型武器に腹部を一閃される。怯んだところで、ダレンは超高速移動を開始した。ネトルティ来部もろとも、オメガ珈琲シルバーは凄まじい速度で放たれる斬撃の数々に圧倒されるばかりである。
「どうした。そんなものか」
『パワードタイム!』『リ・バ・イ・ブ・剛烈~! 剛烈!』
オレンジ色の厚い装甲の戦士へ変わり、ダレンはなおも攻撃を加えようとした。咄嗟に美明日が「待って!」と制止する。
「きっと何かわけがあるんでしょう? ネトルと和解する前の私と同じように、ダレンさんはあの自称『神』に洗脳されているんじゃない?」
「私は自分の意志で神に従っている。超次元界と高次元界、二つの世界を造った神の力は絶対だ。生き残るためには……英語で言うとサバイブ……神に仕えるしかないのだ」
「いや、今英語で必要なかったんじゃね」
裕介のツッコミをまたしてもガン無視して、ダレンは別の二号戦士の姿になった。「サバイブ!」と微かに音声がして、羽を広げた蝙蝠のようなアーマーの青い騎士に変わる。
「許せ。貴様たちと戦わなければ、私は生き残れない!」
その悲痛な叫びを合図にしたかのように、天空から、化け物じみた巨大さの蝙蝠型モンスターが舞い落りた。モンスターはガシャガシャと音を立てながらバイク形態へ変形し、ダレンがそれに颯爽と跨る。
『ファイナル』
バイクの機首から放たれたビームが、オメガ珈琲シルバーとネトルティ来部の身動きを封じた。おそらく麻痺のような効果があるのだろう。こうなってしまっては、来部の飛行能力も精神干渉能力もまともに使えない。
「クソッ……」
「まさか、そんな」
唇を噛んだ二人へ、バイクに乗ったダレンが体当たりする。背中に装備された黒いマントがバイクの前部を覆い、大きな一本の槍のようになって敵を貫いた。衝撃で吹き飛ばされ、変身解除される裕介と美明日。
ルーカス、クロード、ダレン。今まで登場した中でも最強クラスの超次元生命体三体が一気に敵に回った結果、百合・BLレンジャーは全員変身を解かれてしまっていた。
誰の目にも勝敗は明らかだった。が、神の率いる軍勢はなぜか踵を返し、去ろうとした。
「命拾いしたな」
光球が徐々に輝きを弱め、宙に溶けるように消えていく。
「私が受肉させた肉体には、活動時間の制限がある。このまま戦えば肉体が崩壊してしまうゆえ、今は退くとしよう」
自称神と同時に、クロードとルーカスの姿もやがて見えなくなった。
受肉させられていないダレンには活動限界も何もないはずだけれども、ふと自分の手に視線を落として「時間切れか」と呟くと、そそくさとゲートを開いて帰って行った。原典の影響だろうか。
「た、助かりましたわ……」
「いくら何でも強すぎますわ~!」
不平不満を並べるゴークイーンズたち。圧倒的な神の力の前に、皆、心が折れかけていた。こんな風に完膚なきまでの敗北を喫するのは久々である。
「けどよ、敵に活動限界があるって分かったのは収穫だったよな。あいつらが超次元界へ戻ろうとするところを頑張って止めれば、あとは肉体が耐えられなくなって勝手にやられてくれるんだろ」
「そう簡単にいくわけないでしょうが⁉」
いつものボケツッコミをツカサとしていると、多少は空気が明るくなった。
「だよなあ。とりあえずハードオンでも行こうぜ!」
「行かないわよ!! さっそく作戦会議しましょ!」
新たな強敵、自称「神」。彼が率いるのは、かつて倒されたはずの凶悪な戦士たち。こてんぱんに叩きのめされてしまった戦隊たちだが、はたして勝機はあるのだろうか? カイリが見出した希望は、現実のものとなるのか?
そしてダレンよ、君はなぜ、悪魔に魂を売ったのか?
戦え、百合レンジャー! 負けるな、BLレンジャー! 青春爆発ファイヤーだ!